外国人向け「日本語・生活学習プログラム(仮)」とは

令和8年7月、法務大臣政務官を座長とするプロジェクトチームは、「日本語・生活学習プログラム(仮)」の創設に向けた報告書を公表しました。

このプログラムは、日本に中長期間在留する外国人に対し、日本語だけでなく、日本の制度、生活上のルール、社会規範などを体系的に学ぶ機会を提供しようとするものです。

現時点では、具体的な制度内容や開始時期が確定したわけではありません。
しかし、将来的には、在留期間更新許可、永住許可、帰化などの審査にも関係する可能性が示されており、外国人を雇用する企業にとっても重要な動きといえます。


プログラム創設の背景

報告書では、現在、日本には410万人を超える外国人が在留しており、多くの外国人が地域社会の一員として生活・活躍している一方、一部の外国人によるルールを逸脱した行為や制度の不適正な利用が、国民の不安や不公平感につながっていると指摘されています。

これまでも、政府は生活オリエンテーション動画や「生活・就労ガイドブック」、日本語学習教材などを提供してきました。
しかし、これらの利用は基本的に任意であり、外国人が体系的に学習する仕組みや、学習を促す明確な動機付けが十分ではありませんでした。
また、外国人が多く居住する地方公共団体や受入れ企業に、学習支援の負担が偏っていることも課題とされています。

そこで、国の責任において、全国共通の体系的な学習プログラムを整備する方針が示されました。


プログラムの目的

プログラムの大きな目的は、次の二つです。

一つ目は、外国人が日本語や生活上の制度・ルールを理解し、「責任ある社会の一員」として行動できるよう支援することです。

二つ目は、外国人が日本社会に円滑に適応できるよう、国が体系的かつ効果的な学習教材を提供するとともに、在留審査を通じて学習の動機付けを行うことです。

単に外国人の生活を支援するだけではなく、国民の安全・安心を確保し、秩序ある共生社会を実現するための社会基盤として位置付けられている点が、この制度の特徴です。


日本語学習と生活学習を一体的に実施

プログラムは、大きく「日本語学習」と「生活学習」の二つで構成される予定です。

生活学習には、例えば、次のような内容が含まれることが想定されます。

・日本の法令や行政制度
・税金、社会保険、医療制度
・雇用や労働に関するルール
・交通ルール
・ごみ出しなどの生活上のルール
・防災や災害時の対応
・出産、育児、教育、介護に関する制度
・地域特有の文化や生活慣行

日本語学習についても、単なる文法や語彙の習得ではなく、教育、就労、日常生活の場面における実践的なコミュニケーション能力を身に付けることが重視されています。

中期以降の学習では、「自立した言語使用者」として日本社会で生活できる水準を目指すとされており、政府の方針上は、「日本語教育の参照枠」におけるB1レベル相当が一つの目安として示されています。


入国前からオンラインで受講

プログラムは、入国後に初めて受講するのではなく、入国前から学習を開始できる仕組みとすることが想定されています。

具体的には、ICTを活用したオンデマンド教材を整備し、海外からでもスマートフォンやパソコンで受講できる環境を構築する方向です。
また、単に動画を見るだけの一方向型の教材ではなく、AIなどを活用した双方向型の学習や、理解度を確認するテスト機能を導入することも検討されています。

プログラムの内容は、次のように段階的に分けられる可能性があります。

入国前・入国直後の学習

日本で生活するために最低限必要な日本語、生活ルール、マナー、制度などを学習します。
「入国前に受講を求める内容」と「入国後一定期間内に受講を求める内容」を分けることも検討されています。

中期以降の学習

長期滞在や永住を希望する外国人を対象に、より高度な日本語能力や、日本の制度に関する幅広い知識を学習します。
出産、育児、教育、介護など、本人のライフステージに応じて学習内容を選択できる仕組みも想定されています。


対象者は中長期在留者を幅広く想定

報告書では、基本的に、中長期の在留を目的とする外国人を幅広く対象とする方向が示されています。

特に、これまで生活オリエンテーションや日本語学習の機会が少なかったと考えられる次のような外国人については、内容を充実させる必要があるとされています。

・家族滞在
・日本人の配偶者等
・定住者
・受入れ機関のない個人事業主
・外国人就労者に帯同する配偶者や家族

技能実習、育成就労、特定技能については、既に受入れ機関による講習や生活支援の仕組みがあります。そのため、既存制度による講習と、新しい学習プログラムとの重複をどのように整理するかが今後の検討課題となります。


在留期間更新や永住許可への反映

この報告書で特に注目すべき点は、プログラムの受講状況を在留審査に反映させる方針が示されていることです。
入国前・入国直後の学習については、在留資格認定証明書交付申請や在留期間更新許可申請など、学習の動機付けとなるタイミングで、受講状況を審査上の考慮事項とすることが検討されています。

さらに、中期以降のプログラムについては、次のような方向性が明記されています。

・永住許可申請において、プログラムの受講を許可要件とする
・永住許可を申請しないまま長期間滞在する外国人についても、一定の在留申請時に受講を許可要件とする
・永住許可や帰化の審査では、受講した事実だけでなく、内容を理解しているかも確認する

ただし、現時点では、「どの在留資格を対象とするのか」「何時間の受講を求めるのか」「どの程度の日本語能力が必要か」「いつから適用するのか」といった具体的な要件は確定していません。
あくまで、今後の制度設計に向けた検討の方向性が示された段階です。


受講状況を管理するシステムも構築

在留審査で受講状況を確認するためには、誰が、いつ、どの講座を受講し、どの程度理解したかを管理する必要があります。
そのため、報告書では、受講状況を一元的に管理するシステムの構築が必要とされています。

また、オンライン学習では、他人による代理受講やなりすましが発生する可能性があるため、本人確認や不正防止措置も重要な検討課題となります。


企業に求められる役割

外国人を雇用する企業にとって、この制度は外国人本人だけの問題ではありません。
報告書では、国が共通の日本語学習・生活学習コンテンツを提供することを前提として、外国人を受け入れる企業に対し、外国人本人とその家族への学習支援を、これまで以上に強く求める必要があるとされています。

具体的には、企業に次のような対応が求められる可能性があります。

・外国人従業員へのプログラムの案内
・受講状況の確認
・受講時間を確保するための勤務時間の調整
・オンライン学習に必要な端末や通信環境の支援
・家族を含めた生活学習の案内
・地方公共団体や日本語教育機関との連携
・在留期間更新前の受講状況の確認

