留学生アルバイトの「週28時間以内」はどう確認する?

外国人留学生をアルバイトとして採用する場合、企業側が特に注意すべきなのが、いわゆる「週28時間以内」のルールです。

留学生は、「留学」の在留資格だけで自由に働けるわけではありません。アルバイトをするためには、原則として「資格外活動許可」を受けている必要があります。


まず確認すべきは「資格外活動許可」

採用時には、在留カードを確認し、在留資格が「留学」であること、在留期間が切れていないこと、資格外活動許可を受けていることを確認します。

資格外活動許可の有無は、在留カード裏面の記載等で確認できます。
資格外活動許可がない場合、原則としてアルバイトとして就労させることはできません


週28時間以内は「自社だけ」ではない

留学生のアルバイトは、原則として1週28時間以内とされています。

ここで注意が必要なのは、28時間以内かどうかは、自社での勤務時間だけで判断するものではないという点です。

留学生が複数のアルバイトを掛け持ちしている場合、すべての勤務先での勤務時間を合計して、週28時間以内に収まっている必要があります
そのため、採用時には、他社でアルバイトをしているか、している場合は週何時間程度勤務しているかを確認しておくことが重要です。


「1週」の見方にも注意

週28時間以内という場合の「1週」は、単に会社のシフト表上の月曜から日曜で見ればよい、というものではありません。

出入国在留管理庁の資料では、どの曜日から1週を起算した場合でも、常に1週28時間以内である必要があるとされています。

そのため、特定の週だけ勤務時間が偏るようなシフトを組む場合には注意が必要です。


長期休業期間中は1日8時間以内まで可能

学校の夏休み・冬休みなど、学則で定められた長期休業期間中は、1日8時間以内までアルバイトが認められます。

ただし、単に授業が少ない期間や、本人が学校を休んでいる期間を、会社側の判断で長期休業期間として扱うことは避けるべきです。

長期休業期間として扱う場合には、学校の学則や年間スケジュール等を確認しておくと安全です。


企業側で行うべき管理

企業としては、少なくとも次の点を確認・管理しておくことが望ましいです。

  • 在留カードを確認する
  • 資格外活動許可の有無を確認する
  • 他社アルバイトの有無と勤務時間を確認する
  • 勤務時間が週28時間以内に収まるようシフトを管理する
  • 長期休業期間は学校資料等で確認する
  • 確認した内容を記録として残す

まとめ

留学生アルバイトを採用する場合、企業は「在留カードを見たから大丈夫」と考えるのではなく、資格外活動許可の有無、週28時間以内の管理、他社勤務の有無まで確認する必要があります。

特に、週28時間以内のルールは、自社だけでなく、他のアルバイト先も含めた合計時間で判断されます。

採用時の確認と、雇用中のシフト管理を適切に行うことが、企業側のリスクを避けるうえで重要です。


参考資料
  • 出入国在留管理庁「『留学』の在留資格に係る資格外活動許可について」
  • 出入国在留管理庁「就労資格の在留諸申請に関連してお問い合わせの多い事項」
  • 出入国在留管理庁「外国人の適正な雇用にご協力ください」
  • 厚生労働省「外国人雇用はルールを守って適正に」

1歳以上16歳未満の方の在留カードにも顔写真が表示されるようになります

2026年6月14日から、在留カード等の様式が新しくなり、1歳以上16歳未満の方についても、在留カード等に顔写真が表示されるようになります

これまで、16歳未満の方の在留カードには、原則として顔写真が表示されていませんでした。しかし、改正入管法の施行に伴い、今後は、1歳以上の方であれば、在留カードや特別永住者証明書に顔写真が表示されることになります。


いつから変わるのか

新しい取扱いは、2026年6月14日以降に交付される在留カード等から始まります。
そのため、申請日が2026年6月14日前であっても、在留カードの交付日が同日以降となる場合には、1歳以上16歳未満の方について顔写真の提出が必要となる場合があります。

既に申請済みの場合でも、入管から追加書類として顔写真データの提出を求められることがありますので、該当する方は案内をよく確認する必要があります。


対象となる方

対象となるのは、主に次の方です。

  • 1歳以上16歳未満の中長期在留者
  • 1歳以上16歳未満の特別永住者
  • 2026年6月14日以降に在留カード等の交付を受ける予定の方

特に、家族滞在、留学、永住者の子どもなど、16歳未満の外国人の方について、在留期間更新、在留資格変更、在留カードの再交付などを行う場合には注意が必要です。


これまでと何が違うのか

従来、16歳未満の方については、在留カードに顔写真が表示されず、申請時の写真提出も不要とされる場面がありました。
しかし、2026年6月14日以降に交付される新様式の在留カード等では、1歳以上であれば顔写真が表示されることになります。

そのため、今後は、1歳以上16歳未満の方についても、申請時又はカード受領時に顔写真の提出を求められるようになります。


オンライン申請を利用する場合の注意点

オンライン申請を利用する場合も注意が必要です。

現行の在留申請オンラインシステムでは、16歳未満の方については、顔写真不要者用データを添付する運用がされています。
しかし、2026年6月14日以降は、1歳以上16歳未満の方についても顔写真データが必要となる予定です。
また、2026年6月14日より前に申請する場合であっても、同日以降に在留カードが交付される1歳以上16歳未満の方については、システム上、通常の顔写真添付欄で提出できない場合があります。この場合、入管からの案内に従い、追加で顔写真データを提出する必要があります。


現在持っている在留カードはどうなるのか

現在有効な在留カード等について、直ちに新しい様式へ切り替える必要はありません。

新様式の在留カード等は、在留期間更新、在留資格変更、再交付など、今後の手続に伴って順次交付されることになります。
そのため、現在の在留カードが有効である場合には、まずはカードの有効期限や次回の申請時期を確認しておくことが重要です。


