ウクライナ避難民の受入れ・支援の現状について(令和8年1月末時点)

ロシアによるウクライナ侵攻を受け、日本では令和4年3月2日に総理が受入れを表明して以降、継続的にウクライナ避難民の受入れと支援が実施されています。
本記事では、最新の受入れ状況および在留資格・支援制度の概要を整理します。


受入れ人数の概要(速報値)

対象期間:令和4年3月2日~令和8年1月31日

◆ 総受入れ人数

2,868人

◆ 男女別内訳
  • 男性:864人
  • 女性:2,004人

女性の割合が約7割を占めており、家族単位での避難の実態がうかがえます。

◆ 年代別内訳
  • 18歳未満:385人
  • 18歳以上61歳未満:2,087人
  • 61歳以上:396人

生産年齢人口が多数を占める一方で、未成年者および高齢者も一定数含まれています。

◆ その他の状況
  • 入国時に身元引受先なし:473人
  • 令和8年1月の新規入国者数:15人
  • 令和8年1月31日時点の在留者数:1,967人

累計受入れ人数と在留者数に差があることから、帰国や第三国移動、在留資格変更などの動きもあると推察されます。
※本統計は、侵攻により避難を目的として令和4年3月2日以降にウクライナ又は第三国から入国した方を計上したものです。


補完的保護対象者認定制度による支援

日本では、従来の難民認定制度に加え、補完的保護対象者認定制度が令和5年12月1日より開始されました。

◆ 認定者数
  • 令和5年:1人
  • 令和6年:1,618人

※侵攻以前から在留していた者や避難以外の目的で入国した者も含まれます。


認定後の主な支援内容

(1)安定した在留資格

補完的保護対象者として認定された場合、原則として在留資格「定住者(5年)」への変更が可能です。
中長期的な在留の安定が図られています。


(2)定住支援プログラム

自立支援を目的とした体系的なプログラムが用意されています。

  • 日本語教育:572時限(1時限45分)
  • 生活ガイダンス:120時限
  • ハローワークを中心とした就労支援
  • 生活相談員による各種相談対応
  • 情報提供(ハンドブック配布等)
  • 宿泊施設の提供
  • 生活支援

単なる滞在許可にとどまらず、社会統合を前提とした包括的支援が実施されている点が特徴です。


政府の体制

受入れは、関係省庁横断で組織的に行われています。

  • ウクライナ避難民対策連絡調整会議
  • 対応タスクフォース
  • 法務省受入れ支援対策本部
  • 出入国在留管理庁プロジェクトチーム
  • 地方出入国在留管理官署の専任担当

制度整備と実務対応の両面から支援体制が構築されています。


在留資格からの視点

ウクライナ避難民支援に関しては、

  • 在留資格「特定活動」からの変更
  • 補完的保護対象者認定申請
  • 定住者への変更手続
  • 家族滞在や就労関係の在留手続
  • 生活基盤整備に伴う各種行政手続

など、入管実務上の専門的対応が必要となる場面が多く存在します。
特に、制度開始以降は補完的保護対象者認定制度の活用が実務上重要となっています。制度趣旨・要件・立証資料の整理など、専門的判断が求められます。


まとめ

令和8年1月末時点で2,868人を受け入れ、現在も約2,000人が在留しています。
制度面では補完的保護対象者認定制度が本格運用され、安定した在留資格と定住支援体制が整備されました。

今後も情勢に応じて制度運用の動向を注視するとともに、適切な情報の収集が重要です。

【解説】「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」とJESTA導入の意味

2026年1月23日、政府は「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」を決定しました。この中で明確に打ち出されたのが、電子渡航認証制度(JESTA)の導入方針(2028年度中)です。