PTのヒアリングでは、受入れ企業が勤務時間を調整し、外国人従業員が学習できる環境を整備する必要があるとの意見も示されています。
将来的にプログラムの受講が在留期間更新などの審査に影響することになれば、外国人本人が受講していなかったために、更新手続に支障が生じる可能性も考えられます。

企業としても、「本人に任せておけばよい」とするのではなく、在留管理と人材育成の一環として対応する必要が生じるでしょう。


すぐに義務化されるわけではない

今回の報告書は、法律や省令によって具体的な義務を定めたものではありません。
制度の対象者、学習時間、費用負担、受講方法、審査への反映方法などについては、今後、関係省庁や有識者との協議を踏まえて制度設計が行われます。

また、十分な試行期間を設け、試行結果や関係者からのフィードバックを踏まえて本格運用に移行することが望ましいとされています。

一方で、報告書では、制度の創設を「喫緊の課題」と位置付け、実施可能な部分から早期に運用を開始することも重視されています。

そのため、制度の具体化は比較的速いペースで進む可能性があります。


企業が今から確認しておきたいこと

現時点で、企業が直ちに新しい講習を実施しなければならないわけではありません。
ただし、今後の制度化に備え、次の点を確認しておくことが重要です。

・外国人従業員に現在どのような日本語学習支援を行っているか
・生活オリエンテーションの実施状況を記録しているか
・外国人従業員の家族への情報提供ができているか
・在留期間更新の管理と学習状況を連携できるか
・勤務時間内の受講を認める場合のルールをどうするか
・受講費用や教材費を企業と本人のどちらが負担するか
・特定技能、技能実習、育成就労などの既存制度との関係をどう整理するか

外国人の日本語能力や制度理解を高めることは、在留手続への対応だけでなく、職場内のコミュニケーション改善、労務トラブルの防止、安全管理、定着率の向上にもつながります。

今回のプログラムを単なる新たな規制として見るのではなく、外国人従業員が日本で安定して生活し、長期的に活躍するための人材育成施策として捉えることも必要です。

「未経験可・すぐに慣れます」という求人は要注意

外国人材を「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で採用する場合、企業は、本人の学歴や職歴だけでなく、実際に担当させる業務が一定水準以上の専門性を必要とするものであるかを確認しなければなりません。
出入国在留管理庁が公表している「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」(最終改定令和8年4月)には、次のような記載があります。

一般的に、求人の際の採用基準に「未経験可、すぐに慣れます。」と記載のあるような業務内容や、後述の上陸許可基準に規定される学歴又は実務経験に係る要件を満たしていない日本人従業員が一般的に従事している業務内容は、対象となりません。

この記載は、外国人採用を行う企業の人事担当者にとって、非常に重要な意味を持ちます。


「未経験可」と書いたら直ちに不許可になるわけではない

まず注意したいのは、求人票に「未経験可」と記載しただけで、直ちに「技術・人文知識・国際業務」が認められなくなるわけではないという点です。
大学等で必要な専門知識を身につけている人材について、実務経験がないことを理由に「未経験可」とする求人もあります。
また、入社後に企業固有のシステム、取引ルール、商品知識等を習得してもらうことも一般的です。

したがって、問題となるのは「未経験可」という文言そのものではありません。
重要なのは、専門的な知識がなくても、短期間の説明や反復訓練によって誰でも従事できる業務なのではないかと評価されるような求人内容になっていないかという点です。


審査では「業務の実態」が確認される

「技術・人文知識・国際業務」は、単に外国人が会社で働くための一般的な在留資格ではありません。
この在留資格で認められるのは、自然科学又は人文科学の分野に属する技術若しくは知識を必要とする業務や、外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務です。

つまり、業務には、学術上の素養を背景とする一定水準以上の専門性が求められます。

そのため、在留資格の審査では、職種名だけでなく、具体的な業務内容が確認されます。
例えば、求人票に次のような表現が並んでいる場合には、注意が必要です。

  • 経験・知識不問
  • 誰でも簡単にできる仕事
  • マニュアルどおりに作業すればよい
  • 入社後数日で習得可能
  • 単純な入力作業が中心
  • 店舗での接客、品出し、清掃等が中心
  • 工場内での製造、検品、梱包作業が中心

これらの記載だけを見ると、大学等で修得した専門知識や、一定期間の実務経験を必要としない業務と判断される可能性があります。

一方、職種名が「営業」「事務」「企画」「マーケティング」「エンジニア」などであっても、実際の業務が定型的、補助的又は反復的な作業にとどまる場合には、必ずしも「技術・人文知識・国際業務」に該当するとは限りません。


日本人従業員の採用基準との整合性も重要

今回の記載でもう一つ重要なのは、同じ業務に従事している日本人従業員に、どのような学歴や経験を求めているかという点です。

例えば、日本人については高卒、未経験で採用し、専門的な教育を受けていない従業員が一般的に担当している業務であるにもかかわらず、外国人を採用する場面だけ「大学で学んだ専門知識を必要とする業務です」と説明しても、説得力を欠くことがあります。

もちろん、日本人について法令上の学歴要件が課されるわけではありません。

しかし、同じ業務を担当する日本人の採用基準や経歴は、その業務が客観的に見て専門知識を必要とするものであるかを判断するための材料となります。

したがって、外国人材の在留資格申請に当たっては、次の点を整理しておく必要があります。

  • 同じ職種の日本人従業員は、どのような学歴や職歴を有しているか
  • 日本人従業員の求人では、どのような採用条件を設けているか
  • 担当業務の遂行に、どのような専門知識が必要となるか
  • 専門知識を有しない人が短期間で習得できる業務ではないことを説明できるか
  • 外国人本人の専攻科目又は職歴が、担当業務とどのように関連しているか

求人票と在留資格申請書類の内容を一致させる

実務上、特に注意したいのが、求人票と在留資格申請書類との不整合です。

例えば、求人票には「未経験歓迎・簡単な事務作業」と記載している一方、在留資格申請時の理由書には「経営学及び国際取引に関する高度な専門知識を用いる業務」と記載している場合、両者の説明が一致していません。

また、求人サイト、企業の採用ページ、ハローワークの求人票、雇用契約書、労働条件通知書及び在留資格申請時の職務内容説明書について、業務内容がそれぞれ異なっているケースもあります。

審査では、申請時に提出した書類だけでなく、企業の事業内容、採用情報、組織体制等を踏まえて、業務の実態が確認されることがあります。
そのため、人事担当者は、求人を公開する段階から、在留資格上の説明との整合性を意識しておく必要があります。
ただし、在留資格を取得しやすくするために、求人票上の業務を実態以上に専門的に表現することは適切ではありません。必要なのは、実際の業務内容を正確に整理し、その業務に必要な知識や判断の内容を具体的に説明することです。


