【2027年4月スタート】育成就労制度とは?運用要領から読み解く「技能実習」との違いとポイント

日本国内の深刻な人手不足を背景に、これまでの「技能実習制度」が幕を閉じ、2027年4月から新たに「育成就労制度」がスタートします。

「結局、何が変わるの?」「うちの会社はどう準備すればいい?」とお悩みの担当者様も多いはず。今回は、令和8年2月に発表された「運用要領」をベースに、重要ポイントをわかりやすく解説します。


制度の目的が「国際貢献」から「人材確保・育成」へ

これまでの技能実習は「技術を母国に持ち帰ってもらう(国際貢献)」という建前がありましたが、育成就労制度は「日本で長く働いてもらうための人材育成と確保」を正面から目的としています。
最大の特徴は、3年間の就労を通じて、在留資格「特定技能1号」の水準までスキルアップさせるという明確なロードマップがあることです。


現場が知っておくべき「3つの大きな変更点」

① 「本人意向の転籍(職場変更)」が可能に

技能実習では原則禁止されていた転籍が、以下の条件を満たせば認められます。

  • 同じ企業で1〜2年(分野により異なる)働いていること
  • 技能試験(初級等)と日本語試験(A1相当)に合格していること
  • 転籍先が一定の基準を満たす「優良な実施者」であること
    ※もちろん、ハラスメントや法令違反などの「やむを得ない事情」がある場合は即座に可能です。
② 報酬は「日本人と同等以上」が必須

育成就労外国人はあくまで「労働者」です。同じ業務に従事する日本人と比べて不当に低い賃金を設定することはできません。
また、技能の習得度合いに応じた昇給など、モチベーションを高める工夫も求められます。

③ 監理団体は「監理支援機関」へ

名称が変わるだけでなく、役割も強化されます。3か月に1回以上の監査、母国語での相談窓口設置、さらには「転籍」を希望する外国人へのキャリア支援などが義務付けられます。


受け入れ企業が準備すべき「3つのチェックリスト」

これから育成就労を始める、あるいは移行する企業様は、以下の準備が必要です。

  1. 役職者の選任と講習の受講
    • 「育成就労責任者」「育成就労指導員」「生活相談員」を選任する必要があります。
    • それぞれ3年ごとに「養成講習」を受講することが義務付けられています。
  2. 住環境の整備
    • 宿泊施設の基準が明確化されました。寝室は「1人当たり4.5平米以上」を確保し、私有物の収納設備(鍵付き)を設けるなどの配慮が必要です。
  3. 日本語学習のサポート
    • 3年間で特定技能1号レベル(A2相当)を目指すため、日本語講習(100時間以上)を受けさせるなどの措置を講じることが推奨されます。


厳格化された「禁止事項」と罰則

人権保護の観点から、以下の行為には厳しい罰則が科されます。

  • 強制労働: 暴行や脅迫による就労。
  • パスポート・在留カードの保管: 本人の同意があっても絶対NGです。
  • 外出・私生活の制限: 不当な門限や携帯電話の没収などは禁止です。
  • 違約金の設定: 「途中で辞めたら罰金」という契約は無効であり、罰則の対象です。


まとめ:選ばれる企業になるために

育成就労制度への移行は、単なる手続きの変更ではありません。
「外国人がキャリアを築ける環境をどう作るか」という、企業としての姿勢が問われるようになります。

転籍が自由化されるということは、魅力的な職場であれば長く働いてもらえますし、そうでなければ選ばれなくなってしまうということ。
今のうちから、教育体制や福利厚生を見直しておくことが、2027年以降の採用競争を勝ち抜く鍵となります。


今後のスケジュール

  • 令和9年(2027年)4月1日: 育成就労制度の本格施行。
  • 現行の技能実習生は、経過措置として一定期間そのまま在留可能です。

詳細な「分野別運用方針」や「具体的な申請書類」についてお困りの際は、お気軽に弊社までご相談ください!

育成就労制度・特定技能制度Q&Aが公表されました

出入国在留管理庁のウェブサイトに「育成就労制度・特定技能制度Q&A」が掲載されました。本記事は、Q&Aの概要を紹介します。

Q1: 法改正の目的

今回の法改正は、技能実習制度の問題点を解決し、外国人がキャリアアップしながら長期にわたり日本で働けるようにするため、育成就労制度を創設したものです。

Q2: 制度の施行時期

育成就労制度と特定技能制度の改正は、改正法の公布日(令和6年6月21日)から3年以内に施行されることになりますが、具体的な施行日は未定です。

Q3: 主務省令の公表時期

育成就労制度に関する主務省令の公表時期は未定ですが、制度利用者が円滑に利用できるように準備が進められています。

Q4: 現行技能実習生の継続受け入れ

育成就労産業分野として設定されている分野であれば、育成就労制度に移行しても受け入れは継続可能です。
施行日に日本に在留する技能実習生については、一定の範囲内で引き続き技能実習を行うことができます。

