改正「外国人雇用管理指針」のポイント

外国人労働者を雇用する事業主には、外国人が在留資格の範囲内で能力を十分に発揮し、安心して働けるよう、適切な雇用管理を行うことが求められています。

このたび、「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」、いわゆる外国人雇用管理指針が改正され、その一部が令和8年6月14日から適用されます。

今回の改正は、外国人労働者の受入れが広がる中で、事業主が行うべき雇用管理や届出時の確認をより明確にするものです。


不法就労防止の重要性が明確化されました

改正指針では、外国人労働者の在留資格は出入国管理及び難民認定法に基づき定められるものであり、不法就労はあってはならないことが改めて明記されました。

事業主が外国人を雇用する際には、就労させようとする業務が在留資格の範囲内で認められているかを確認する必要があります。

たとえば、在留資格によっては、就労できる業務内容が限定されています。また、「留学」や「家族滞在」など、原則として就労が認められていない在留資格の場合には、資格外活動許可の有無や許可された範囲を確認する必要があります。

単に在留カードを確認するだけではなく、実際に担当させる業務内容が在留資格に合っているかを確認することが重要です。


外国人労働者にも労働関係法令が適用されます

外国人労働者であっても、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働保険・社会保険に関する法令などは、日本人労働者と同様に適用されます。

今回の改正では、短時間・有期雇用労働者や派遣労働者である外国人労働者についても、不合理な待遇差の禁止や差別的取扱いの禁止に関する考え方が適用されることが明確化されています。

そのため、外国人であることや、短時間勤務・有期契約・派遣労働者であることだけを理由に、不合理な待遇差を設けることは適切ではありません。

賃金、労働時間、休日、休暇、安全衛生、社会保険の取扱いなどについて、日本人労働者と同様に、法令に沿った適切な対応が必要です。


日本語学習支援や教育訓練への配慮が求められます

改正指針では、事業主が外国人労働者やその家族に対する日本語学習の機会の提供など、日本語学習に関する支援に努めることが定められました。

また、外国人労働者に教育訓練を行う場合には、日本語能力に配慮した教育訓練の実施など、必要な措置を講ずるよう努めることも示されています。

これは、単に「日本語ができる人を採用する」というだけではなく、採用後も、業務上必要な説明や教育が本人に伝わるようにすることが求められるということです。

特に、安全衛生教育、機械や設備の取扱い、緊急時の対応、社内ルールの説明などについては、外国人労働者が内容を理解できる方法で行うことが重要です。


外国人雇用状況届出の重要性も改めて明確化されました

外国人労働者を雇い入れた場合や、外国人労働者が離職した場合には、事業主はハローワークに外国人雇用状況の届出を行う必要があります。

今回の改正では、この届出を行わなかった場合や、虚偽の届出をした場合には、労働施策総合推進法に基づく罰則が適用され得ることが明記されました。

外国人雇用状況届出は、雇用保険の被保険者となるかどうかによって、使用する様式や届出期限が異なります。

雇用保険の被保険者となる外国人については、雇用保険被保険者資格取得届または資格喪失届に必要事項を記載して届け出ます。

一方、雇用保険の被保険者とならない外国人については、外国人雇用状況届出書により届け出ます。

短期のアルバイトであっても、届出対象となる外国人であれば、雇入れ・離職の届出が必要です。


在留カード等読取アプリケーションの活用が求められます

改正指針では、在留カードにより届出事項を確認する場合、出入国在留管理庁が提供する「在留カード等読取アプリケーション」を用いて、在留カードのICチップ内の情報と券面の記載を照合することが適切である旨が示されました。

在留カードの券面だけを見るのではなく、アプリを活用することで、偽変造が疑われるカードかどうかを確認しやすくなります。

外国人を雇用する事業主としては、採用内定後や雇入れ時の確認手順に、在留カード等読取アプリケーションによる確認を組み込んでおくことが望ましいといえます。


事業主が確認しておきたい実務上のポイント

今回の改正を踏まえると、外国人を雇用する事業主は、少なくとも次の点を確認しておく必要があります。

まず、採用予定者の在留資格と担当予定業務が合っているかを確認することです。

次に、在留期間、資格外活動許可の有無、在留カード番号など、届出に必要な事項を正確に確認することです。

また、雇入れ後は、労働条件、安全衛生、教育訓練、相談体制などについて、外国人労働者が理解できる方法で説明・運用することが重要です。

さらに、外国人労働者を雇い入れた場合や離職した場合には、期限内にハローワークへの届出を行う必要があります。


まとめ

令和8年6月14日から一部適用される改正外国人雇用管理指針は、外国人雇用における事業主の責任を改めて明確にするものです。

外国人を雇用する場合には、「人手が足りないから採用する」というだけでは足りません。

在留資格の確認、適正な労働条件の確保、日本語能力への配慮、教育訓練、届出手続きなどを通じて、外国人労働者が適法かつ安心して働ける環境を整えることが重要です。

外国人雇用を行っている事業主、または今後外国人の採用を予定している事業主は、今回の改正を機に、自社の採用手続きや雇用管理体制を見直しておきましょう。

在留資格関連の手数料 大幅引き上げへ【続報】

外国人従業員を雇用している企業にとって、在留資格の更新・変更手続きは、日常的な人事労務管理の一部です。

これまで、在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請の手数料は、一律かつ比較的低額に抑えられていました。
しかし、2026年5月に成立した入管法等の改正により、在留手続に関する手数料の上限額が大幅に引き上げられることとなりました。