会議決定におけるJESTAの位置付け

官邸資料では、JESTAは

「出入国管理DX(デジタル・トランスフォーメーション)」の推進

の一環として整理されています。
つまり、制度趣旨は単なる渡航手続の簡素化ではなく、

  • 入国前のリスクスクリーニング強化
  • 出入国情報のデータ活用高度化
  • 審査の効率化と厳格化の両立

という政策目的の中に位置付けられています。在留資格制度の改正とは別次元の、「入国前審査の高度化」が本質です。


何が変わるのか

対象は、ビザ免除国の短期滞在者と想定されています。

従来は「査証不要」で来日可能でしたが、今後は

  • オンラインで事前申請
  • 政府側の事前審査
  • 承認取得後に渡航

という流れになる見込みです。
これは、米国のESTAと類似する枠組みと理解できます。


実務上の影響

行政書士の立場から見ると、影響は次の点に及びます。

(1)入国前段階の支援需要の拡大

短期滞在であっても、

  • 申請内容の整合性確認
  • 過去出入国歴との整合
  • 不許可リスクの事前分析

といった支援が重要になります。


(2)データ連携強化の可能性

「出入国管理DX」が強調されている以上、

  • 出入国履歴
  • 在留履歴
  • 将来的な在留資格申請

との情報連携が進む可能性があります。
JESTAでの申請情報が、その後の在留審査に影響する制度設計となる可能性も否定できません。


(3)不許可時の法的論点

現時点では詳細未定ですが、今後の立法過程では

  • 不承認理由の開示範囲
  • 不服申立ての可否
  • 再申請の取扱い

などが重要論点になると考えられます。


現時点の法的状況

  • 導入目標:2028年度中
  • 具体的根拠法:未成立
  • 制度詳細:今後の立法で確定

したがって、現段階では方針決定にとどまります。


まとめ

今回の会議決定により、JESTAは

「秩序ある受入れ」を実現するための入国前審査制度として正式に政策化

されました。

今後の実務は、

  • 在留資格中心の支援
    から
  • 入国前リスク管理を含む包括支援

へと拡張していく可能性があります。
制度設計の具体化を注視する必要があります。

【令和8年3月9日運用開始】在留資格「技術・人文知識・国際業務」派遣形態就労に係る取扱い変更について

令和8年2月、出入国在留管理庁より、在留資格「技術・人文知識・国際業務」をもって派遣形態で就労する場合の取扱いに関する通知が公表されました。

本取扱いは、令和8年3月9日申請分から適用されます。本記事では、通知の内容に沿って整理します。


提出書類の変更(令和8年3月9日申請分から)

派遣形態で就労する場合、提出書類が変更されました。
通知のチェックシートでは、派遣契約に基づいて就労する場合(申請人が被派遣者の場合)の提出書類が明示されています。

(1)誓約書(参考様式)
  • 所属機関(派遣元)用
  • 派遣先用

いずれも提出が必要です。

(2)派遣契約関係資料
  • 労働条件通知書(雇用契約書)の写し
  • 労働者派遣個別契約書の写し
(3)在留期間更新許可申請の場合の追加資料

更新申請では、上記に加えて以下の資料が求められます。

  • 派遣元管理台帳
  • 派遣先管理台帳
  • 就業状況報告書

これらは、派遣契約に基づいて就労する場合に提出が必要とされています。


カテゴリーとの関係

通知の提出書類一覧では、カテゴリー1からカテゴリー4まで区分されています。
派遣契約に基づいて就労する場合の資料(誓約書・派遣契約関係資料等)は、カテゴリーの別にかかわらず提出対象とされています。したがって、派遣形態である場合には、カテゴリーに関係なく当該資料の提出が必要となります。