「専門性」は職種名ではなく、具体的な職務内容で説明する

例えば、「営業職」と記載するだけでは、専門性の有無は判断できません。

営業職の中にも、電話による案内、店頭販売、定型的な受注処理等を中心とする業務もあれば、市場分析、販売戦略の立案、海外取引先との交渉、契約条件の調整等を行う業務もあります。

同様に、「事務職」という名称であっても、単純なデータ入力を行う業務と、会計、貿易、法務、人事制度等に関する専門知識を用いて判断を行う業務とでは、在留資格上の評価が異なります。

在留資格申請に当たっては、次のような点を具体的に説明することが重要です。

  • どのような情報を分析するのか
  • どのような判断を行うのか
  • どのような企画又は提案を行うのか
  • 業務遂行にどの分野の知識が必要となるのか
  • 本人が大学等で学んだ内容をどの場面で活用するのか
  • 定型作業ではなく、専門的判断を要する部分はどこか

単に「専門的な業務です」「大学で学んだ知識を生かします」と記載するだけではなく、日常的な業務の内容に落とし込んで説明する必要があります。


人事担当者が採用前に確認すべきこと

「技術・人文知識・国際業務」で外国人材を採用する場合には、内定後に在留資格を検討するのではなく、募集職種を設計する段階から確認を行うことが望まれます。

特に、次の点は採用前に確認しておく必要があります。

  1. 担当させる業務は、専門的な技術又は知識を必要とするものか
  2. 単純作業や反復訓練によって習得可能な業務が中心になっていないか
  3. 外国人本人の学歴又は職歴と、担当業務との間に関連性があるか
  4. 同じ業務に従事する日本人の採用基準と矛盾していないか
  5. 求人票、雇用契約書及び申請書類の記載が一致しているか
  6. 入社後、申請時に説明した業務に実際に従事させることができるか

これらを事前に確認しないまま採用を進めると、在留資格変更許可申請や在留資格認定証明書交付申請が不許可となるだけでなく、採用後に予定していた業務へ配置できないという問題が生じる可能性があります。


まとめ

「未経験可、すぐに慣れます」という求人表現は、それ自体が直ちに不許可の理由となるものではありません。
しかし、その表現が、専門的な知識を必要とせず、短期間の訓練によって誰でも従事できる業務であることを示している場合には、「技術・人文知識・国際業務」の対象外と判断される可能性があります。

外国人材の採用では、候補者の学歴や職歴だけに注目するのではなく、企業側が用意する職務自体が、在留資格上求められる専門性を備えているかを確認することが不可欠です。

採用後に在留資格との不一致が判明することのないよう、求人票を作成する段階から、職務内容、採用基準及び申請時の説明を一体的に整理しておくことが重要です。

在留資格が取り消されることもあるの?

外国人雇用で企業が知っておきたい在留資格取消制度

外国人を雇用する場合、企業側は、採用時に在留カードや在留資格を確認する必要があります。

もっとも、在留資格は、一度許可されれば必ず在留期限まで有効に維持される、というものではありません。

出入国在留管理庁は、外国人が偽りその他不正の手段により上陸許可等を受けた場合や、在留資格に基づく本来の活動を一定期間行っていない場合などには、在留資格を取り消すことができるとしています。

企業としては、在留資格取消制度の内容をすべて細かく把握する必要はありませんが、外国人社員・アルバイトの雇用管理に関係するポイントは押さえておく必要があります。


在留資格の取消しとは

在留資格の取消しとは、日本に在留する外国人について、一定の取消事由が判明した場合に、その外国人が有する在留資格を取り消す制度です。

取消事由としては、例えば、次のようなものがあります。

  • 偽りその他不正の手段により上陸許可等を受けた場合
  • 本来行う活動を偽って上陸許可等を受けた場合
  • 虚偽の書類を提出して上陸許可等を受けた場合
  • 在留資格に係る活動を行わず、他の活動を行っている場合
  • 在留資格に係る活動を継続して3か月以上行っていない場合
  • 住居地の届出をしない場合
  • 虚偽の住居地を届け出た場合

たとえば、実際には単純労働を行う予定であるにもかかわらず、「技術・人文知識・国際業務」に該当する活動を行うとして申請し、許可を受けたような場合には、問題となる可能性があります。

なお、在留資格の取消しは、不法就労そのものを取り締まる制度ではありません。

不法就労は、就労できない在留資格・許可のない状態で働く場合や、許可された範囲を超えて働く場合に問題となるものです。これに対し、在留資格の取消しは、不正に在留資格を取得した場合や、許可された在留資格に対応する本来の活動を行っていない場合などに、その在留資格を取り消す制度です。


企業が特に注意すべきケース

企業の人事担当者が特に注意すべきなのは、外国人が「許可された在留資格に対応する活動」を実際に行っているかどうかです。これは、上述した不法就労の問題も絡んできます。

たとえば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で採用した外国人について、実際には専門的・技術的な業務ではなく、単純作業や現場作業を中心に従事させている場合、「罰せられる」「退去強制の対象となり得る」「在留資格取消し・更新不許可等につながり得る」可能性があります。

また、「留学」の在留資格で在留している外国人が、学校に通わず、実質的にアルバイト中心の生活になっている場合にも、本来の活動を行っていないとして問題となる可能性があります。

企業側としては、採用時だけでなく、雇用後も、実際の業務内容が在留資格と大きくずれていないかを確認することが重要です。


「3か月以上活動していない場合」にも注意

出入国在留管理庁の説明では、入管法別表第1の在留資格をもって在留する外国人が、その在留資格に係る活動を継続して3か月以上行っていない場合、在留資格取消しの対象となり得るとされています。

ここでいう入管法別表第1の在留資格には、「技術・人文知識・国際業務」「経営・管理」「特定技能」「技能実習」「留学」「家族滞在」などが含まれます。

たとえば、外国人社員が退職した後、就労活動を行わないまま長期間在留している場合や、留学生が学校を退学した後、留学生としての活動を行わないまま在留している場合には、注意が必要です。

もっとも、活動を行っていないことについて正当な理由がある場合には、取消しの対象から除かれる場合があります。


企業が行うべき雇用管理

在留資格取消制度は、直接には外国人本人の在留資格に関する制度です。
しかし、企業が外国人を雇用する場合には、在留資格と実際の業務内容が合っているかを確認することが重要です。