まとめ

2026年6月14日以降、在留カード等の様式変更により、1歳以上16歳未満の方についても顔写真が表示されるようになります

特に、次の方は注意が必要です。

  • 1歳以上16歳未満の外国人の在留申請を予定している方
  • 2026年6月14日以降に在留カードを受け取る可能性がある方
  • オンライン申請を利用している方
  • 外国人従業員やその家族の在留手続をサポートしている企業・学校・受入機関

該当する場合には、入管からの案内を確認し、顔写真の準備や追加提出に対応できるようにしておきましょう。

在留資格変更・更新、永住許可等の申請手数料の上限額が引き上げられます

在留資格に関する各種申請について、手数料の上限額を引き上げる入管法改正が行われました。
今回の改正は、外国人本人や、外国人材を雇用している企業にとって、今後の在留手続の費用負担に影響する可能性があります。

ただし、今回の改正については、「法律上の上限額が引き上げられた」という点と、「実際に申請時に納付する手数料額がいくらになるか」という点を分けて理解する必要があります。


改正の概要

今回の改正により、主な在留関係手続について、法律上の手数料上限額が次のとおり引き上げられます。

手続改正後の法律上の上限額
在留資格変更許可10万円
在留期間更新許可10万円
永住許可30万円
再入国許可1万円

特に、在留資格変更許可、在留期間更新許可、永住許可は、就労系の在留資格で日本に在留する外国人や、その雇用企業にとって関係の深い手続です。

そのため、今後、外国人材を雇用している企業では、在留期間更新や在留資格変更の際の費用負担について、本人負担とするのか、会社負担とするのかを含めて、社内の運用を確認しておくことが望ましいといえます。


直ちに「更新・変更が10万円」「永住が30万円」になるわけではありません

今回の改正で注意すべき点は、法律上の上限額が引き上げられたからといって、直ちに全ての申請で上限額そのものを納付しなければならないわけではない、という点です。

入管法上、実際の手数料額は、法律で定められた上限額の範囲内で、政令により定められる仕組みとなっています。

したがって、例えば、在留資格変更許可や在留期間更新許可について、法律上の上限額は10万円になりますが、実際に申請時に納付する金額が必ず10万円になるという意味ではありません。
同様に、永住許可についても、法律上の上限額は30万円になりますが、実際の納付額は、今後定められる政令の内容を確認する必要があります。


現在の手数料との関係

在留関係手続の手数料については、2025年4月1日から既に改定が行われています。

例えば、在留資格変更許可や在留期間更新許可については、申請方法により手数料額が異なり、窓口申請とオンライン申請で異なる金額が定められています。

今回の法改正は、このような現行の具体的な手数料額そのものを直ちに変更するというよりも、今後、政令で定めることができる手数料額の上限を引き上げるものです。

そのため、現時点では、「在留資格変更・更新や永住許可の手数料について、法律上の上限額が大幅に引き上げられた。もっとも、実際に申請時に納付する金額は、今後、政令により定められる。」と理解しておくことが重要です。


施行時期にも注意が必要です

改正法では、手数料上限額の引上げに関する規定について、令和9年3月31日までの間において政令で定める日から施行されるものとされています。

また、施行日前にされた在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請、永住許可申請等については、経過措置により、従前の例によるものとされています。

そのため、実務上は、単に「いつ許可されたか」だけでなく、「いつ申請を受け付けられたか」も重要になる可能性があります。


企業が確認しておきたいポイント

外国人材を雇用している企業では、今後の手数料改定に備えて、少なくとも次の点を確認しておくことが考えられます。

① 申請手数料の負担者

在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請の手数料について、本人が負担するのか、会社が負担するのかを確認しておく必要があります。

会社が負担している場合には、社内規程、雇用契約書、外国人材受入れに関する運用ルール等との整合性も確認しておくと安心です。

② 更新時期の管理

在留期間更新許可申請は、在留期限が近づいてから準備を始めると、書類収集や社内確認に時間を要することがあります。
今後、手数料額の変更が予定される場合には、申請時期によって費用負担が変わる可能性もありますので、在留期限の管理をより早めに行うことが重要です。

③ 永住許可申請の検討

永住許可については、法律上の上限額が30万円に引き上げられます。

実際の手数料額は今後の政令を確認する必要がありますが、永住許可申請を検討している方が社内にいる場合、申請要件の確認、必要書類の準備、申請時期の検討を早めに進めておくようアドバイスすることが望ましいといえます。


まとめ

今回の改正により、在留資格変更許可、在留期間更新許可、永住許可等の申請手数料について、法律上の上限額が引き上げられます。

もっとも、現時点で重要なのは、「上限額が引き上げられたこと」と「実際の納付額は今後政令で定められること」を分けて理解することです。
外国人本人や外国人材を雇用する企業としては、今後公表される具体的な手数料額や施行日を確認しつつ、申請時期、費用負担、社内ルールの見直しを進めておくことが重要です。

2027年4月から始まる「企業内転勤2号」とは?