派遣先未確定の場合の取扱い

通知では、次のとおり明示されています。

申請時点において派遣先が確定していない場合は、在留諸申請の許可等を受けることができません。

そのため、派遣形態で申請を行う場合には、申請時点で派遣先を確定させる必要があります。


在留期間の決定

通知では、

派遣形態で就労する場合は、派遣契約期間に応じた在留期間が決定されます。

とされています。


派遣先への確認

通知では、在留審査の際に、

派遣会社(派遣元)のほか、派遣先に対しても申請人の業務内容や活動状況について直接確認を行う場合があります。

とされています。


まとめ

令和8年3月9日以降、在留資格「技術・人文知識・国際業務」において派遣形態で就労する場合には、

  • 派遣関連書類の提出
  • 派遣先の確定
  • 派遣契約期間に応じた在留期間の決定
  • 派遣先への確認の可能性

といった取扱いが明示されています。
申請に当たっては、通知及び別添チェックシートの内容を確認の上、必要書類を整備する必要があります。

在留管理は外国人本人だけの問題ではありません ― 企業が受ける重大なペナルティと信用リスク ―

外国人材の採用が進む中で、「在留資格と実際の業務内容の関係」について、十分に理解されないまま雇用が進んでいるケースを見かけることがあります。
悪意があるわけではなく、「これくらいなら問題ないだろう」「一時的な対応だから大丈夫だろう」と考えてしまうことも、決して珍しくありません。
しかし、在留資格のルールは想像以上に厳格であり、知らないうちに会社側がリスクを抱えてしまう可能性がある点には注意が必要です。


在留資格には「できる仕事の範囲」が決められています

外国人が日本で働く場合、それぞれの在留資格ごとに従事できる業務内容が明確に定められています
この範囲を超えた業務に従事させてしまうと、

  • 外国人本人だけでなく
  • 雇用している会社側も

入管法上の責任を問われる可能性があります。
「会社として意図していなかった」場合であっても、実態としてどのような業務に従事していたかが判断の基準になります。


「技術・人文知識・国際業務」は現場作業に注意が必要です

就労の在留資格でもメジャーな「技術・人文知識・国際業務(いわゆる技人国)」は、

  • 技術職
  • 企画・事務系業務
  • 国際的な業務

など、専門性を活かす業務が想定されています。
そのため、

  • 工場での生産作業
  • 単純作業
  • 清掃や梱包作業

といった業務については、原則として対象外とされます。
「人手が足りない時間帯だけ手伝ってもらう」というケースは認められませんので、慎重な判断が求められます。


最近、技人国と業務内容の不一致が報道されるケースが増えています

近年のニュースでは、

  • 技人国で在留している外国人が
  • 生産現場などで実際には作業を行っていた

という理由で、会社関係者が摘発された事例が報道されることが増えています。
多くの場合、「制度への理解不足」「現場との情報共有不足」が背景にあるように見受けられます。


報道されることで生じる、会社のイメージへの影響

法的な問題以上に、企業にとって見逃せないのが対外的なイメージへの影響です。

一度報道されると、

  • 取引先や顧客からの印象
  • 採用活動への影響
  • 社内外からの信頼

など、目に見えないダメージが長く残ることも少なくありません。
「知らなかった」では済まされない、という点が、外国人雇用の難しさでもあります。


外国人材の業務管理は「定期的な確認」がとても大切です

外国人材を安心して活用するためには、

  • 在留資格と業務内容が合っているか
  • 配属先・業務内容に変更がないか
  • 現場でもルールが共有されているか

といった点を、定期的に確認することが重要です。
少しでも判断に迷う場合は、早めに専門家へ相談することが、結果的に会社を守ることにつながります。


まとめ

外国人材の雇用は、企業にとって大きな可能性をもたらします。
その一方で、在留資格のルールを正しく理解しておくことが、長く安心して外国人材と働くための前提条件になります。

「今の業務内容は問題ないだろうか?」と感じたときが、確認のタイミングです。
トラブルを未然に防ぐためにも、外国人材の業務管理について、ぜひ一度見直してみてください。

目視だけで大丈夫ですか?在留カード等読取アプリケーションの実務的な使い方

在留カード等読取アプリケーションの実務的な使い方

外国人材を採用・雇用している企業にとって、在留カードの確認は必須の実務です。

とはいえ、

  • 見た目は問題なさそう
  • 毎回同じ社員だから大丈夫
  • 期限だけ確認して終わり

このような運用になっていないでしょうか。

近年は在留カードの偽造・変造が巧妙化しており、目視確認だけではリスクを完全に排除できないのが実情です。

そこで今回は、出入国在留管理庁が公式に提供している「在留カード等読取アプリケーション」について、人事実務の視点から分かりやすく解説します。


在留カード等読取アプリケーションとは?