企業側では、少なくとも次のような管理を行うことが望ましいです。

  • 採用時に在留カードを確認する
  • 在留資格と在留期間を確認する
  • 従事予定の業務が在留資格に合っているか確認する
  • 雇用契約書・職務内容説明書等に業務内容を明確に記載する
  • 配置転換や職務変更を行う場合、在留資格との関係を確認する
  • 退職・休職・長期欠勤が生じた場合、在留資格上の影響に注意するか確認する
  • 留学生アルバイトについては、学校への在籍状況や資格外活動許可の有無を確認する

特に、外国人社員について、採用時の説明と実際の業務内容が異なる場合には注意が必要です。

「申請上は専門職だが、実際には現場作業中心になっている」という状態は、在留資格との関係で問題となり得ます。


まとめ

在留資格は、一度許可されたら必ず維持されるものではありません。
不正な申請により許可を受けた場合や、在留資格に基づく本来の活動を行っていない場合などには、在留資格が取り消されることがあります。

企業が外国人を雇用する際には、採用時に在留カードを確認するだけでなく、実際の業務内容が在留資格に合っているか、雇用後も確認することが重要です。

特に、技術・人文知識・国際業務、特定技能、留学などの在留資格では、「どのような活動が認められているか」を踏まえた雇用管理が必要です。

外国人雇用では、採用時の確認、雇用中の業務管理、配置転換時の確認をセットで行うことが、企業側のリスクを避けるうえで重要です。

改正「外国人雇用管理指針」のポイント

外国人労働者を雇用する事業主には、外国人が在留資格の範囲内で能力を十分に発揮し、安心して働けるよう、適切な雇用管理を行うことが求められています。

このたび、「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」、いわゆる外国人雇用管理指針が改正され、その一部が令和8年6月14日から適用されます。

今回の改正は、外国人労働者の受入れが広がる中で、事業主が行うべき雇用管理や届出時の確認をより明確にするものです。


不法就労防止の重要性が明確化されました

改正指針では、外国人労働者の在留資格は出入国管理及び難民認定法に基づき定められるものであり、不法就労はあってはならないことが改めて明記されました。

事業主が外国人を雇用する際には、就労させようとする業務が在留資格の範囲内で認められているかを確認する必要があります。

たとえば、在留資格によっては、就労できる業務内容が限定されています。また、「留学」や「家族滞在」など、原則として就労が認められていない在留資格の場合には、資格外活動許可の有無や許可された範囲を確認する必要があります。

単に在留カードを確認するだけではなく、実際に担当させる業務内容が在留資格に合っているかを確認することが重要です。


外国人労働者にも労働関係法令が適用されます

外国人労働者であっても、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働保険・社会保険に関する法令などは、日本人労働者と同様に適用されます。

今回の改正では、短時間・有期雇用労働者や派遣労働者である外国人労働者についても、不合理な待遇差の禁止や差別的取扱いの禁止に関する考え方が適用されることが明確化されています。

そのため、外国人であることや、短時間勤務・有期契約・派遣労働者であることだけを理由に、不合理な待遇差を設けることは適切ではありません。

賃金、労働時間、休日、休暇、安全衛生、社会保険の取扱いなどについて、日本人労働者と同様に、法令に沿った適切な対応が必要です。


日本語学習支援や教育訓練への配慮が求められます

改正指針では、事業主が外国人労働者やその家族に対する日本語学習の機会の提供など、日本語学習に関する支援に努めることが定められました。

また、外国人労働者に教育訓練を行う場合には、日本語能力に配慮した教育訓練の実施など、必要な措置を講ずるよう努めることも示されています。

これは、単に「日本語ができる人を採用する」というだけではなく、採用後も、業務上必要な説明や教育が本人に伝わるようにすることが求められるということです。

特に、安全衛生教育、機械や設備の取扱い、緊急時の対応、社内ルールの説明などについては、外国人労働者が内容を理解できる方法で行うことが重要です。


外国人雇用状況届出の重要性も改めて明確化されました

外国人労働者を雇い入れた場合や、外国人労働者が離職した場合には、事業主はハローワークに外国人雇用状況の届出を行う必要があります。

今回の改正では、この届出を行わなかった場合や、虚偽の届出をした場合には、労働施策総合推進法に基づく罰則が適用され得ることが明記されました。

外国人雇用状況届出は、雇用保険の被保険者となるかどうかによって、使用する様式や届出期限が異なります。

雇用保険の被保険者となる外国人については、雇用保険被保険者資格取得届または資格喪失届に必要事項を記載して届け出ます。

一方、雇用保険の被保険者とならない外国人については、外国人雇用状況届出書により届け出ます。

短期のアルバイトであっても、届出対象となる外国人であれば、雇入れ・離職の届出が必要です。


在留カード等読取アプリケーションの活用が求められます

改正指針では、在留カードにより届出事項を確認する場合、出入国在留管理庁が提供する「在留カード等読取アプリケーション」を用いて、在留カードのICチップ内の情報と券面の記載を照合することが適切である旨が示されました。

在留カードの券面だけを見るのではなく、アプリを活用することで、偽変造が疑われるカードかどうかを確認しやすくなります。

外国人を雇用する事業主としては、採用内定後や雇入れ時の確認手順に、在留カード等読取アプリケーションによる確認を組み込んでおくことが望ましいといえます。


事業主が確認しておきたい実務上のポイント

今回の改正を踏まえると、外国人を雇用する事業主は、少なくとも次の点を確認しておく必要があります。

まず、採用予定者の在留資格と担当予定業務が合っているかを確認することです。

次に、在留期間、資格外活動許可の有無、在留カード番号など、届出に必要な事項を正確に確認することです。

また、雇入れ後は、労働条件、安全衛生、教育訓練、相談体制などについて、外国人労働者が理解できる方法で説明・運用することが重要です。

さらに、外国人労働者を雇い入れた場合や離職した場合には、期限内にハローワークへの届出を行う必要があります。


まとめ

令和8年6月14日から一部適用される改正外国人雇用管理指針は、外国人雇用における事業主の責任を改めて明確にするものです。

外国人を雇用する場合には、「人手が足りないから採用する」というだけでは足りません。

在留資格の確認、適正な労働条件の確保、日本語能力への配慮、教育訓練、届出手続きなどを通じて、外国人労働者が適法かつ安心して働ける環境を整えることが重要です。

外国人雇用を行っている事業主、または今後外国人の採用を予定している事業主は、今回の改正を機に、自社の採用手続きや雇用管理体制を見直しておきましょう。

在留資格関連の手数料 大幅引き上げへ【続報】

外国人従業員を雇用している企業にとって、在留資格の更新・変更手続きは、日常的な人事労務管理の一部です。

これまで、在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請の手数料は、一律かつ比較的低額に抑えられていました。
しかし、2026年5月に成立した入管法等の改正により、在留手続に関する手数料の上限額が大幅に引き上げられることとなりました。