特に、外国人従業員の在留資格更新費用を企業負担としている企業では、今後、在留手続にかかる費用が、人件費・採用関連費・福利厚生費等に大きく影響する可能性があります


すでに決まっていること:手数料の「上限額」の引き上げ

2026年5月29日に成立し、同年6月5日に公布された令和8年入管法等改正法では、在留資格の変更許可等に係る手数料の上限額の引上げが盛り込まれています。
出入国在留管理庁の公表資料でも、今回の改正法の内容として、手数料の額の上限額の引上げが示されています。

具体的には、これまで法律上の上限が1万円とされていた在留関係手数料について、在留資格の変更・更新については上限10万円、永住許可については上限30万円まで引き上げられる内容とされています。

ただし、ここで注意が必要なのは、今回の法改正で直ちに「具体的な手数料額」がすべて確定したわけではないという点です。
法律では上限額のみが定められており、実際にいくらの手数料とするかは、今後、政令等により具体的に定められることになります。


報道されている内容:在留期間に応じて手数料を変える案

この点に関連して、読売新聞は、出入国在留管理庁が在留資格の変更・更新などの手数料について、在留期間に応じて金額を変える案を示したと報じています。

報道によれば、在留資格の変更・更新について、現行の一律6,000円から、在留期間に応じて1万円から7万5,000円程度に引き上げる案が示されているとのことです。

報道ベースの金額案としては、たとえば次のような内容が挙げられています。
※読売新聞の報道より(https://www.yomiuri.co.jp/national/20260624-GYT1T00285/

在留期間手数料案
3か月以下1万円
1年3万3,000円
3年以上5年未満6万4,000円
5年以上7万5,000円
永住許可20万円

なお、オンライン申請については、一部を除き、窓口申請よりも低額にする方向で検討されていると報じられています。

もっとも、これらは現時点では報道ベースの情報です。正式な手数料額については、今後の正式な発表を待つ必要があります。


企業にとっての影響:企業負担の場合、予算への影響は小さくありません

今回の手数料引上げは、外国人従業員だけでなく、外国人従業員を雇用する企業にも影響します。

特に注意が必要なのは、次のような企業です。

  • 外国人従業員を多数雇用している企業
  • 在留資格更新・変更の手数料を企業が負担している企業
  • 定期的な在留期間更新が必要な外国人従業員が多い企業
  • 外国人従業員本人だけでなく、家族帯同者の手続費用についても企業が支援している企業
  • 採用時の在留資格変更費用を企業負担としている企業

たとえば、これまで1人あたり6,000円で済んでいた在留期間更新の手数料が、仮に3万円、5万円、7万円台となった場合、対象者が数十人、数百人規模の企業では、年間の負担額が大きく変わります。

これまで「細かな実費」として処理していた費用が、今後は人件費・採用費・福利厚生費・海外人材関連予算として、明確に管理すべきコストになる可能性があります。


更新時期が集中する企業は、特に早めの確認が必要です

外国人従業員の在留期間は、入社時期や過去の更新時期によって、一定の時期に集中することがあります。

たとえば、4月入社の外国人従業員が多い企業では、在留期間更新の時期も春先に集中しやすくなります。また、特定技能など、比較的短い在留期間で更新を繰り返す在留資格では、更新頻度が高くなるため、手数料引上げの影響を受けやすくなります。

そのため、企業としては、少なくとも次の点を確認しておくことが望ましいです。

  1. 現在雇用している外国人従業員の人数
  2. 各従業員の在留資格・在留期間・在留期限
  3. 今後1年以内に更新・変更が必要となる人数
  4. 手数料を企業負担としているか、本人負担としているか
  5. 家族滞在等の家族分について、企業がどこまで支援しているか
  6. オンライン申請を利用できる体制があるか
  7. 来期予算に在留手続費用をどの程度見込むべきか