このアプリは、

  • 在留カード
  • 特別永住者証明書

に内蔵されているICチップの情報を読み取る公式アプリです。

アプリでできること
  • ICチップ内の情報(氏名・生年月日・在留資格・在留期間・顔写真など)を読み取り
  • その内容を画面上に表示
  • 券面に印字されている内容と照合することで、偽変造の疑いを確認

ポイントは、「券面」と「ICチップ」の一致を確認できる点にあります。


なぜ人事担当者にとって重要なのか

① 採用時の確認を「より確実」にできる

外国人を採用する際、在留カードの確認は必須です。
しかし、券面の見た目だけでは判断できないケースも増えています。

このアプリを使えば、

  • ICチップの情報と券面の記載が一致しているか
  • 顔写真に不自然な違いがないか

客観的に確認できます。 ※ 利用時は、他の身分証確認と同様、本人の同意を得た上で行う必要があります。

② 不法就労リスクへの備えになる

企業が知らないうちに在留資格外の外国人を雇用してしまった場合、不法就労助長罪が問題となる可能性があります。

公式アプリを利用して確認していれば、

  • 企業として必要な確認を行っている
  • 管理体制が整っている

ことを説明しやすく、コンプライアンス強化にもつながります。


「失効情報照会」との併用が実務では重要

このアプリで分かるのは、
「カード自体が真正かどうかです。

一方で、その在留カードが現在も有効かどうかを確認するには、在留カード等番号失効情報照会を併用する必要があります。

そのため、読取アプリでカードの真正性確認、失効情報照会で有効・失効の確認の 両方で確認して初めて安心と言える運用です。


導入は難しい?利用環境について

対応OS
  • Windows 11
  • macOS 13以降(Apple M1以降)
  • Android 12以降
  • iOS 16以降

iPadは非対応です。

準備するもの
  • パソコン利用の場合
    → 非接触型ICカードリーダライタ(拡張APDU対応)
  • スマートフォン利用の場合
    → NFC Type B対応端末(追加機器不要)

特別なシステム開発は不要で、無料で導入できる点も大きなメリットです。


まとめ

在留カード等読取アプリケーションは、

  • 出入国在留管理庁が公式に提供
  • 無料で利用可能
  • 人事実務に直結するツール

という点で、外国人雇用を行う企業にとって非常に有用です。

トラブルが起きてから対応するのではなく、「起きないための確認」として、ぜひ導入・活用を検討してみてください。

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としています。
具体的な事案については、専門家へのご相談をおすすめします。

【人事担当者向け】在留資格制度は変化のうねりの中に

―― 閣議決定にみる、外国籍従業員管理の新たな責任とは

近年、外国人材の活用は、多くの企業にとって不可欠な経営課題となっています。
一方で、政府はこのたび、「外国人の受入れ・秩序ある共生社会の実現」に向けた総合的対応策を閣議決定し、在留資格制度の運用を見直す方針を明確にしました。

本記事では、特に企業の人事担当者に直接影響する「在留資格」に関するポイントに絞って解説します。


在留資格は「形式審査」から「実質審査」へ

今回の閣議決定の最大の特徴は、在留資格の審査・更新・取消について、実質的なチェックを強化する方向性が明確になった点です。

具体的には、

  • 税金・社会保険料の納付状況
  • 医療費不払の有無
  • 法令・ルール遵守状況

といった情報を、関係機関間で連携し、在留審査に活用するとされています。

これは、

      過去に許可を受けたから問題ない、という従来の感覚が通用しなくなること

を意味します。


企業の管理状況が、在留資格に影響する時代へ

特に人事担当者が留意すべき点は、
外国籍従業員本人だけでなく、企業側の管理体制も在留資格審査の前提になるという点です。

例えば、

  • 適切な雇用契約が締結されているか
  • 実態と異なる業務に従事させていないか
  • 社会保険への適正加入がなされているか
  • 在籍管理・勤務実態が説明できるか

といった事項は、今後、在留資格の更新不許可・取消リスクに直結し得ます。

特に「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」など、企業が主体的に受け入れる在留資格では、企業側のコンプライアンスがより厳しく問われることになります。