特に、外国人従業員の在留資格更新費用を企業負担としている企業では、今後、在留手続にかかる費用が、人件費・採用関連費・福利厚生費等に大きく影響する可能性があります


すでに決まっていること:手数料の「上限額」の引き上げ

2026年5月29日に成立し、同年6月5日に公布された令和8年入管法等改正法では、在留資格の変更許可等に係る手数料の上限額の引上げが盛り込まれています。
出入国在留管理庁の公表資料でも、今回の改正法の内容として、手数料の額の上限額の引上げが示されています。

具体的には、これまで法律上の上限が1万円とされていた在留関係手数料について、在留資格の変更・更新については上限10万円、永住許可については上限30万円まで引き上げられる内容とされています。

ただし、ここで注意が必要なのは、今回の法改正で直ちに「具体的な手数料額」がすべて確定したわけではないという点です。
法律では上限額のみが定められており、実際にいくらの手数料とするかは、今後、政令等により具体的に定められることになります。


報道されている内容:在留期間に応じて手数料を変える案

この点に関連して、読売新聞は、出入国在留管理庁が在留資格の変更・更新などの手数料について、在留期間に応じて金額を変える案を示したと報じています。

報道によれば、在留資格の変更・更新について、現行の一律6,000円から、在留期間に応じて1万円から7万5,000円程度に引き上げる案が示されているとのことです。

報道ベースの金額案としては、たとえば次のような内容が挙げられています。
※読売新聞の報道より(https://www.yomiuri.co.jp/national/20260624-GYT1T00285/

在留期間手数料案
3か月以下1万円
1年3万3,000円
3年以上5年未満6万4,000円
5年以上7万5,000円
永住許可20万円

なお、オンライン申請については、一部を除き、窓口申請よりも低額にする方向で検討されていると報じられています。

もっとも、これらは現時点では報道ベースの情報です。正式な手数料額については、今後の正式な発表を待つ必要があります。


企業にとっての影響:企業負担の場合、予算への影響は小さくありません

今回の手数料引上げは、外国人従業員だけでなく、外国人従業員を雇用する企業にも影響します。

特に注意が必要なのは、次のような企業です。

  • 外国人従業員を多数雇用している企業
  • 在留資格更新・変更の手数料を企業が負担している企業
  • 定期的な在留期間更新が必要な外国人従業員が多い企業
  • 外国人従業員本人だけでなく、家族帯同者の手続費用についても企業が支援している企業
  • 採用時の在留資格変更費用を企業負担としている企業

たとえば、これまで1人あたり6,000円で済んでいた在留期間更新の手数料が、仮に3万円、5万円、7万円台となった場合、対象者が数十人、数百人規模の企業では、年間の負担額が大きく変わります。

これまで「細かな実費」として処理していた費用が、今後は人件費・採用費・福利厚生費・海外人材関連予算として、明確に管理すべきコストになる可能性があります。


更新時期が集中する企業は、特に早めの確認が必要です

外国人従業員の在留期間は、入社時期や過去の更新時期によって、一定の時期に集中することがあります。

たとえば、4月入社の外国人従業員が多い企業では、在留期間更新の時期も春先に集中しやすくなります。また、特定技能など、比較的短い在留期間で更新を繰り返す在留資格では、更新頻度が高くなるため、手数料引上げの影響を受けやすくなります。

そのため、企業としては、少なくとも次の点を確認しておくことが望ましいです。

  1. 現在雇用している外国人従業員の人数
  2. 各従業員の在留資格・在留期間・在留期限
  3. 今後1年以内に更新・変更が必要となる人数
  4. 手数料を企業負担としているか、本人負担としているか
  5. 家族滞在等の家族分について、企業がどこまで支援しているか
  6. オンライン申請を利用できる体制があるか
  7. 来期予算に在留手続費用をどの程度見込むべきか

社内で検討しておきたいポイント

繰り返しになりますが、現時点では、具体的な金額が正式に確定したわけではありません

しかし、法改正により上限額が大幅に引き上げられたこと自体は既に公になっており、今後、具体的な手数料額が決まれば、企業の人事労務管理に直接影響します。

そのため、外国人材を多く雇用している企業では、次のような社内対応を早めに検討しておくことをおすすめします。

1. 手数料の企業ルールの確認

まず、在留資格の更新・変更に係る手数料を、現在企業が負担しているのか、本人負担としているのかを確認する必要があります。
企業負担としている場合は、今後も全額企業負担を継続するのか、一部本人負担とするのか、対象となる手続を限定するのかなど、社内ルールの見直しが必要になる可能性があります。
ただし、企業負担としていたものを本人負担に変える場合、本人とのトラブルが生じる可能性は高いです。
そのため、外国人従業員との早期の話し合いもさることながら、それ以上に、どこまでを企業が負担し、どこからを本人負担とするのかについて、納得感のある線引きを設けておくことが重要と考えます。

たとえば、通常の在留期間更新、採用時の在留資格変更についての手数料は企業が負担するが、家族分の手続、永住許可申請などについての手数料は本人負担とする、という余地はあると思われます。

2. 予算への反映

外国人従業員が多い企業では、在留手続の手数料が年間予算に影響する可能性があります。
特に、更新対象者が多い年度や、1年更新の従業員が多い企業では、費用負担が一時的に集中することも考えられます。
人事部門だけで判断するのではなく、必要に応じて、経理部門、財務部門、経営層とも情報共有しておくことが重要です。

3. オンライン申請体制の整備

報道では、オンライン申請の場合、一定の割引が設けられる案も示されています。
既に在留申請のオンライン手続は導入されており、2025年4月1日の手数料改定でも、オンライン申請と窓口申請で手数料に差が設けられています。

今後、オンライン申請の利用により手数料負担を抑えられる可能性があるため、企業としてオンライン申請を利用できる体制を整えておくことも、実務上の検討事項となります。

4. 外国人従業員への説明

手数料の引上げは、外国人従業員本人にとっても大きな関心事です。
特に、本人負担としている企業では、制度変更の内容を早めに説明し、誤解や不安が生じないようにすることが重要です。

一方、企業負担としている企業であっても、上述の通り、企業がどこまで費用を負担するのか、家族分は対象となるのか、永住許可申請は対象となるのかなど、内部ルールを明確にしておく必要があります。


まとめ:正式決定前でも、準備は始めておくべき

今回の在留資格関連手数料の引上げは、単なる行政手続費用の変更にとどまりません。
外国人従業員を多数雇用している企業にとっては、採用・雇用管理・人件費・福利厚生費に関わる実務上の重要な変更です。