海外拠点の人材を日本で育成する新しい選択肢

2027年4月から、「企業内転勤2号」が導入されます。この在留資格は、「技能実習制度」の廃止に伴い創立される新しい在留資格です。

これまで「企業内転勤」といえば、海外の親会社・子会社・関連会社などの海外拠点で働いていた外国人社員を、日本の事業所に転勤させ、いわゆる技術・人文知識・国際業務に該当する業務に従事させる制度として理解されてきました。

しかし、新たに設けられる企業内転勤2号は、従来の企業内転勤とは少し性格が異なります。

簡単にいうと、企業内転勤2号は、海外拠点の外国人職員を日本に一時的に転勤させ、日本の事業所で講習や実務を通じて技能などを修得させるための制度です。企業内転勤1号と異なり、現場作業にも従事できます。

そのため、たとえば、将来、海外工場のリーダーや責任者候補となる人材に対し、日本本社や日本工場で、生産現場に入りつつ、関連する技能などを学ばせる場面が想定されます。


企業内転勤1号との違い

企業内転勤2号を理解するうえで重要なのは、従来型の企業内転勤、つまり企業内転勤1号との違いです。

企業内転勤1号は、日本で行う活動が、原則として技術・人文知識・国際業務に該当する業務であることを前提とする制度です。
基準省令上も、対象者が、転勤直前に外国の事業所で技術・人文知識・国際業務に対応する業務に継続して1年以上従事していたことが求められます。

これに対して、企業内転勤2号は、上述の通り、海外拠点の外国人職員が、一定期間技能等を修得するために講習を受け、技能等に係る業務に従事する活動を対象にしています。

つまり、企業内転勤1号が「一定の専門的業務を行うための転勤」であるのに対し、企業内転勤2号は、より端的にいえば、海外拠点の人材育成のための転勤という性格を持っています。


転勤前の業務は「技人国」の範囲である必要があるのか

ここは、実務上かなり間違いやすいポイントです。

企業内転勤1号では、転勤前の業務についても、技術・人文知識・国際業務に対応する業務であることが問題になります。

一方、企業内転勤2号については、少なくとも公表されている入管庁資料上、転勤元で1年以上勤務していることは示されていますが、転勤前の業務が「技術・人文知識・国際業務」の範囲内であることまでは明示されていません

そのため、現時点では、次のように理解しておくのが安全と考えます。

企業内転勤2号では、転勤前の業務が必ずしも「技術・人文知識・国際業務」の範囲内である必要まではない。
ただし、日本での活動は、単なる労働力補充ではなく、技能等を修得するための講習および当該技能等に係る業務である必要がある。

ここで注意すべきなのは、「転勤前が現場作業でもよい」からといって、「日本でも単純作業要員として使える」という意味ではないという点です。
企業内転勤2号では、修得しようとする技能等が、同一作業の反復のみによって修得できるものではないことが要件とされています。
したがって、日本での活動が、単なるライン作業、梱包、検品、清掃、接客補助などの反復作業にとどまる場合には、企業内転勤2号としての説明は難しくなります。


制度上は「研修」ではなく「転勤」である

企業内転勤2号は、実質的には研修・育成目的で利用される制度ですが、制度上はあくまで企業内転勤です。

そのため、単に海外の取引先や協力会社の従業員を日本に呼んで教育する制度ではありません。
前提として、海外拠点と日本にある事業所との間に、企業グループ内の関係性があることが必要になります。

また、日本側の受入機関についても、一定の基準を満たす必要があります。
入管庁の資料では、企業内転勤2号の受入れ機関について、常勤職員数20人以上、受入人数は常勤職員数の5%以内といった要件が示されています


在留期間は通算1年まで

企業内転勤2号で特に注意したいのが、在留期間です。

企業内転勤2号で在留できる期間は、通算で1年までとされています。
入管庁資料でも、企業内転勤2号の在留資格で在留できる期間は通算1年までと整理されています。


まとめ

企業内転勤2号は、海外拠点を持つ企業にとって、将来の現地責任者や中核人材を日本で育成するための新しい選択肢になり得ます。

特に、海外拠点において、日本本社の品質基準、製造ノウハウ、安全管理、工程改善の考え方などを浸透させたい企業にとっては、活用の余地がある制度です。

企業内転勤2号を検討する場合には、少なくとも次の点を事前に確認しておく必要があります。

確認項目ポイント
受入機関の規模常勤職員数20人以上などの要件を満たすか
受入人数常勤職員数の5%以内に収まるか
転勤元での勤務実績転勤元で1年以上勤務しているか
日本での活動内容単なる反復作業ではなく、技能等の修得といえるか
講習・OJT計画何を、誰が、どのように教えるのか
帰国後の配置修得した技能等を海外拠点でどう活用するのか
在留期間通算1年以内に収まるか

企業内転勤2号は、うまく使えば、海外拠点の幹部候補・現場リーダー候補の育成に役立つ制度です。海外に事業所をもつ法人にとって、一年以内の活動でその目的を達することができる場合には、有効な選択肢となります。

2027年4月の制度開始に向けて、海外拠点を持つ企業では、早めに対象者、研修内容、帰国後の配置計画を整理しておくことをおすすめします。技能系の業務に関しては、育成就労、特定技能に加え、企業内転勤2号という選択肢がありますので、その目的や日本での活動予定期間を踏まえ、どのような受入れが可能かを検討する必要があります。
ご興味・関心のある企業様におかれましては、お気軽に弊社までお問い合わせください。


参考資料:出入国在留管理庁「育成就労制度の関係省令等について
e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令」、出入国在留管理庁「育成就労制度の制度概要・関係法令

在留資格「経営・管理」の申請が大幅減少?要件厳格化で注意すべきポイント

「経営・管理」は、日本で起業したい外国人経営者や、日本法人の役員として事業を行う方にとって非常に重要な在留資格です。

しかし、近年、この在留資格について、制度の悪用が問題視されるようになりました。
たとえば、実態のない会社、いわゆるペーパーカンパニーを設立し、事業経営の実態が乏しいにもかかわらず、日本に在留する手段として利用されるケースなどが指摘されています。

そのような背景を受けて、昨年、在留資格「経営・管理」の許可基準が厳格化されました。


在留資格「経営・管理」の要件はどう変わったのか

従来、在留資格「経営・管理」の取得にあたっては、一定の事業規模が求められていました。

しかし、要件の厳格化により、必要とされる資本金額や、常勤職員の雇用などについて、これまでよりも高いハードルが設けられています。

特に重要なのは、単に会社を作ればよいというものではなく、日本で継続的・安定的に事業を行う実体があるかが、より厳しく見られるようになっている点です。

具体的には、次のような点が重要になります。

  • 事業所が実在し、事業活動に適した場所であるか
  • 事業内容に具体性・実現可能性があるか
  • 資本金や事業規模が十分か
  • 常勤職員の雇用など、事業運営体制が整っているか
  • 申請人が実際に経営・管理活動を行う立場にあるか
  • 事業計画に合理性があるか