特定技能は「人数管理」が本格化

報道等によれば、政府は2028年末までに、

  • 特定技能:約80万人
  • 育成就労:約42万人

という受入れ人数の上限を設定する方針です。

これは、特定技能が「必要な人数だけ、管理された形で受け入れる在留資格」であることを明確にしたものです。

これまでも受け入れ上限は設定されていましたが、都度引き上げられ、実質的に機能していない側面もありました。
一方、今後は厳格に人数の上限管理がなされる可能性があります。
人事担当者としては、このような状況を念頭に人材育成・配置・評価を行う必要があります。


日本語能力・制度理解も審査対象に

今回の閣議決定では、

  • 日本語能力
  • 日本の制度・ルールの理解

について、在留審査(永住審査を含む)の要素とすることを検討するとされています。

これは、単に業務ができれば足りるのではなく、

  • 職場ルールの理解
  • 法令遵守意識
  • 社会的な適応状況

まで含めて評価される方向性を示しています。

企業としても、外国籍従業員への日本語教育・ルール周知を「福利厚生」ではなく「リスク管理」として捉える必要があるでしょう。


人事担当者に求められる視点の転換

今回の閣議決定を踏まえると、今後の人事実務では、

  • 在留資格を「本人任せ」にしない
  • 在留期間・資格内容を常に把握する
  • 業務内容変更時は在留資格への影響を確認する
  • 問題が起きてからではなく、予防的に管理する

という姿勢が不可欠になります。

在留資格は、もはや入社時の手続で終わるものではなく、継続的に管理すべき労務リスクと位置付けるべき段階に入っています。


まとめ

今回の閣議決定は、
外国人材の受入れを否定するものではありません。

むしろ、

  • 受け入れる人数を管理し
  • 在留中のルール遵守を重視し
  • 企業と本人の双方に責任を求める

という、成熟した受入れ制度への転換といえます。

外国籍従業員を雇用する企業にとって、在留資格管理は「法務・人事の専門領域」ではなく、経営リスク管理の一部として位置付けることが、今後ますます重要になるでしょう。

2026年度からの査証・在留資格関連手数料引き上げ方針についての報道

複数のメディアにおいて、「政府が2026年度から外国人に対する査証(ビザ)の発行や在留資格の更新・変更にかかる手数料を大幅に引き上げる方針を固めた」と報じられています。

報道によれば、政府は現行の手数料水準から最大で5倍程度への引き上げを検討しており、これに加えて国際観光旅客税(出国税)の引き上げも検討しているとのことです。

本稿では、このような政府方針に関する報道を前提として外国人採用を進める企業の人事担当者が知っておくべきポイントを整理します。


ポイント整理

今回の報道の要点は次のとおりです。

  • 政府は外国人向けの査証発行手数料の大幅引き上げ(最大5倍程度)を検討している。
  • 在留資格の更新・変更手数料についても同様の引き上げが想定されている。

なお、現時点では政府の正式な確定内容ではなく、あくまで「方針・検討段階の報道」である点に留意が必要です。


人事担当者が押さえておくべき実務上の影響

人事実務に直接影響が及ぶ可能性がある点を整理すると次のようになります。

(1) 査証(ビザ)発行手数料の増加

企業が外国人労働者を採用する際、新規入国のためのビザ発行費用が引き上げられば、採用時のコスト負担は増える可能性があります。

手数料が引き上げられる対象・金額の具体版は明らかになっていませんが、採用計画・予算立案において手数料負担の増加を見込んだ計画づくりが必要です。

(2) 在留資格の更新・変更手数料引き上げ

外国人社員については、在留資格の更新手続きが定期的に発生します。また、外国籍の新入社員を雇用する場合は、在留資格変更手続きを行う必要があります。
手数料の引き上げが実行されれば、更新・変更のたびに企業ないし本人の負担が増える可能性があります。

そのため、

  • 在留期限のスケジュール管理
  • 更新/変更のタイミングの適切な把握

といった実務対応が重要になります。


今からできる準備

報道を受けて、人事部門として検討・準備しておくべき事項として、次の点が挙げられます。

3-1. 外国人雇用コストの見直し

査証・在留資格関連の費用負担をこれまで企業負担としていた場合、手数料引き上げを想定した予算計画の見直しが必要です。
費用負担の慣行(本人負担か企業負担か)を明確にし、将来的な増加分を見込んだ試算を行うことが求められます。