繰り返しになりますが、現時点で確定しているのは、2026年5月の法改正により、在留資格の変更・更新や永住許可に係る手数料の上限額が大幅に引き上げられたという点です。
一方、具体的な手数料額については、在留期間に応じて金額を変える案が報道されていますが、正式な金額は今後の政令等により確認する必要があります。

そのため、企業の人事担当者としては、今後の動向を注視するとともに、外国人従業員数、更新時期、企業負担の有無、予算への影響を早めに整理し、必要に応じて内部での説明・根回しを進めておくことが望まれます。

特に、在留手続費用を企業負担としている企業では、「正式に決まってから考える」のではなく、想定される負担増をあらかじめ把握し、来期予算や規程に反映できるよう準備しておくことが重要です。

注意!2026年7月1日から査証手数料が改定へ

人材を招聘する企業は、ビザ申請費用の変更に注意

外務省は、令和8年6月19日の外務大臣会見において、査証手数料の改定について発表しました。

今回の改定により、令和8年7月1日以降の申請分から、一次入国査証及び数次入国査証の手数料が大幅に引き上げられる予定です。


改定内容

改定後の主な査証手数料は、以下のとおりです。

査証の種類現行手数料改定後手数料
一次入国査証3,000円15,000円
数次入国査証6,000円30,000円

一次入国査証・数次入国査証ともに5倍の引き上げとなります

外務省によれば、現在の査証手数料は1978年に定められて以降、長期間据え置かれてきたものであり、今回の改定は、物価上昇や為替相場の変動等を踏まえた見直しとされています。


企業実務への影響

外国人材を海外から招聘する企業においては、今後、ビザ申請時の費用が従来よりも高くなる点に注意が必要です。

特に、以下のような場面では、採用・招聘コストの見積りに影響する可能性があります。

  • 海外在住の外国人材を日本に呼び寄せる場合
  • 海外親会社・関連会社から外国人従業員を日本に赴任させる場合
  • 短期商用、研修、会議参加等のために外国人を招聘する場合
  • 複数名を同時に招聘する場合
  • 数次入国査証の取得を予定している場合

たとえば、複数名の外国人材を同時に招聘するケースでは、1名あたりの増額幅は小さく見えても、全体では相応の費用増となる可能性があります。


7月1日以降の申請分から適用

新たな査証手数料は、令和8年7月1日以降の申請に適用される予定です。
そのため、現在、外国人材の招聘や海外拠点からの赴任を予定している企業では、申請時期を確認したうえで、改定後の手数料を前提に費用を見積もる必要があります。

なお、査証手数料は、国籍、査証の種類、相互主義による取扱い等により異なる場合があります。
実際の申請にあたっては、対象者の国籍や申請先の在外公館における最新の案内を確認することが重要です。


まとめ

令和8年7月1日以降、一次入国査証は15,000円、数次入国査証は30,000円に改定される予定です。
外国人材の採用、海外拠点からの赴任、短期商用・研修目的の招聘などを行う企業では、ビザ申請費用が従来より増加する可能性があります。

人事・総務担当者は、今後の招聘スケジュールを確認し、採用・赴任・研修等に関する予算や社内案内を見直しておくとよいでしょう。

外国人を採用する前に確認すべき在留カードの見方

外国人を採用する場合、企業は、採用予定者が日本で就労できる人かどうかを確認する必要があります。

その際に重要になるのが「在留カード」です。

在留カードには、その外国人の在留資格、在留期間、就労制限の有無などが記載されています。外国人を雇用する企業としては、採用前に在留カードを確認し、従事させる業務に問題がないかを確認しておくことが重要です。なお、6月14日から新様式の在留カードが発行されるようになりました。


在留カードの原本を確認する

採用時には、在留カードのコピーや画像だけでなく、できる限り原本を確認することが望ましいです。

確認すべき主な項目は、次のとおりです。

  • 氏名
  • 生年月日
  • 国籍・地域
  • 在留資格
  • 在留期間の満了日
  • 就労制限の有無
  • 資格外活動許可欄
  • 在留カード番号

特に重要なのは、「在留資格」「就労制限の有無」「在留期間の満了日」です。
在留カードを確認する際は、表面だけでなく、裏面も確認する必要があります。
※2026年6月14日以降発行の新様式の在留カードには、「在留期間」が表示されなくなりました。

入管庁ウェブサイトより(https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/whatzairyu_00001.html


「在留資格」を確認する

在留資格は、その外国人が日本でどのような活動を行うことができるかを示すものです。

たとえば、「技術・人文知識・国際業務」であれば、一定の専門的・技術的な業務に従事することが想定されます。一方、「留学」や「家族滞在」は、それ自体で自由に就労できる在留資格ではありません。

また、「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」など、身分や地位に基づく在留資格の場合には、一般に就労活動に制限はありません。

企業側としては、単に「在留カードを持っているか」ではなく、在留資格と実際に任せる業務内容が合っているかを確認する必要があります。


「在留期間」と「満了日」を確認する

在留カードには、在留期間と在留期間の満了日が記載されています。

在留期間がすでに満了している場合、そのまま雇用することはできません。

また、採用時点では在留期限内であっても、入社後すぐに在留期限が到来する場合があります。そのため、採用時には在留期間の満了日を確認し、雇用後も期限管理を行うことが重要です。

在留期限が近い場合には、本人が在留期間更新許可申請を行う予定であるか、申請状況はどうなっているかを確認しておくとよいでしょう。


「就労制限の有無」を確認する

在留カード表面には、「就労制限の有無」という欄があります。

ここには、就労できるかどうかに関する情報が記載されています。

たとえば、就労制限がない在留資格であれば、原則として職種に関する制限はありません。一方、就労できる在留資格であっても、認められる活動内容には範囲があります。

そのため、「就労可」と見える場合でも、どのような業務でも任せてよいとは限りません。

特に、「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」「技能」などの在留資格では、在留資格ごとに予定されている活動内容があります。採用時には、担当させる業務がその在留資格で認められる範囲内かを確認する必要があります。