Q5: 受け入れ形態の変更

育成就労制度では、技能実習制度と同様に、単独型と監理型の受け入れ形態がありますが、受け入れられる外国人の範囲に違いがあります。

Q6: 外国子会社からの受け入れ

外国の支店や子会社の社員の短期間の受け入れは「企業内転勤2号」で、長期的な人材育成は「単独型育成就労」で受け入れが可能です。

Q7: 技能実習生の受け入れ期限

改正法施行日までに認定された技能実習計画に基づくものであり、原則として施行日から起算して3か月を経過するまでに技能実習を開始するものであれば受入可能です。

Q8: 育成就労制度の特徴

育成就労制度は、日本の人手不足分野における人材育成と人材確保を目的としており、技能実習制度とは異なります。

Q9: 特定技能制度との違い

特定技能制度は即戦力となる人材を対象としているのに対し、育成就労制度は専門性がない外国人を受け入れて育成する制度です。

Q10: 育成就労制度の就労期間

育成就労制度では、原則3年間の就労を通じて人材育成が行われますが、特定技能1号への移行に失敗した場合、最長1年の在留継続が認められることがあります。

Q11: 育成就労産業分野の決定時期

育成就労制度の受け入れ対象分野は、施行日までに決定される予定であり、その手続きは所管省庁が検討中です。

Q12: 外国人受け入れ対象国

育成就労制度では、二国間取決めを結んだ国からのみ外国人を受け入れることが想定されています。

Q13: 手続きの基本的な流れ

育成就労制度の認定手続きは技能実習制度と似ていますが、育成就労制度では当初から3年間の計画を作成する必要があります。

Q14: 複数分野での就労

育成就労制度では、一貫性を保つために、複数の分野をまたいで働くことはできません。

Q15: 派遣形態での就労

派遣元と派遣先が共同で育成就労計画を作成し、その認定を受けることで、派遣の形態で育成就労を実施することができます。

Q16: 監理支援機関の役割

育成就労制度では、監理支援機関が外国人の支援・保護を強化し、転籍希望者の調整役を担うことになります。

Q17: 監理支援機関の許可申請

育成就労制度の施行前に、監理支援機関の許可申請が受け付けられる予定ですが、具体的な開始日は未定です。

Q18: 監理団体の役割の継続

監理団体は、新たに監理支援機関の許可を受ける必要がありますが、許可を受ければ役割を継続できます。

Q19: 優良要件の維持

育成就労制度では、優良な監理支援機関に対して手続きの簡素化などの優遇措置が設けられる予定です。

Q20: 施行日後の技能実習生受け入れ

施行日後も技能実習生の受け入れを継続する場合、監理団体の許可の更新が必要です。ただし、育成就労制度の監理支援機関の許可を受けている場合には、技能実習制度における一般監理事業に係る許可を受けたものとみなされますので、別途監理団体の許可の有効期間を更新する必要はありません。

Q21: 受入れ機関の優良要件

育成就労制度でも、受入れ機関に対して手続きの簡素化などの優遇措置が設けられる予定です。

Q22: 受入れ機関の要件

育成就労制度では、技能実習制度と同様の要件が適用されますが、特定技能制度との連続性を持たせるための新たな要件も設けられます。

Q23: 転籍要件

育成就労制度では、人権侵害があった場合や、一定の条件を満たせば、本人の意向による転籍が認められます。

Q24: 家族の帯同

育成就労制度では、原則として家族の帯同は認められていません。

Q25: 入国時の要件

入国時には、技能に関する要件はないものの、日本語能力試験N5相当以上の日本語能力が求められます。

Q26: 元技能実習生の再来日

過去に技能実習を行った外国人が再度来日して育成就労制度で働くことは原則的にできませんが、特定の条件を満たす場合は可能です。

Q27: 既存の技能実習生の扱い

施行日までに既に来日している技能実習生は、引き続き技能実習を継続することが可能です。

Q28: 特定技能制度の変更点

改正法により、特定技能1号の支援業務は登録支援機関に限定され、支援義務が厳格化されました。

Q29: 支援業務の委託先変更

改正法施行後は、特定技能1号の支援業務を登録支援機関に委託する必要があります。経過措置として、施行時に既存の支援委託は一時的に継続可能です。

Q30: 特定技能1号への移行要件

育成就労から特定技能1号へ移行する際は、技能や日本語能力試験に合格する必要があります。

Q31: 育成就労からの特定技能1号への移行

育成就労制度の途中で特定技能1号に移行するには、技能や日本語能力試験に合格し、一定の就労期間を満たす必要があります。

育成就労制度の概要

新たな在留資格創設

2024年6月、改正入管法が可決され、これにより「育成就労」という新たな在留資格が創設されました。
これに伴い、現行の技能実習制度は廃止され、育成就労産業分野に属する業務に従事することが求められます。

目的

育成就労制度は、特定産業分野において特定技能1号水準の技能を持つ人材を育成し、当該分野における人材を確保することを目的としています。また、育成就労外国人の適正な保護も目的としています。

特筆すべき事項

  1. 育成就労計画の認定制度
    育成就労計画の認定には、育成就労の期間が3年以内であること、業務内容、技能、日本語能力などの目標や内容、受入れ機関の体制、外国人が送出機関に支払った費用額などが基準に適合していることが必要です。
    転籍の際には、転籍先において新たな育成就労計画の認定を受ける必要があり、やむを得ない事情や同一業務区分内であることなどの要件を満たす場合に限ります。
  2. 関係機関の在り方
    監理支援機関については、外部監査人の設置を許可要件とし、受入れ機関と密接な関係を有する役職員を当該受入れ機関に対する業務に関わらせてはならないとしています。
    外国人技能実習機構に代わり「外国人育成就労機構」を設立し、育成就労外国人の転籍支援や1号特定技能外国人に対する相談援助業務を追加します。
  3. その他
    季節性のある分野においては、派遣形態による育成就労の実施を認めます。
    制度所管省庁が地域協議会を組織し、地域の実情を踏まえた取組について協議を行います。

育成就労制度は、外国人の適正な労働環境を確保しながら、日本国内での人材育成と確保を進めるための新たな枠組みとして設計されています。この制度の施行により、日本は「選ばれる国」を目指し、長期間産業を支える人材を確保することを目指しています。