3-2. ビザ・在留手続きスケジュールの管理強化

外国人社員ごとに

  • 在留期限
  • 更新・変更の必要時期

を正確に把握し、改正前後の手続きタイミングを最適化する体制構築が望まれます。

3-3. 社内外の情報収集体制

報道は方針段階の情報にとどまっているため、今後政府・法務省・出入国在留管理庁等からの制度改正情報をリアルタイムで把握する体制が重要です。法令・告示・通知等の改正内容が公表された段階で、速やかに社内に周知・対応することが求められます。


行政書士の視点から

政府の方針として手数料引き上げが報じられたことで、外国人雇用にかかる実務的負担やコストが変化する可能性が高まっています。今後、法令・政令レベルでの確定情報が示されるまでの間も、社内での影響試算やリスク整理を進めることが有益です。

また、実務対応面では、外国人社員の在留管理を適切に行うことが、結果として手数料負担の最適化につながる可能性があります。制度改正の動きと実務対応の両面を注視しながら、社内体制を整備していくことが重要です。

【重要】在留申請オンラインシステム利用時の注意点

マイナンバーカード有効期限と特例期間の関係について

在留期間更新許可申請または在留資格変更許可申請を在留申請オンラインシステムにより行う外国人の方に向けて制度変更に関する重要なお知らせです。


制度変更の概要

令和8年(2026年)1月以降、利用者区分が「外国人本人」の場合、次の条件に該当すると、在留申請オンラインシステムを利用した資料提出ができなくなります。


オンラインで資料提出ができなくなるケース

以下のすべてに該当する場合です。

  1. 在留期間更新許可申請
     または
     在留資格変更許可申請を行っていること
  2. 在留期限を経過し、特例期間に入っていること
  3. 在留期限までに、マイナンバーカードの有効期限延長手続を行っていないこと

この場合、オンラインシステムによる追加資料の提出が不可となります。


利用できる機能・できない機能

特例期間中であっても、次の機能は利用可能です。

  • 在留申請オンラインシステムへのログイン
  • 申請状況の照会

一方で、次の機能は利用できません。

  • オンラインによる資料の追加提出

制度の背景

在留申請オンラインシステムは、有効なマイナンバーカードによる本人確認を前提として運用されています。

そのため、

  • マイナンバーカードの有効期限が満了している状態
  • かつ、在留期限経過後の特例期間に入っている状態

では、新たな申請行為に該当する資料提出をオンラインで行うことが制限される仕組みとなっています。


実務上の注意点

入管からの追加資料提出の指示は、特例期間中に行われることが少なくありません。

しかし、上記の条件に該当すると、

  • オンラインでの提出ができず
  • 紙での提出に切り替える必要が生じる

など、手続の遅延や負担増につながるおそれがあります。


事前対応の重要性

このような事態を防ぐためには、 在留期限が到来する前に、マイナンバーカードの有効期限延長手続を行うことが非常に重要です。

事前に対応しておくことで、特例期間中においても、オンラインでの資料提出が可能となる余地が確保されます。


まとめ

  • 令和8年1月以降、運用が変更されます
  • マイナンバーカードの有効期限管理が、オンライン申請の継続利用に直結します
  • 有効期限を延長しないまま特例期間に入ると、
    オンラインで資料提出ができなくなります

在留手続を円滑に進めるためにも、マイナンバーカードの有効期限の確認と早めの延長手続を心がけましょう。

なお、弊社では、在留期間更新申請・変更申請の取次サービスを提供しています。お気軽にご相談下さい。

永住許可要件の見直し報道―外国人社員の「定着支援」を行う企業が注視すべき動き-

近年、少子化や慢性的な人手不足を背景に、外国人社員に長期的に定着して勤務してもらうことを重視する企業が増えています
こうした企業の中には、就労系の在留資格で勤務する外国人社員について、将来的に在留期限のない永住許可への切替を見据えた支援を行っているところも少なくありません。