「資格外活動許可欄」を確認する

在留カード裏面には、「資格外活動許可欄」があります。

これは、現在の在留資格で認められている活動以外に、報酬を受ける活動などを行う許可を受けているかを確認する欄です。

たとえば、「留学」や「家族滞在」の在留資格の人をアルバイトとして採用する場合には、原則として資格外活動許可が必要です。

資格外活動許可を受けている場合、在留カード裏面にその許可の内容が記載されていることがあります。

企業側としては、在留カード表面だけでなく、裏面の資格外活動許可欄も確認する必要があります。

なお、資格外活動許可がある場合でも、無制限に働けるわけではありません。留学生などについては、勤務時間や業務内容に制限があります。


在留カードの偽変造にも注意する

在留カードは、券面を確認するだけでなく、偽変造の可能性にも注意する必要があります。

出入国在留管理庁は、在留カード等のICチップ内に保存されている情報を読み取り、券面の記載と見比べることができる「在留カード等読取アプリケーション」を提供しています。

また、在留カード番号等により、在留カード等番号が失効していないかを照会する仕組みもあります。

企業側としては、採用時に在留カードの内容を確認するとともに、必要に応じてこれらの確認方法を活用することが考えられます。


「確認した記録」を残す

外国人を採用する際には、在留カードを確認するだけでなく、確認した記録を残しておくことも重要です。

実務上は、次のような項目を記録しておくとよいでしょう。

  • 確認日
  • 確認担当者
  • 在留資格
  • 在留期間の満了日
  • 就労制限の有無
  • 資格外活動許可の有無
  • 任せる予定の業務内容
  • 他社勤務の有無

特に、留学生や家族滞在の方をアルバイト採用する場合には、資格外活動許可の有無や勤務時間の制限を確認しておく必要があります。

また、外国人を雇い入れた場合や離職した場合には、外国人雇用状況の届出も必要です。


まとめ

外国人を採用する際には、在留カードを確認し、採用予定者が日本で就労できる人かどうかを確認する必要があります。

特に重要なのは、次の点です。

  1. 在留カードの原本を確認する
  2. 在留資格を確認する
  3. 在留期間の満了日を確認する
  4. 就労制限の有無を確認する
  5. 資格外活動許可欄を確認する
  6. 業務内容が在留資格に合っているか確認する
  7. 確認した内容を記録として残す

外国人雇用では、「在留カードを持っているから大丈夫」と考えるのではなく、在留資格、就労制限、資格外活動許可、実際の業務内容をセットで確認することが重要です。

採用時の確認を丁寧に行うことで、不法就労や雇用管理上のトラブルを防ぎやすくなります。


参考資料
  • 厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」
  • 厚生労働省「外国人雇用はルールを守って適正に」
  • 出入国在留管理庁「資格外活動の許可」
  • 出入国在留管理庁「不法就労防止に」
  • 出入国在留管理庁「在留カード等読取アプリケーション/失効情報照会 サポートページ」

留学生アルバイトの「週28時間以内」はどう確認する?

外国人留学生をアルバイトとして採用する場合、企業側が特に注意すべきなのが、いわゆる「週28時間以内」のルールです。

留学生は、「留学」の在留資格だけで自由に働けるわけではありません。アルバイトをするためには、原則として「資格外活動許可」を受けている必要があります。


まず確認すべきは「資格外活動許可」

採用時には、在留カードを確認し、在留資格が「留学」であること、在留期間が切れていないこと、資格外活動許可を受けていることを確認します。

資格外活動許可の有無は、在留カード裏面の記載等で確認できます。
資格外活動許可がない場合、原則としてアルバイトとして就労させることはできません


週28時間以内は「自社だけ」ではない

留学生のアルバイトは、原則として1週28時間以内とされています。

ここで注意が必要なのは、28時間以内かどうかは、自社での勤務時間だけで判断するものではないという点です。

留学生が複数のアルバイトを掛け持ちしている場合、すべての勤務先での勤務時間を合計して、週28時間以内に収まっている必要があります
そのため、採用時には、他社でアルバイトをしているか、している場合は週何時間程度勤務しているかを確認しておくことが重要です。


「1週」の見方にも注意

週28時間以内という場合の「1週」は、単に会社のシフト表上の月曜から日曜で見ればよい、というものではありません。

出入国在留管理庁の資料では、どの曜日から1週を起算した場合でも、常に1週28時間以内である必要があるとされています。

そのため、特定の週だけ勤務時間が偏るようなシフトを組む場合には注意が必要です。


長期休業期間中は1日8時間以内まで可能

学校の夏休み・冬休みなど、学則で定められた長期休業期間中は、1日8時間以内までアルバイトが認められます。

ただし、単に授業が少ない期間や、本人が学校を休んでいる期間を、会社側の判断で長期休業期間として扱うことは避けるべきです。

長期休業期間として扱う場合には、学校の学則や年間スケジュール等を確認しておくと安全です。


企業側で行うべき管理

企業としては、少なくとも次の点を確認・管理しておくことが望ましいです。

  • 在留カードを確認する
  • 資格外活動許可の有無を確認する
  • 他社アルバイトの有無と勤務時間を確認する
  • 勤務時間が週28時間以内に収まるようシフトを管理する
  • 長期休業期間は学校資料等で確認する
  • 確認した内容を記録として残す

まとめ

留学生アルバイトを採用する場合、企業は「在留カードを見たから大丈夫」と考えるのではなく、資格外活動許可の有無、週28時間以内の管理、他社勤務の有無まで確認する必要があります。

特に、週28時間以内のルールは、自社だけでなく、他のアルバイト先も含めた合計時間で判断されます。

採用時の確認と、雇用中のシフト管理を適切に行うことが、企業側のリスクを避けるうえで重要です。


参考資料
  • 出入国在留管理庁「『留学』の在留資格に係る資格外活動許可について」
  • 出入国在留管理庁「就労資格の在留諸申請に関連してお問い合わせの多い事項」
  • 出入国在留管理庁「外国人の適正な雇用にご協力ください」
  • 厚生労働省「外国人雇用はルールを守って適正に」

1歳以上16歳未満の方の在留カードにも顔写真が表示されるようになります

2026年6月14日から、在留カード等の様式が新しくなり、1歳以上16歳未満の方についても、在留カード等に顔写真が表示されるようになります

これまで、16歳未満の方の在留カードには、原則として顔写真が表示されていませんでした。しかし、改正入管法の施行に伴い、今後は、1歳以上の方であれば、在留カードや特別永住者証明書に顔写真が表示されることになります。


いつから変わるのか

新しい取扱いは、2026年6月14日以降に交付される在留カード等から始まります。
そのため、申請日が2026年6月14日前であっても、在留カードの交付日が同日以降となる場合には、1歳以上16歳未満の方について顔写真の提出が必要となる場合があります。