つまり、形式的に会社を設立しただけでは足りず、「本当に日本で事業を行うのか」「その事業は継続できるのか」という点が、これまで以上に重視されるようになっています。
そして、昨年、こうした事業の実体性や継続性の判断に重要となる「資本金」や「常勤職員の雇用」に関する基準が厳格化されました。

具体的には、必要とされる資本金等の額が500万円以上から3000万円以上へ引き上げられたほか、日本人または一定の在留資格を有する外国人である常勤職員を1名以上雇用することが求められるようになりました。


申請件数が大幅に減少しているとの報道も

報道によれば、要件の厳格化後、在留資格「経営・管理」の新規申請件数は大幅に減少しているとされています。
この点は、制度改正の影響が実務上かなり大きいことを示しているといえます。

もちろん、申請件数が減ったからといって、正当な事業を行う外国人経営者が一律に許可されなくなったわけではありません。
しかし、少なくとも、これまでよりも準備不足の申請は通りにくくなっていると考えるべきです。

特に、次のようなケースでは注意が必要です。

  • とりあえず会社だけ設立してから申請しようとしている
  • 資本金や雇用体制の準備が十分でない
  • 事業計画書の内容が抽象的である
  • 売上見込みや取引先の説明が弱い
  • 実際の事業所が自宅やバーチャルオフィスに近い形になっている
  • 申請人本人の経営経験や役割の説明が不十分である

このような状態で申請すると、事業の継続性・安定性・実体性について疑問を持たれる可能性があります。


既に日本で事業をしている方も注意が必要

今回の厳格化は、これから新たに在留資格「経営・管理」を申請する方だけでなく、すでに日本で事業をしている外国人経営者にも影響を与える可能性があります。

たとえば、在留期間の更新時に、事業の実績や継続性が十分に説明できない場合、更新が問題になることがあります。
会社を設立した当初は許可されたとしても、その後、

  • 売上がほとんどない
  • 事業活動の実態が乏しい
  • 事務所の使用実態が不明確
  • 役員報酬や生活費の説明が不十分
  • 税務申告や社会保険関係の手続に不備がある

といった事情があると、更新時に厳しく見られる可能性があります。
そのため、「許可を取ること」だけでなく、許可後にきちんと事業を運営し、次回更新に備えることも非常に重要です。


行政書士に相談するメリット

在留資格「経営・管理」の申請では、会社設立、事業計画、資金の流れ、事務所、雇用、税務・社会保険など、複数の要素が関係します。

そのため、単に申請書を作成するだけではなく、申請前の段階から、

  • どのような事業にするか
  • 資本金をどのように準備・説明するか
  • 事務所をどのように確保するか
  • 事業計画書に何を記載するか
  • どの資料を添付すべきか
  • 更新時に問題にならない運営体制になっているか

を整理しておく必要があります。

行政書士に相談することで、在留資格の要件を踏まえたうえで、申請に必要な資料や説明内容を事前に整理することができます。

特に、要件が厳格化された現在では、「とりあえず申請してみる」よりも、「許可の可能性を踏まえて準備する」ことが重要です。


まとめ

在留資格「経営・管理」は、日本で起業・経営を行う外国人の方にとって重要な制度です。
しかし、要件の厳格化により、申請にあたっては、これまで以上に事業の実体性、継続性、安定性が重視されるようになっており、事業所、資本金、雇用体制、事業計画、申請人の役割などを総合的に説明する必要があります。

これから在留資格「経営・管理」の申請を検討している方、または既に在留資格「経営・管理」で在留しており更新に不安がある方は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

特定技能「鉄道分野」の告示改正とは?

2026年4月1日から、特定技能「鉄道分野」に関する国土交通省告示の改正が適用されます。
今回の改正は、鉄道分野で外国人材の受入れを検討している企業、特に人事・採用担当者にとって、実務上見逃せない内容です。

とくに重要なのは、受入れ対象となる事業者の範囲が広がったこと、そして協議会に関する対応義務が強化されたことです。
この記事では、行政書士の立場から、今回の改正内容を人事担当者向けにわかりやすく整理します。


今回の改正で何が変わったのか

今回の改正は、鉄道分野における特定技能外国人の受入れに関し、受入れ機関が満たすべき基準を見直すものです。
改正対象は、鉄道分野に特有の事情を踏まえて国土交通大臣が定めている基準告示であり、令和8年4月1日から適用されています。

改正点を大きくまとめると、次の3点です。

  • 「駅又は車両の清掃に係る事業」を営む者が、受入れ機関の対象として明示されたこと
  • 協議会で協議が調った事項について、必要な措置を講じる義務が明文化されたこと
  • 登録支援機関に支援計画の全部を委託する場合、その委託先にも拡張後の要件が及ぶよう整理されたこと

一見すると細かな条文修正に見えますが、採用実務や受入れ体制の整備に直結する重要な改正です。


「清掃業務」が明記されたこと

これまでの告示では、鉄道分野における受入れ機関の対象として、鉄道事業者や軌道経営者のほか、鉄道施設・車両の整備車両の製造に係る事業者が掲げられていました。
今回の改正では、これに加えて、「駅若しくは車両の清掃に係る事業を営む者」が明示的に追加されました。

これは実務上、非常に大きな意味があります。

鉄道関連の現場では、駅清掃や車両清掃は安定運行を支える重要な業務です。
しかし従前の文言では、これらの事業者が制度上の対象に明確に含まれるのか、条文上やや読み取りにくい面がありました。
今回の改正により、清掃業務を担う事業者も、鉄道分野の特定技能外国人の受入れ機関となり得ることが明確になったといえます。