そのような中、政府が検討している外国人政策の基本方針をめぐり、永住許可申請の要件が今後、厳格化される可能性があると読売新聞オンラインが報じています。
外国人材の長期雇用や定着を人事戦略の柱とする企業にとって、見過ごせない動きと言えます。

(画像はイメージです)


同紙によれば、政府は在留管理の適正化の一環として、永住許可の要件に日本語能力を新たに加えることや、一定の収入基準を明確に設定することを検討しているとされています。
これまで永住許可の審査では、在留期間、素行、安定した生計の維持などが総合的に判断されてきましたが、今後は「日本社会で自立的に生活できるか」という点が、より具体的な基準で評価される可能性があります。

この見直しが実現した場合、企業が支援してきた永住許可申請のハードルが上がる可能性があります。
特に、日本語能力については、日常業務に支障がないレベルにとどまらず、一定水準を客観的に示すことが求められることも想定されます。
そのため、企業側にとっては、外国人社員向けの日本語研修や評価制度を、永住申請を意識した形で再検討する必要が生じるかもしれません。

また、収入基準が明確化されれば、処遇や昇給のタイミングが、永住許可取得の可否に直接影響する場面も考えられます。
外国人社員のキャリアパスを設計する際、単に業務上の評価だけでなく、「将来的に永住許可を取得できるか」という観点を含めた説明や支援が、これまで以上に重要になる可能性があります。

さらに、読売新聞では、日本語や日本の法制度・文化を学ぶためのプログラムを創設し、永住許可や在留資格の審査時に受講を求める案も検討されていると報じています。
これは、企業が行ってきた定着支援やオンボーディング施策と重なる部分も多く、今後は企業の支援と公的制度との関係性を意識した対応が求められる局面が出てくると考えられます。

現時点では、これらはあくまで政府方針案の段階であり、具体的な基準や運用は今後の正式決定を待つ必要があります。
しかし、外国人社員の永住取得を前提とした雇用・定着戦略を取っている企業にとっては、制度変更の方向性を早期に把握し、社内制度や支援内容を見直す重要なタイミングに差しかかっていると言えるでしょう。


引用元

外国人労働者の採用、課題は依然として明確

――コミュニケーションと教育、そして定着がカギに

帝国データバンクが2025年8月に実施した「東京都・外国人労働者の雇用・採用に対する企業の動向調査」によると、外国人労働者の採用を拡大または新たに開始する意向を持つ企業は13.2%となり、前回(2024年2月)の17.3%から4.1ポイント減少しました。
採用意欲は一時期の上昇傾向からやや落ち着きを見せている
ようにも見受けられます。


コミュニケーションと教育が最大の課題

調査結果では、外国人雇用における課題として

  • 「コミュニケーション」(53.1%)
  • 「スキルや語学などの教育」(51.7%)

が最も多く挙げられました。
続いて、「継続性・定着」(39.2%)や「社風・業務内容への適応」(36.4%)も多く、外国人の方が長く安定して働ける環境づくりが企業側の重要なテーマとなっています。

外国人の採用は「人手不足の解消」という即効的な効果をもたらしますが、実際の雇用継続には職場内での理解促進・教育体制の整備・相互の信頼関係が欠かせません。特に「定着」は今後さらに注目すべき課題と言えます。


在留資格管理は企業の法的責任

外国人を雇用する際には、在留資格の内容確認と管理が非常に重要です。
在留資格と業務内容が一致していない場合、企業側にも法的責任が及ぶおそれがあります。
たとえば、特定技能、技術・人文知識・国際業務など、在留資格ごとに従事できる業務範囲が明確に定められています。

適切な管理を怠ると、罰則や行政指導の対象になる可能性もあるため、採用前の確認と継続的な管理が不可欠です。


専門家への相談で安心・安全な雇用を

在留資格や就労ルールは複雑であり、更新手続きや制度変更への対応も求められます。
自社だけで対応するには限界があるため、行政書士など外国人雇用に精通した専門家へ相談することをお勧めします。

当社では、

  • 外国人雇用に関する在留資格確認・取得支援
  • 就労内容の法的整合性チェック

などを行っております。
外国人雇用に関する不安や疑問がある場合は、ぜひ一度ご相談ください。