既に申請済みの場合でも、入管から追加書類として顔写真データの提出を求められることがありますので、該当する方は案内をよく確認する必要があります。


対象となる方

対象となるのは、主に次の方です。

  • 1歳以上16歳未満の中長期在留者
  • 1歳以上16歳未満の特別永住者
  • 2026年6月14日以降に在留カード等の交付を受ける予定の方

特に、家族滞在、留学、永住者の子どもなど、16歳未満の外国人の方について、在留期間更新、在留資格変更、在留カードの再交付などを行う場合には注意が必要です。


これまでと何が違うのか

従来、16歳未満の方については、在留カードに顔写真が表示されず、申請時の写真提出も不要とされる場面がありました。
しかし、2026年6月14日以降に交付される新様式の在留カード等では、1歳以上であれば顔写真が表示されることになります。

そのため、今後は、1歳以上16歳未満の方についても、申請時又はカード受領時に顔写真の提出を求められるようになります。


オンライン申請を利用する場合の注意点

オンライン申請を利用する場合も注意が必要です。

現行の在留申請オンラインシステムでは、16歳未満の方については、顔写真不要者用データを添付する運用がされています。
しかし、2026年6月14日以降は、1歳以上16歳未満の方についても顔写真データが必要となる予定です。
また、2026年6月14日より前に申請する場合であっても、同日以降に在留カードが交付される1歳以上16歳未満の方については、システム上、通常の顔写真添付欄で提出できない場合があります。この場合、入管からの案内に従い、追加で顔写真データを提出する必要があります。


現在持っている在留カードはどうなるのか

現在有効な在留カード等について、直ちに新しい様式へ切り替える必要はありません。

新様式の在留カード等は、在留期間更新、在留資格変更、再交付など、今後の手続に伴って順次交付されることになります。
そのため、現在の在留カードが有効である場合には、まずはカードの有効期限や次回の申請時期を確認しておくことが重要です。


まとめ

2026年6月14日以降、在留カード等の様式変更により、1歳以上16歳未満の方についても顔写真が表示されるようになります

特に、次の方は注意が必要です。

  • 1歳以上16歳未満の外国人の在留申請を予定している方
  • 2026年6月14日以降に在留カードを受け取る可能性がある方
  • オンライン申請を利用している方
  • 外国人従業員やその家族の在留手続をサポートしている企業・学校・受入機関

該当する場合には、入管からの案内を確認し、顔写真の準備や追加提出に対応できるようにしておきましょう。

在留資格変更・更新、永住許可等の申請手数料の上限額が引き上げられます

在留資格に関する各種申請について、手数料の上限額を引き上げる入管法改正が行われました。
今回の改正は、外国人本人や、外国人材を雇用している企業にとって、今後の在留手続の費用負担に影響する可能性があります。

ただし、今回の改正については、「法律上の上限額が引き上げられた」という点と、「実際に申請時に納付する手数料額がいくらになるか」という点を分けて理解する必要があります。


改正の概要

今回の改正により、主な在留関係手続について、法律上の手数料上限額が次のとおり引き上げられます。

手続改正後の法律上の上限額
在留資格変更許可10万円
在留期間更新許可10万円
永住許可30万円
再入国許可1万円

特に、在留資格変更許可、在留期間更新許可、永住許可は、就労系の在留資格で日本に在留する外国人や、その雇用企業にとって関係の深い手続です。

そのため、今後、外国人材を雇用している企業では、在留期間更新や在留資格変更の際の費用負担について、本人負担とするのか、会社負担とするのかを含めて、社内の運用を確認しておくことが望ましいといえます。


直ちに「更新・変更が10万円」「永住が30万円」になるわけではありません

今回の改正で注意すべき点は、法律上の上限額が引き上げられたからといって、直ちに全ての申請で上限額そのものを納付しなければならないわけではない、という点です。

入管法上、実際の手数料額は、法律で定められた上限額の範囲内で、政令により定められる仕組みとなっています。

したがって、例えば、在留資格変更許可や在留期間更新許可について、法律上の上限額は10万円になりますが、実際に申請時に納付する金額が必ず10万円になるという意味ではありません。
同様に、永住許可についても、法律上の上限額は30万円になりますが、実際の納付額は、今後定められる政令の内容を確認する必要があります。


現在の手数料との関係

在留関係手続の手数料については、2025年4月1日から既に改定が行われています。

例えば、在留資格変更許可や在留期間更新許可については、申請方法により手数料額が異なり、窓口申請とオンライン申請で異なる金額が定められています。

今回の法改正は、このような現行の具体的な手数料額そのものを直ちに変更するというよりも、今後、政令で定めることができる手数料額の上限を引き上げるものです。

そのため、現時点では、「在留資格変更・更新や永住許可の手数料について、法律上の上限額が大幅に引き上げられた。もっとも、実際に申請時に納付する金額は、今後、政令により定められる。」と理解しておくことが重要です。


施行時期にも注意が必要です

改正法では、手数料上限額の引上げに関する規定について、令和9年3月31日までの間において政令で定める日から施行されるものとされています。

また、施行日前にされた在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請、永住許可申請等については、経過措置により、従前の例によるものとされています。

そのため、実務上は、単に「いつ許可されたか」だけでなく、「いつ申請を受け付けられたか」も重要になる可能性があります。


企業が確認しておきたいポイント

外国人材を雇用している企業では、今後の手数料改定に備えて、少なくとも次の点を確認しておくことが考えられます。

① 申請手数料の負担者

在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請の手数料について、本人が負担するのか、会社が負担するのかを確認しておく必要があります。

会社が負担している場合には、社内規程、雇用契約書、外国人材受入れに関する運用ルール等との整合性も確認しておくと安心です。

② 更新時期の管理

在留期間更新許可申請は、在留期限が近づいてから準備を始めると、書類収集や社内確認に時間を要することがあります。
今後、手数料額の変更が予定される場合には、申請時期によって費用負担が変わる可能性もありますので、在留期限の管理をより早めに行うことが重要です。

③ 永住許可申請の検討

永住許可については、法律上の上限額が30万円に引き上げられます。

実際の手数料額は今後の政令を確認する必要がありますが、永住許可申請を検討している方が社内にいる場合、申請要件の確認、必要書類の準備、申請時期の検討を早めに進めておくようアドバイスすることが望ましいといえます。


まとめ

今回の改正により、在留資格変更許可、在留期間更新許可、永住許可等の申請手数料について、法律上の上限額が引き上げられます。

もっとも、現時点で重要なのは、「上限額が引き上げられたこと」と「実際の納付額は今後政令で定められること」を分けて理解することです。
外国人本人や外国人材を雇用する企業としては、今後公表される具体的な手数料額や施行日を確認しつつ、申請時期、費用負担、社内ルールの見直しを進めておくことが重要です。