育成就労制度における「本人意向による転籍制限(案)」の議論

2025年9月17日に開催された第7回 特定技能制度及び育成就労制度の基本方針・分野別運用方針に関する有識者会議において、「育成就労制度における本人意向による転籍制限(案)」が示されました。
今回は、この転籍制限(案)についてポイントを整理してご紹介します。


育成就労制度とは?

育成就労制度とは、外国人材を3年間の就労を通じて計画的に育成し、最終的に「特定技能」への移行を可能とする仕組みです。
従来の技能実習制度を見直し、「人材育成」と「労働力確保」の両立を目指す新制度として導入が決定されました。


転籍(受入れ先変更)に関する新たな制限案

これまで、倒産・ハラスメントなどやむを得ない事情がある場合に転籍が認められていましたが、本人の希望による転籍についてもルールが設けられる方向で検討されています。主なポイントは以下の通りです。

  • 転籍制限期間:分野ごとに 1年~2年 の範囲で設定
  • 制限期間中は本人希望による転籍ができない(ただし不当な扱いがあれば例外あり)
  • 特定技能への移行時には追加要件あり(日本語能力や技能試験合格など)


分野ごとの転籍制限と追加要件(例)

分野転籍制限特定技能への移行要件
介護1年特定技能試験必須(従来通り)
外食業2年日本語A2水準以上
農業・漁業2年日本語A2水準以上
建設・製造関連2年技能実習修了試験または技能検定合格

以上の制限が検討されています。

※A2水準=日常的な会話がある程度可能なレベル


企業人事担当者にとってのポイント

  1. 短期離職リスクの軽減
    転籍制限により、採用した人材が短期間で辞める可能性が減少し、計画的な人材育成が可能になります。
  2. 日本語教育・技能試験対策が必須に
    特定技能への移行要件として「日本語A2水準」や「技能試験合格」が求められる分野が多いため、企業内での教育体制強化が重要になります。
  3. 労務管理と適正な受入れ体制の確保
    転籍が制限される一方で、不当な労働環境があれば例外的に転籍が認められるため、労務管理の透明性・適正性が一層重視されます。


今後の見通し

この「転籍制限案」はまだ検討段階ですが、育成就労制度の導入を検討している企業にとっては大きな影響を持つ内容です。
特に、採用計画・教育体制・労務管理の在り方を見直すきっかけになるのではないでしょうか。

外国人労働者の労働災害増加に備える──人事担当者が押さえるべきポイント

昨今、製造業をはじめとする各業種で外国人労働者の活用が進む一方、彼らによる労働災害件数は増加傾向にあります。
たとえば、母国語や文化の違いから労働安全衛生教育が十分に行き届かず、重大事故や休業4日以上の災害が後を絶ちません。このままでは企業の生産性低下だけでなく、法的リスクや社会的信頼の喪失にもつながりかねません。そこで、人事部門として以下の5つの視点で対策を講じることが不可欠です。


在留資格と雇用契約内容の確認・説明

  • 就労可能な在留資格の確認:当然ですが、労働者が合法に従事できる在留資格を正確に把握し、契約書に明記します。
  • 契約条件の理解促進:就業規則や契約書は難解な日本語になりがちです。外国人にも理解しやすい簡易日本語版や、必要に応じて英語・母語版を用意し、口頭でも丁寧に説明することが大切です。

多言語・視覚素材を活用したリスクアセスメント

  • 外国人向けリスクアセスメント:機械設備や作業手順の危険箇所を抽出する際、外国人も含めたワークショップ形式で意見を集約。専門用語を排し、イラストや動画で可視化した上で、結果を多言語マニュアルに反映させるとよいでしょう。
  • 多言語安全標識・注意喚起:厚労省推奨のイラスト+外国語テキストによる標識を現場に掲示し、直感的に危険が伝わる環境をつくりましょう。厚労省では、外国人のための安全衛生管理のページを公表しています。

母語・英語による安全教育

  • 研修の言語対応:安全衛生教育を母語や英語で受講できる体制を整備するのが望ましいです。外部派遣の通訳者や社内バイリンガル社員を活用し、分かりやすい教材を準備しましょう。
  • 現場OJTの見える化:ベテラン作業者との1対1指導では、実演を動画撮影し繰り返し確認できる仕組みを整えます。理解度テストも母語で実施し、記録を保存しましょう。