そのため、鉄道会社本体だけでなく、駅や車両の清掃を受託している関連会社・協力会社にとっても、採用の選択肢が広がる改正といえるでしょう。


「協議会に入っていればよい」では足りなくなる

今回の改正でもう一つ重要なのが、協議会対応の実質化です。

改正前から、受入れ機関には、国土交通省が設置する鉄道分野の特定技能外国人受入れに関する協議会の構成員であることや、協議会に対して必要な協力を行うことが求められていました。
これに対し、改正後は新たに、「協議会において協議が調った事項に関する措置を講じること」が要件として追加されています。

この改正によって、人事担当者として意識すべきポイントは明確です。
単に協議会の構成員になっているだけでは不十分で、協議会で決まったルールや運用を社内で実際に実施しているかが問われるということです。

たとえば、今後、協議会において次のような事項が整理された場合には、企業側で実務対応が必要になります。

  • 受入れ時の報告方法
  • 就労管理や支援体制に関する運用
  • 不適正受入れ防止のための措置
  • 関係行政機関との連携方法

つまり、今回の改正は、協議会への「参加義務」に加え、協議結果の「履行義務」まで視野に入れた制度運用に進んだと見るべきです。


登録支援機関に任せていても安心とはいえない

特定技能外国人の受入れでは、1号特定技能外国人支援計画の全部を登録支援機関に委託している企業も少なくありません。
今回の改正では、その場合の委託先についても、改正後の要件に対応する形で整理されています。
具体的には、登録支援機関に全部委託する場合、その登録支援機関も協議会関係を含む所定の要件を満たす必要があるとされています。

ここで注意したいのは、企業側が「支援業務は外部委託しているから大丈夫」とは言い切れない点です。

実際には、委託先の登録支援機関が、

  • 協議会への対応を適切に行えるか
  • 協議会で調った事項に沿った支援を実施できるか
  • 受入れ機関と連携しながら必要な協力を行えるか

といった点まで確認しておく必要があります。

人事担当者としては、登録支援機関の選定時や契約更新時に、委託範囲、役割分担、協議会対応の責任所在を見直しておくことが重要です。


適用開始日は2026年4月1日。ただし経過措置あり

この改正告示は、令和8年4月1日から適用されます。

もっとも、すべての案件に一律で新ルールが適用されるわけではありません。附則では、適用時点で既に、

  • 在留資格認定証明書の交付を受けている者
  • 在留資格認定証明書の交付を申請している者
  • 特定技能への在留資格変更の許可を受けている者
  • 特定技能への在留資格変更許可を申請している者

に係る受入れ機関の基準については、なお従前の例によるとされています。

このため、現場の実務では、まずその案件が、

  • 2026年4月1日以後に新たに進める案件なのか
  • すでに申請・許可等が進んでいる経過措置対象案件なのか

を切り分ける必要があります。

採用計画や在留資格手続の進行状況によって適用ルールが変わるため、ここは誤りのないよう注意したいところです。


人事担当者が今すぐ確認したいチェックポイント

今回の改正を踏まえ、鉄道分野で特定技能外国人の受入れを検討している企業は、少なくとも次の点を確認しておくことをおすすめします。

(1)自社が受入れ機関の対象になるか

自社の事業内容が、改正後の告示上、鉄道分野の対象事業に該当するかを確認しましょう。
特に、駅清掃・車両清掃を主たる業務とする会社は、今回の改正で位置付けが明確になっています。

(2)協議会対応が形式だけになっていないか

協議会の構成員であるだけでなく、協議会で決まった事項を社内で実施できる体制があるかを確認すべきです。
人事部門だけでなく、現場管理部門や総務部門との連携も重要です。

(3)登録支援機関との契約内容を見直す必要がないか

全部委託をしている場合、委託先が改正後の要件に対応できるかを確認し、必要に応じて契約条項や業務分担を見直しましょう。


まとめ

今回の改正は、鉄道分野における特定技能外国人の受入れについて、制度の実態に合わせて対象業務を拡張するとともに、協議会対応をより実効的なものにする内容です。

人事担当者の視点で押さえておくべき要点は、次の2つに集約できます。

第一に、駅・車両の清掃事業者が受入れ機関として明示されたことにより、鉄道関連の清掃業務を担う企業でも制度活用を検討しやすくなったこと。

第二に、協議会で決まった事項を実際に講じる義務が明文化されたことにより、単なる名目的な参加では足りず、社内体制の整備や委託先管理まで含めた対応が必要になったことです。

制度を活用した採用を成功させるためには、在留資格手続そのものだけでなく、受入れ機関としての体制整備を早めに進めることが大切です。
鉄道分野で外国人材の採用を検討している企業は、このタイミングで自社の受入れ体制を見直しておくとよいでしょう。

在留資格取消件数が過去最高に――企業が見直すべき外国人雇用管理

出入国在留管理庁は、令和8年3月27日、令和7年の在留資格取消件数が1,446件となり、前年の1,184件から22.1%増加し、過去最高となったと公表しました。

外国人を雇用する企業にとって、この公表で重要なのは、取消しの多くが在留資格取得時の不正だけでなく、在留中の活動実態の不一致を理由としている点です。
採用時の確認だけでなく、採用後の管理体制がより重要になっているといえます。

取消しが多い在留資格

令和7年の取消件数を在留資格別にみると、技能実習973件(67.3%)留学343件(23.7%)、技術・人文知識・国際業務63件(4.4%)の順でした。
特に、技能実習と留学で全体の約9割を占めています。