報告・連絡のハードルを下げる仕組み

  • 相談窓口の設置:人事部門に外国人専用の相談窓口を設置し、日々の困りごとや不安全事象を気軽に報告できるようにすることが望ましいです。
  • 定期面談の実施:月1回程度、上司と作業内容や健康状態を確認する面談を設け、早期にリスクを把握・対応できる体制を構築することが理想的です。

サポート体制強化

  • 労災申請の全面支援:書類作成や窓口対応を企業が率先して支援し、手続きの遅延・ミスを防止します。
  • 異文化理解研修:日本人従業員向けに、多文化共生やコミュニケーション方法の研修を行い、職場全体で助け合う風土を醸成しましょう。


外国人労働者は、全労働者の中でも比較的高い労災発生率を示しており、企業の安全衛生管理上、重点的に対策を講じるべき対象です。
とくに製造業では、機械操作や重量物の取り扱いなどリスクが高い作業も多く、人事部門には法令遵守だけでなく教育・コミュニケーション・生活支援を横断的に推進する役割が求められます。
紹介した5つのポイントを踏まえ、外部専門家や現場管理者とも連携しながら、事故ゼロを目指した取り組みをぜひご検討ください。

特定技能所属機関からの随時届出に関連してお問い合わせの多い事項(Q&A)」最新版(令和7年6月版)が公開されました

令和7年6月に入国在留管理庁より改訂・公開された「特定技能所属機関からの随時届出に関連してお問い合わせの多い事項(Q&A)」は、全170問超の充実した内容で、特定技能外国人を受け入れる企業の人事担当者様必携のガイドです。本記事では、全7章にわたるQ&Aの構成と主なポイントを簡単にご紹介します。

Q&Aの構成

全般事項(Q1-1~Q1-12)

届出の基本ルールの再確認

  • 届出の種類
    • 特定技能雇用契約(変更・終了・新規締結)
    • 支援計画変更
    • 支援委託契約(締結・変更・終了)
    • 受入れ困難(行方不明・傷病・1か月以上未実施など)
    • 基準不適合
    • 支援計画実施困難
  • 提出期限・方法
    • 事由発生日から14日以内が原則
    • 郵送は「到着日」が基準(消印日ではないので注意)
    • 電子届出の事前登録方法も解説
  • 届出書の作成・署名
    • 行政書士や弁護士への委任可(委任状を添付)
    • 実際に作成した担当者が署名
  • 提出先・窓口対応
    • 住所地を管轄する地方局・支局リスト
    • 持参・郵送時の身分証明書類の取り扱い
    • 提出後の訂正方法

特定技能雇用契約に係る届出(Q2-1~Q2-49)

変更届出(Q2-1~Q2-36)
  • 軽微な変更は届出不要のケースを明確化
  • 雇用条件書(様式第1-6号)の抜粋提出可・代替書面の要件
  • 在留資格認定交付前後の手続き相談フロー
  • 雇用契約期間/就業場所/業務内容/労働時間/賃金/健康診断…
    → それぞれ変更事由ごとの届出要件を細かく整理
終了届出(Q2-37~Q2-46)
  • 受入れ困難届出との順序
    事由発生時に受入れ困難を先行提出、契約終了後14日以内に終了届出
  • 事由別フロー
    • 行方不明時
    • 配偶者ビザ等への変更
    • 契約満了/重責解雇/個人事業主の死亡 など
新規締結届出(Q2-47~Q2-49)
  • 一時帰国後の再締結要件
  • 年間所定労働日数・休日日数変更時のまとめ
  • 上陸許可時の届出免除条件

支援計画の変更に係る届出(Q3-1~Q3-8)

  • 変更箇所のみ提出可
    変更ページ+末尾(機関名称・作成責任者名)のみでOK
  • 支援責任者・担当者の交代
    就任/退任時の記載要件と添付書類(計画書・履歴書)
  • 委託形態変更
    • 全部委託⇔自社支援
    • 一部委託への切替
      → それぞれに必要な届出種類と資料を具体例付きで解説

支援委託契約の変更に係る届出(Q4-1~Q4-8)

  • 対象は「全部委託契約」のみ(一部委託は除く)
  • 締結・変更・終了フロー
    • 許可前から委託の場合は届出不要
    • 登録支援機関の変更時は「終了」と「締結」の両方を提出
  • 個別事例対応
    • 一時帰国による契約終了
    • 雇用外国人の退職に伴う届出書記載例
    • 契約期間短縮時の要件

受入れ困難に係る届出(Q5-1~Q5-11)