企業実務の観点では、受入れ後に本来の在留活動と実態がずれていないかを継続的に確認する必要があります。


最も多い取消事由は「活動実態がないこと」

取消事由別では、第6号が999件(69.1%)で最も多く、次いで第5号が350件(24.2%)でした。

第6号は、在留資格に応じた活動を正当な理由なく3か月以上行わないで在留している場合です。
第5号は、本来の活動をせず、他の活動を行い又は行おうとして在留している場合です。

つまり、今回の統計は、虚偽申請よりも、受入れ後に在留資格と活動実態が一致しなくなったケースが中心であることを示しています。


企業が注意すべきポイント

企業としては、次の点を見直しておきたいところです。

  • 在留資格と実際の業務内容が一致しているか
  • 退職、長期欠勤、配属変更があった際に在留資格への影響を確認しているか
  • 留学生アルバイトについて、資格外活動許可だけでなく在学実態も意識しているか
  • 採用時に学歴・職歴・職務内容の整合性を十分確認しているか
  • 現場と人事・総務の間で外国人雇用情報が共有されているか

特に、「採用時は問題なかったが、その後の実態が変わった」というケースは見落とされやすく、注意が必要です。


取消しに至らないケースもある

資料では、取消手続が開始されたものの、手続中に出国したため取消処分に至らず終止した件数も593件あったとされています。
この点からも、表に出ている取消件数以上に、在留管理上の問題が実務上把握されていることが分かります。


まとめ

今回の公表から見えてくるのは、外国人雇用において重要なのは、採用時の確認だけではないということです。
今後は、在留資格と実際の業務・所属状況が継続的に一致しているかを確認する体制づくりが、これまで以上に重要になります。

外国人雇用を進める企業ほど、在留資格管理を単なる書類確認ではなく、雇用管理・内部統制の一部として捉える必要があるでしょう。

「技人国」の申請実務が変わりました

人事担当者が押さえておきたい2つのポイント

外国人採用に関わる企業の人事担当者の方にとって、在留資格「技術・人文知識・国際業務」(いわゆる「技人国」)の申請実務は、制度改正や運用変更の影響を受けやすい分野です。

今回、出入国在留管理庁の公表内容では、2026年4月15日以降の申請から、カテゴリー3または4に該当する場合の追加提出書類が明示されました。
あわせて、実務上見落としやすい点として、変更申請でのカテゴリー2に該当する企業の類型が追加されたことも確認しておきたいところです。

企業の人事担当者としては、単に必要書類を集めるだけではなく、申請類型ごとに何が変わったのか、どこを見落としやすいのかを整理しておくことが重要です。

本記事では、2026年4月15日以降の実務対応として、特に押さえておきたい2つのポイントを解説します。

カテゴリー3・4では追加提出書類が必要に

出入国在留管理庁の公表では、令和8年4月15日以降の申請から、カテゴリー3または4に該当する場合、追加で提出が必要となる書類が示されています。具体的には、次の2点です。

  • 所属機関の代表者に関する申告書
  • 主に言語能力を用いて対人業務等に従事する場合に、業務上使用する言語についてCEFR・B2相当の言語能力を有することを証する資料

ここで実務上特に重要なのは、2つ目の言語能力に関する資料です。

公表内容では、「翻訳・通訳」やホテルフロント業務等の「接客」のように、日本語能力等の言語能力を用いた業務に主に従事する場合には、この資料の提出が必要になるとされています。
認定申請および変更申請においてこうした職種に従事する場合はもちろん、すでに在留中の方についても、業務内容の変更や転職等により、言語能力を用いた業務に主に従事することとなった場合には、更新申請時に提出が必要になるとされています。

つまり、人事担当者としては、単に職種名を見るのではなく、実際の業務内容の中で、言語能力を主たる業務要素として使うかどうかを見なければなりません。

たとえば、同じ「営業」や「接客補助」といった肩書でも、

  • 日本語での顧客対応が中心なのか
  • 翻訳・通訳が中核業務なのか
  • 外国語を用いた渉外業務の主要部分なのか

によって、必要となる資料の有無に影響し得ます。

なお、公表内容では、CEFR・B2相当の日本語能力を有するものとみなす基準も示されています。
具体的には、たとえばJLPT・N2以上BJTビジネス日本語能力テスト400点以上日本の大学卒業などが例示されています。
したがって、採用時点で候補者の学歴・資格を確認しておくことは、申請準備の効率化にもつながります。

もっとも、更新申請については、以前から継続して同様の業務内容に従事している場合は提出を要しないとされています。
ただし、審査の中で必要に応じて提出を求められることがあるため、完全に不要と即断するのではなく、説明可能な状態にしておくことが望ましいでしょう。


変更申請では、カテゴリー2の類型が追加された

今回の実務対応では、追加提出書類の話に注目が集まりやすいのですが、もう一つ重要なのが、変更申請ではカテゴリー2の類型が追加されたという点です。

「技人国」の申請では、受入機関等の属性に応じてカテゴリー1から4までに区分されます。
一般に、カテゴリーが上位であるほど提出書類が簡素化されるため、自社がどのカテゴリーに当たるかは、申請準備に直結します。

ここで注意したいのは、認定申請・更新申請のカテゴリー2と、変更申請のカテゴリー2は、完全には同じではないということです。

認定申請・更新申請のカテゴリー2

認定申請と更新申請のカテゴリー2は、基本的に企業側の属性に基づく区分であり、次のような機関がカテゴリー2とされています。

  • 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人
  • カテゴリー2と同様の添付資料で申請を行うことを希望し、カテゴリー審査資料を提出した上で、在留申請オンラインシステムの利用申出が承認された機関

つまり、認定・更新では、主として企業側の規模や税額実績、承認の有無によってカテゴリー2の該当性が決まります。

変更申請のカテゴリー2

これに対して、変更申請のカテゴリー2には、上記に加えて、「留学」からの変更に関する類型が追加されました。
公表内容では、変更申請について、次のような者を受け入れる場合もカテゴリー2に含まれています。

  • 本邦の大学院、大学又は短大卒業(予定)者
  • 海外の優秀大学卒業者
  • 「留学」から就労資格に変更して就労し、その後当該所属機関において在留期間更新した者を現に受け入れている機関において就労する者

ここから分かるのは、変更申請では、会社そのものの属性だけでなく、申請人の学歴や、会社の留学生受入れ・継続雇用の実績も、カテゴリー2の判断に関係するということです。

人事担当者としては、認定申請や更新申請と同じ感覚で「自社はカテゴリー2ではない」と判断してしまうと、変更申請特有の整理を見落とすおそれがあります。
特に、留学生の新卒採用や、過去に留学生を採用して継続雇用している企業では、変更申請のカテゴリー2該当性を個別に確認する必要があります。


人事担当者が実務で確認すべきポイント

2026年4月15日以降の「技人国」申請では、企業の人事担当者として、少なくとも次の点を採用・申請準備の段階で確認しておくと実務が安定します。

① まず申請類型を確認する

今回の申請が、認定申請なのか、変更申請なのか、更新申請なのかで、見方が変わります。
カテゴリー2の判断も、追加資料の要否も、申請類型によって整理が異なります。

② カテゴリー3・4に当たる場合は、追加資料の要否を早めに確認する

カテゴリー3・4に該当する場合は、2026年4月15日以降、代表者に関する申告書や、場合によっては言語能力資料の提出が必要です。
採用決定後に慌てて準備するのではなく、求人票や業務設計の段階から確認しておくのが望ましいでしょう。

③ 「言語能力を主に用いる業務か」を、職種名ではなく実態で判断する

「接客」「通訳」「翻訳」「フロント業務」などは分かりやすい例ですが、実務では肩書だけで判断できないこともあります。
その仕事で、どの言語を、どの程度、どの場面で使うのかまで整理しておく必要があります。

④ 変更申請では、会社属性だけでなく申請人属性も確認する

留学生採用では、日本の大学等の卒業者・卒業予定者に当たるか、また、自社に留学から就労資格へ変更し、その後更新許可まで受けた外国人材を現に受け入れているかといった点が、カテゴリー2の該当判断に関係することがあります。


まとめ

2026年4月15日以降の「技人国」申請実務では、企業の人事担当者として特に次の2点を押さえておく必要があります。

  1. カテゴリー3・4では追加提出書類が必要になったこと
    とりわけ、言語能力を用いて対人業務等に主に従事する場合には、言語能力を示す資料の要否を慎重に確認する必要があります。
  2. 変更申請ではカテゴリー2の類型が追加されたこと
    認定申請・更新申請と同じ感覚で判断するのではなく、申請人の学歴や、自社の留学生受入れ実績も含めて確認する必要がある点に注意が必要です。

人事実務では、必要書類の収集だけが申請準備ではありません。
「どの申請類型か」「どのカテゴリーか」「追加資料が必要か」を最初に整理することが、結果としてスムーズな採用・申請対応につながります。

弊社では、外国人受け入れに際しての入管申請手続きのサポートを行っております。ぜひお気軽にお問い合わせください。

特定技能外国人材の最新動向(令和7年末時点)と今後の制度的転換

本年3月、令和7年12月末時点における特定技能外国人材の在留状況が公表されました。
特定技能外国人材の受入人数は年々増加している一方で、外食業分野では上限到達による新規受入れ停止が現実味を帯びるなど、制度は転換期に差し掛かっていると考えられます。
本稿では、人数の推移、国籍構造、そして今後の制度運用の方向性について整理します。


特定技能外国人材の人数推移

令和7年12月末時点における特定技能在留外国人数は 390,296人 に達し、制度開始以来の過去最高を記録しています。

  • 令和7年6月末:336,196人
  • 令和7年12月末:390,296人
  • 増加率:16.1%

依然として増加基調にありますが、前期(18.2%)と比較すると伸び率はやや鈍化しており、制度が量的拡大の初期段階から安定成長段階へ移行しつつあることが示唆されます。

また内訳を見ると、

  • 特定技能1号:382,341人
  • 特定技能2号:7,955人(前期比約2.6倍)

となっており、依然として1号が大半を占めていますが、2号の急増が際立っています。
これは、単なる労働力補充制度から、熟練人材の定着を前提とした制度に転換しつつあることを意味します。


ベトナム依存の継続と構造

国籍別では、依然としてベトナムが圧倒的多数を占めています。

  • ベトナム:158,497人(41.5%)
  • インドネシア:86,523人(22.6%)
  • ミャンマー:44,315人(11.6%)

ベトナムは引き続き最大の送り出し国であり、制度全体が特定国への高依存構造を維持していることが確認できます。
もっとも、インドネシアおよびミャンマーの増加率はそれぞれ約25%と高く、徐々に多極化しています。
これは、送り出し国政策や国際関係の変動に対するリスク分散の観点から重要な変化です。

ただし、特定技能2号においてはベトナム比率が 73.6% に達しており、熟練人材段階ではむしろ依存が強まっている点には留意が必要です。


産業別構造と人手不足の実態

特定技能1号の受入分野は、以下のように労働集約型産業に集中しています。

  • 飲食料品製造業:24.4%
  • 介護:17.8%
  • 製造業:14.8%
  • 建設:12.9%
  • 外食業:11.5%

特に介護・外食分野の増加率が高く、国内人材では充足が困難な領域において制度が機能していることが明確です。

一方、自動車運送業(+1410%)や木材産業(+650%)など、新規分野では急激な増加が見られますが、これは母数が小さい初期段階特有の現象であり、今後の制度定着が注目されます。


上限管理への転換可能性

これまで特定技能制度は、分野別受入見込み数の設定はあるものの、実務上は上限が実質的に拡張され続けてきた経緯があります。しかし、以下の状況変化により、今後は運用が大きく変わる可能性が高いと考えられます。