  • 終了届出との使い分け
    自己都合退職なら終了届出のみでOK
  • 添付書類の選定
    • 活動未実施(1か月以上)→様式第5-14号
    • 行方不明→様式第5-15号
    • その他理由→様式第5-11号
  • 特殊ケース
    • 同時提出の可否
    • 再入国予定後の届出継続要否
    • 合意解除トラブル時の対応指針

基準不適合に係る届出(Q6-1~Q6-9)

  • 不適合事由例
    税金・社会保険料の滞納、非自発的離職、法令違反、不正行為、暴行・監禁、手当未払など
  • 是正後の届出義務
    一時的でも必ず届出、原因と改善経緯は「説明書」にて詳細記載
  • 「不正行為」の具体例解説
    暴行脅迫、パスポート取り上げ、虚偽文書使用、届出・報告徴収違反など

支援計画実施困難に係る届出(Q7-1~Q7-3)

  • 所属機関からの届出不要ケース
    全部委託している場合は登録支援機関が報告
  • 届出要件
    • 計画に沿った支援が実施できなかった場合
    • 定期面談等で把握した問題が社内で解決困難→他機関へ相談した場合
  • 外国人の「支援不要申出」
    届出不要だが記録の保管義務あり

おわりに

本Q&Aでは、「届出の種類」「提出期限」「添付書類」「提出先」「社内フロー上の留意点」が章立て・事由別に整理されています。ぜひ自社のチェックリストや業務フロー図に落とし込み、ミスなくスムーズな届出運用にご活用ください。

最新の全文はこちらから確認することができます。
特定技能随時届出Q&A(令和7年6月版)PDFダウンロード

技能実習生受け入れ企業の法令遵守と安全管理の重要性

日本の企業が技能実習生を受け入れるにあたっては、適正な管理体制と法令遵守が求められています。
最近、ある企業において安全管理の不備が原因で厳しい行政処分が下された事例が報道されました。この事例は、実習生の安全を確保するためにも、事業者としての責任を再確認する絶好の機会となっています。

行政処分の概要とその背景

ある企業は、実習生の安全管理に対して十分な配慮がなされなかった結果、これまで認定されていた約2000件の技能実習計画がすべて取り消され、さらには今後5年間にわたり実習生の受け入れが停止されるという厳しい措置が取られました。

なぜ安全管理がこれほどまでに重要なのか

技能実習生は、海外から日本に来て実践的な技術や知識を学ぶ貴重な存在です。しかし、その受け入れや育成においては、彼らの安全や労働環境が確保されなければなりません。
安全管理を怠れば、実習生は劣悪な環境や事故に巻き込まれるリスクが高まります。それと同時に、企業自体も法令違反として厳しい行政処分や、企業イメージの低下、ひいては業績への悪影響が避けられません。

企業としての責任と対策

この行政処分は、技能実習生を受け入れている全ての企業に対して次のような教訓を与えています。

  • 法令の厳守
    技能実習計画は、受け入れ企業が国内外の法令や基準を遵守した上で策定されなければなりません。特に安全管理に関する取り組みは、企業の最重要課題であり、厳重に対策を講じる必要があります。
  • 定期的な内部監査
    自社の安全管理体制や労働環境の現状を定期的に見直し、改善点があれば速やかに対処する体制が求められます。内部監査の結果に基づき、具体的な改善計画の策定・実行を進めることが重要です。
  • 従業員への教育と研修
    安全管理の基礎知識と具体的な対策方法について、社内で定期的な研修を実施することにより、全従業員が一丸となって実習生の安全を守る意識を醸成することが不可欠です。
  • 外部専門家の活用
    必要に応じて、労働安全衛生の専門家や行政機関との連携を深めるなど、外部の知見を取り入れることで、より実効性のある管理体制を構築することが期待されます。

今後の展望

企業が技能実習生を受け入れる際には、単に技術移転という側面だけでなく、人権尊重や安全管理に対する真摯な対応が求められます。
今回の厳しい行政処分事例は、企業にとって痛手となる可能性がある一方で、今後の改善活動の契機ともなります。企業の適正な取り組みが評価され、実習生が安全かつ安心して学べる環境が整備されることを期待しています。

受け入れ企業の皆様には、今回の処分を一つの警鐘とし、さらなる法令遵守と安全管理の徹底に努めていただきたいと思います。企業としての責任を果たすことが、最終的には企業の未来を守ることにも繋がるのではないでしょうか。