(1)受入規模の急拡大

総数が約39万人に達し、制度は既に「例外的措置」から「主要な人材獲得手段」へと変質しています。

(2)特定技能2号の本格化

長期在留・家族帯同を伴う2号の増加により、単なるフローではなく長期雇用を前提としての外国人材管理が必要となっています。

(3)社会的・政策的制約

地域社会への影響、社会保障、教育など、受入れに伴うコストが顕在化しつつあります。

これらを踏まえると、今後は「分野別上限に達した場合の受入停止(又は厳格管理)」が現実的な政策オプションとして浮上します。
すなわち、これまでのような「実質的な無制限拡大」から、「 数量管理型制度への転換」に進む可能性が高いと言えます。


制度の本質的変化

以上を総合すると、特定技能制度は現在、以下の転換期にあります。

  • 量的拡大フェーズ → 安定成長フェーズ
  • 短期補充型 → 長期定着型
  • 無制限拡張 → 上限管理

特に特定技能2号の急増は、制度が単なる労働力確保手段ではなく、人的資本の蓄積を前提とした政策へ進化していることを示しています。


まとめ

令和7年末時点のデータから読み取れるポイントは以下のとおりです。

  • 特定技能外国人材は約39万人に達し過去最高を更新しています
  • 増加は継続しているものの、成長率はやや鈍化しています
  • ベトナム依存は依然として強い状況です
  • 特定技能2号が急増し、制度は長期定着型へ移行しています
  • 今後は上限到達時の受入制限が現実化する可能性があります

外国人雇用指針の見直しに着手か

令和8年3月に厚生労働省の「外国人雇用対策の在り方に関する検討会」が公表した資料(資料2-1)では、今後の外国人雇用に関する重要な方向性が示されました。
本記事では、企業の人事担当者が押さえるべきポイントを、入管実務の観点から整理します。

前提

まず前提として、この文書は法改正ではなく「課題整理(案)」です。
しかし、内容は今後の制度改正や監督強化の方向性を示すものであり、実務的には先取りして対応すべきレベルの重要性があります。

今回の検討会の背景には、外国人労働者の急増があります。
資料によれば、外国人労働者数は約257万人で、10年前の約91万人から約2.8倍に増加しています。
一方で、不法就労の絶対数自体は国際的に見て多くないとされるものの、「一部の違反行為」が社会的不安や不公平感を生んでいると明確に指摘されています。
つまり、問題は量ではなく「質」に移っているという認識です。


事業主責任の明確化

この前提のもと、最も重要な論点は「事業主責任の明確化」です。
検討会では、外国人雇用対策を実効的なものにするためには行政だけでは不十分であり、事業主による主体的な雇用管理が不可欠であると整理されています。
具体的には、在留資格の範囲内での就労管理、適正な労働条件の提示、法令遵守、職場トラブルの未然防止などは、すべて事業主の基本的責務とされています。
ここで重要なのは、「知らなかった」「任せていた」という言い訳が通用しにくくなる方向にある点です。


外国人雇用管理指針の見直し

次に、「外国人雇用管理指針」の見直しです。
現行の指針は法的拘束力がなく、実務では形式的に扱われる傾向がありますが、検討会では「内容のアップデートと周知徹底が極めて重要」と明記されています。
さらに一部では、指針ではなく法律による規律の必要性も指摘されています。
したがって、今後は指針の内容がより具体化され、実質的な遵守が求められる可能性が高く、従来の「努力義務」という理解では不十分になると考えるべきです。


外国人雇用状況届出制度の運用改善

実務への影響が最も大きいのは「外国人雇用状況届出制度の運用改善」です。
現行制度では、雇入れ時と離職時の届出のみですが、検討会ではこれでは実態把握として不十分とされ、年1回程度の定期報告の導入可能性が示唆されています。
また、未届や虚偽届出を行う事業主への厳格対応の必要性も明確にされています。
さらに、在留カードの確認についても、券面確認にとどまらず、出入国在留管理庁のアプリ等を活用した真偽確認の実務化が言及されており、「形式確認から実質確認へ」の転換が示されています。


不法就労対策

不法就労に関する点も重要です。
検討会では、資格外就労をさせた場合には不法就労助長罪に該当すること、また届出義務違反にも罰則があることを指針に明記すべきとされています。
これは単なる注意喚起ではなく、「企業責任の明確化」を意味します。
実務的には、採用時および在職中の在留資格確認の精度が問われることになり、特に業務内容と在留資格の適合性のチェックがこれまで以上に重要になります。


その他の留意点

また、特徴的なのは「一律規制強化ではない」という点です。
検討会では、すべての企業に過度な負担を課すべきではないとしつつ、「悪質な事業主や仲介業者への対応は厳格化すべき」とされています。
つまり、適正に運用している企業とそうでない企業の間で、監督や規制の強度に差がつく方向です。
これは裏を返せば、適正運用ができていない企業はリスクが一気に顕在化する可能性があるということです。


まとめ

以上を踏まえ、人事担当者が直ちに確認すべき実務ポイントは明確です。
第一に、在留資格の確認体制が形式的になっていないか(原本確認だけで終わっていないか)。
第二に、雇用状況届出に漏れや誤りがないか。
第三に、実際の業務内容が在留資格の範囲内に収まっているか。
第四に、紹介会社や送出機関の適正性を把握しているか。
第五に、外国人労働者がトラブルを相談できる体制があるか、です。

今回の検討会の本質は、「外国人雇用を拡大するフェーズから、適正管理を徹底するフェーズへの転換」にあると考えられます。

今後は、制度の有無ではなく、実際に適切に運用しているかどうかが問われる時代になります。
現時点では義務でなくとも、将来の規制強化を見据えて対応しておくことが、結果的にリスク回避につながります。