高知県発「こうち外国人材優良サポート事業者認証制度」が企業にもたらす未来

グローバル化が進む中、外国人材採用は多くの企業にとって避けては通れない喫緊の課題となっています。しかし、採用に成功した一方で、十分な教育やサポート体制が整っていない企業が少なくないという現状もあります。
こうした背景を踏まえ、高知県が新たに打ち出した「こうち外国人材優良サポート事業者認証制度」は、企業にとって大きな可能性とメリットを秘めた取り組みであると思われます。

制度の背景と目的

外国人材採用の課題
人手不足が叫ばれる昨今、企業の人材確保は急務となっています。しかし、特に外国人材の場合、採用後の教育体制やサポートが十分でないと、その能力を十分に発揮できず、場合によっては早期離職やミスマッチが生じるリスクがあります。
企業内での外国人材育成の充実は、企業全体の成長に直結する重要な課題と言えます。

高知県の取り組み
今回、高知県は「こうち外国人材優良サポート事業者認証制度」を創設し、県内事業所で外国人材が「暮らしやすい」「働きやすい」「学びやすい」環境づくりに積極的に取り組む事業者を認証する仕組みを整えました。
認証を受けた企業は、イメージアップや各種補助金の補助率アップといったメリットが期待でき、結果として外国人材の育成に向けたモチベーション向上を促すとともに、国内産業の活性化へ寄与する仕組みとなっています。

認証制度の主なメリット

  1. 企業イメージの向上
     認証制度に参加することで、企業が積極的に外国人材の育成に取り組んでいる姿勢をアピールでき、採用活動のみならず企業ブランディングにも大きな効果が期待されます。県の公式ホームページなどを通じた情報発信により、企業の取り組みが広く伝えられる仕組みが整っています。
  2. 認証マークの活用
     認証を受けた企業には認証マークが付与され、これを企業のPRに活用することができます。これにより、グローバルな人材獲得競争において、信頼性の高い企業としての印象を与えることができます。
  3. 補助金制度の優遇
     認証を受けた企業は外国人材受入環境整備事業補助金の補助率が通常1/3から1/2にアップするなど、経済的なインセンティブも用意されています。これにより、外国人材の雇用・育成にかかるコスト面でのサポートを受けることができます。

企業にとっての意義と今後の展望

外国人材採用が企業の競争力向上に不可欠であると同時に、採用後の教育やサポート体制の整備も企業に取って取り組むべき課題と言えます。今回の高知県の認証制度は、企業に対して以下のような意義を持っているのではないでしょうか。

  • 外国人材育成への意欲向上
     制度を活用することで、企業は外国人材の育成に積極的に取り組む姿勢を強く打ち出すことが可能となります。教育や研修の充実を図ることは、従業員個々の能力向上のみならず、企業全体の業績向上につながる大きな要素です。
  • 国内産業の活性化
     多様な人材が活躍することで、社内における異なる視点やアイデアが生まれ、イノベーションの創出が期待されます。このような企業の競争力の向上は、地域経済全体、そして国内産業の発展にも寄与するのではないでしょうか。

まとめ

今回の高知県の「こうち外国人材優良サポート事業者認証制度」は、外国人材採用および教育に関する課題解決と企業イメージの向上、さらには経済的な支援制度を通じて、国内産業の活性化を狙った革新的な取り組みと言えます。
同様の取り組みが全国に広がっていくことを期待しています。

参考URL:「こうち外国人材優良サポート事業者認証制度」が始まります!

外国人従業員の在留資格管理の重要性

昨今、多くの企業が外国人を雇用し、多様なバックグラウンドを持つ人材が企業活動に貢献しています。
そして、彼らの在留資格の管理は企業にとって責任ある雇用管理の重要な一環です。
2023年、大阪府寝屋川市の企業に対し、技能実習生の在留資格更新手続きに不備があったためとして損害賠償が命じられました。このケースは技能実習生に限らず、在留資格を有する他の外国人従業員にも十分に当てはまるものです。

事件概要と教訓

今回の事件では、在留資格の更新手続きが不十分であったために、ベトナム人技能実習生が資格を失い、結果として職場を離れることを余儀なくされました。
このような問題は、技能実習生のみならず、専門的・技術的分野で働く外国人やその他の在留資格を持つ外国人従業員にも起こり得ることです。
在留資格の更新が滞ることで、本人はもちろん、企業側も法的責任を問われるリスクがあるため、在留資格管理の重要性が改めて浮き彫りになっています。

在留資格管理の重要性が技能実習生以外にも当てはまる理由

  1. 外国人の多様な在留資格と更新要件
    日本で働く外国人には、技能実習生のほか、「技術・人文知識・国際業務」「高度専門職」「特定技能」などの在留資格があります。各資格に応じて定められた更新手続きや期限が異なり、企業はこれらを理解し、適切に対応する必要があります。
  2. 在留期限を徒過した場合の影響
    在留資格が失効すると、外国人従業員は就労が不可能になり、最悪の場合は帰国を余儀なくされます。これは技能実習生に限らず、その他の外国人従業員にとっても深刻な問題です。また、従業員が急に退職することで、企業の業務運営にも支障が生じる可能性があります。
  3. 法令遵守と企業イメージの向上
    外国人従業員を雇用する企業は、雇用管理上、在留資格の管理を徹底する責任があります。適切な管理は、企業としての社会的責任を果たすことにもつながり、健全な雇用環境を提供しているという企業イメージの向上にも寄与します。
  4. 管理不備による企業リスクの軽減
    在留資格管理が不十分であった場合、労働契約が守られなかったとして企業が損害賠償を求められることもあります。
    今回のケースでも、在留期限更新手続きの不備によって賠償命令が下されています。企業側が在留期限の更新状況を把握し、適切に管理することで、リスクを未然に防ぐことが可能です。

専門家への依頼による管理ミスの防止

外国人の在留資格の管理は、期限や書類の整備などが複雑であり、更新手続きのミスが発生しやすいものです。
そのため、特に多忙な企業の人事担当者にとって、行政書士などの専門家に業務を依頼することは有効な対策です。
行政書士は在留資格に関する知識と経験を持ち、以下の点で企業のリスクを軽減することができます。

ご不明な点は、ぜひ、弊社までお気軽にお問い合わせください。

本国情勢を踏まえた在留ミャンマー人への緊急避難措置について(要件の一部変更)

ミャンマー人に対する緊急避難措置の背景と対応

2021年2月1日のミャンマー軍事クーデターを原因とするミャンマー国内の情勢混乱を理由に、日本政府は、日本に滞在するミャンマー人に対する緊急避難措置を導入しました。
この措置により、現在保有する在留資格の活動が終了したものの引き続き日本滞在を希望するミャンマー人に対しては、ミャンマーの情勢が安定するまでの間に限り、他の在留資格への変更(特定活動)や就労の許可が認められています。
しかし、制度の誤用・濫用が散見されることから、2024年10月1日より、この措置に関する取り扱いが一部変更されました。

現在有する在留資格の活動を満了した者、または自己都合ではなく在留資格の活動を満了せずに滞在を希望する者

これまでの取り扱い
  • 特定活動(1年・就労可) への変更が原則として認められていました。
    • 例えば、技能実習を修了した場合や、教育機関を卒業した場合、または自己都合ではない理由(会社の都合や不測の事態で実習が継続できない場合など)で実習が完了しなかった場合でも、特定活動への変更が許可されました。
今後の取り扱い
  • 特定活動(1年・就労可) への変更は一部制限が設けられます。
    • 技能実習を修了していない場合でも、実習の継続が不可能となった理由が自己の責任ではないと判断され、かつ監理団体が実習先の変更に必要な措置を講じたものの新たな実習先が見つからない場合に限り、特定活動(1年・就労可)への変更が認められます。
    • ただし、自己都合で実習を中断した場合(以下②参照)や、新たな実習先が確保されている場合には、原則として特定活動への変更は認められません。

自己都合で在留資格の活動を満了せずに滞在を希望する者

これまでの取り扱い
  • 特定活動(6か月・週28時間以内の就労可) への変更が許可されました。
    • 自己都合で在留資格の活動(例:技能実習など)を満了せずに日本での滞在を希望する場合、特定活動(6か月・週28時間以内の就労可)の資格に変更できました。
    • この特定活動資格を1年間、違反なく適正に保持していれば、特定活動(1年・就労可) への変更が認められる場合もありました。
今後の取り扱い
  • 原則、特定活動(6か月・週28時間以内の就労可) への変更が引き続き認められます。
    • この資格を1年間、違反なく保持している場合、特定活動(1年・就労可)への変更が認められる可能性があります。
    • ただし、技能実習を修了しておらず、なおかつ在留期間が残っている者については、特定活動への変更は認められません

参考

出入国在留管理庁ウェブサイトより(URL:https://www.moj.go.jp/isa/content/001349360.pdf)

工学部を卒業した外国人を自動車整備士として雇用することは可能か?

Q:当社は自動車整備事業を営んでおり、近年の人手不足を受けて外国人労働者の採用を検討しています。
工学部を卒業した外国人を自動車整備士として雇用することはできるのでしょうか?できるとすれば、どのような条件を満たす必要があるのでしょうか?

A:

1. 「技術・人文知識・国際業務」在留資格で自動車整備士を雇用できる可能性

技術・人文知識・国際業務」という在留資格は、専門的な知識を活かすことのできる業務を対象とするものです。一方、自動車整備業務は現場作業を伴うため、原則、このような業務には従事できません。しかし、特定の条件を満たす場合には、自動車整備士の業務をこの在留資格で行える可能性があります。

2. 「技術・人文知識・国際業務」在留資格で許可される業務の条件

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で自動車整備士として働く場合、以下の条件を満たす必要があります。

  • 従事する業務が「サービスエンジニアとしてエンジンやブレーキ等の点検・整備・分解等の業務に従事するとともに、自動車検査員としての業務に従事する」ようなものであること。
  • 2級自動車整備士資格を有していること。なお、入国管理局は、2級自動車整備士資格を明確な要件として掲げてはいませんが、上記業務に従事するためにはこの資格が必要であるため、必然的に2級自動車整備士資格を取得していることが前提となります。
  • 一方、2級自動車整備士資格を取得するためには、3級自動車整備士資格取得後に3年以上の(自動車整備士としての)実務経験を有しているか、日本国内の専門学校の自動車整備科を卒業していることが求められます。しかし、3級自動車整備士が従事できる業務は、オイルタイヤの交換といった簡単な点検業務などに限られる=「技術・人文知識・国際業務」の対象外となるため、実質的には更に日本国内の専門学校の自動車整備科を卒業していることが必須となってしまいます。

3. 他の選択肢としての在留資格

もし、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の要件を満たさない場合や、2級自動車整備士資格を持たない場合は、「特定技能」や「技能実習」といった他の在留資格を検討する必要があります。これらの在留資格は、自動車整備士としての現場作業に従事することを明確に許可しており、特に2級資格がない外国人にも道を開く可能性があります。

4. 他の選択肢としての業務

一方、以下は専門的な知識を活かすことのできる業務に該当するため、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で従事することが可能です。

  • 技術サポート:自動車の設計や技術的な支援を行う業務。
  • 品質管理:整備の品質を管理する業務。
  • エンジニアリング:自動車の新技術開発や部品の設計に関わる業務。

まとめ

工学部を卒業した外国人を自動車整備士として現場作業に従事させたい場合2級自動車整備士資格の取得が必要となります。入国管理局はこの資格を明確な要件とはしていないものの、エンジンやブレーキの整備・分解業務に従事するためには必須の資格です。したがって、「技術・人文知識・国際業務」在留資格で自動車整備士として働くためには、必然的に2級整備士資格が必要となります。

もし、これらの条件が整わない場合は、「特定技能」や「技能実習」在留資格の取得を検討するか、他の専門的な業務に従事してもらうことをお勧めします。

外国人労働者の雇用に関して具体的なケースや条件についてご不明な点があれば、ぜひ当社にご相談ください。

「訪問介護」従事可能な外国人材の対象拡大へ

厚生労働省は、2024年6月19日の審議会で、在留資格「特定技能」「技能実習」を有する外国人材と、「EPA(経済連携協定)に基づく外国人介護福祉士候補者」も、これまで認められていなかった訪問介護業務に従事できるようにする方針を決めました。早ければ、2025年度中にも従事可能となる見通しです。

詳細は、こちらの報道記事からご確認下さい。
詳しい情報が分かり次第、SMART VISAでもお知らせしていきます。

「育成就労制度」の転籍要件緩和へ?

自民党の外国人労働者等特別委員会は、技能実習の代わりとなる在留資格「育成就労」制度の創設に向けた政府方針案を了承しました。
この新制度では、職場変更(転籍)の制限期間を分野ごとに「1~2年」で設定できるようになります(現行は、3年間の転籍禁止)。
また、転籍時の日本語能力要件は「A1~A2」レベルとし、悪質なブローカーによる職業紹介は禁止されます。
政府は、今月中にこの方針を閣僚会議で決定し、関連法案を今国会に提出する予定です。