社内で検討しておきたいポイント

繰り返しになりますが、現時点では、具体的な金額が正式に確定したわけではありません

しかし、法改正により上限額が大幅に引き上げられたこと自体は既に公になっており、今後、具体的な手数料額が決まれば、企業の人事労務管理に直接影響します。

そのため、外国人材を多く雇用している企業では、次のような社内対応を早めに検討しておくことをおすすめします。

1. 手数料の企業ルールの確認

まず、在留資格の更新・変更に係る手数料を、現在企業が負担しているのか、本人負担としているのかを確認する必要があります。
企業負担としている場合は、今後も全額企業負担を継続するのか、一部本人負担とするのか、対象となる手続を限定するのかなど、社内ルールの見直しが必要になる可能性があります。
ただし、企業負担としていたものを本人負担に変える場合、本人とのトラブルが生じる可能性は高いです。
そのため、外国人従業員との早期の話し合いもさることながら、それ以上に、どこまでを企業が負担し、どこからを本人負担とするのかについて、納得感のある線引きを設けておくことが重要と考えます。

たとえば、通常の在留期間更新、採用時の在留資格変更についての手数料は企業が負担するが、家族分の手続、永住許可申請などについての手数料は本人負担とする、という余地はあると思われます。

2. 予算への反映

外国人従業員が多い企業では、在留手続の手数料が年間予算に影響する可能性があります。
特に、更新対象者が多い年度や、1年更新の従業員が多い企業では、費用負担が一時的に集中することも考えられます。
人事部門だけで判断するのではなく、必要に応じて、経理部門、財務部門、経営層とも情報共有しておくことが重要です。

3. オンライン申請体制の整備

報道では、オンライン申請の場合、一定の割引が設けられる案も示されています。
既に在留申請のオンライン手続は導入されており、2025年4月1日の手数料改定でも、オンライン申請と窓口申請で手数料に差が設けられています。

今後、オンライン申請の利用により手数料負担を抑えられる可能性があるため、企業としてオンライン申請を利用できる体制を整えておくことも、実務上の検討事項となります。

4. 外国人従業員への説明

手数料の引上げは、外国人従業員本人にとっても大きな関心事です。
特に、本人負担としている企業では、制度変更の内容を早めに説明し、誤解や不安が生じないようにすることが重要です。

一方、企業負担としている企業であっても、上述の通り、企業がどこまで費用を負担するのか、家族分は対象となるのか、永住許可申請は対象となるのかなど、内部ルールを明確にしておく必要があります。


まとめ:正式決定前でも、準備は始めておくべき

今回の在留資格関連手数料の引上げは、単なる行政手続費用の変更にとどまりません。
外国人従業員を多数雇用している企業にとっては、採用・雇用管理・人件費・福利厚生費に関わる実務上の重要な変更です。

繰り返しになりますが、現時点で確定しているのは、2026年5月の法改正により、在留資格の変更・更新や永住許可に係る手数料の上限額が大幅に引き上げられたという点です。
一方、具体的な手数料額については、在留期間に応じて金額を変える案が報道されていますが、正式な金額は今後の政令等により確認する必要があります。

そのため、企業の人事担当者としては、今後の動向を注視するとともに、外国人従業員数、更新時期、企業負担の有無、予算への影響を早めに整理し、必要に応じて内部での説明・根回しを進めておくことが望まれます。

特に、在留手続費用を企業負担としている企業では、「正式に決まってから考える」のではなく、想定される負担増をあらかじめ把握し、来期予算や規程に反映できるよう準備しておくことが重要です。

注意!2026年7月1日から査証手数料が改定へ

人材を招聘する企業は、ビザ申請費用の変更に注意

外務省は、令和8年6月19日の外務大臣会見において、査証手数料の改定について発表しました。

今回の改定により、令和8年7月1日以降の申請分から、一次入国査証及び数次入国査証の手数料が大幅に引き上げられる予定です。


改定内容

改定後の主な査証手数料は、以下のとおりです。

査証の種類現行手数料改定後手数料
一次入国査証3,000円15,000円
数次入国査証6,000円30,000円

一次入国査証・数次入国査証ともに5倍の引き上げとなります

外務省によれば、現在の査証手数料は1978年に定められて以降、長期間据え置かれてきたものであり、今回の改定は、物価上昇や為替相場の変動等を踏まえた見直しとされています。


企業実務への影響

外国人材を海外から招聘する企業においては、今後、ビザ申請時の費用が従来よりも高くなる点に注意が必要です。

特に、以下のような場面では、採用・招聘コストの見積りに影響する可能性があります。

  • 海外在住の外国人材を日本に呼び寄せる場合
  • 海外親会社・関連会社から外国人従業員を日本に赴任させる場合
  • 短期商用、研修、会議参加等のために外国人を招聘する場合
  • 複数名を同時に招聘する場合
  • 数次入国査証の取得を予定している場合

たとえば、複数名の外国人材を同時に招聘するケースでは、1名あたりの増額幅は小さく見えても、全体では相応の費用増となる可能性があります。


7月1日以降の申請分から適用

新たな査証手数料は、令和8年7月1日以降の申請に適用される予定です。
そのため、現在、外国人材の招聘や海外拠点からの赴任を予定している企業では、申請時期を確認したうえで、改定後の手数料を前提に費用を見積もる必要があります。

なお、査証手数料は、国籍、査証の種類、相互主義による取扱い等により異なる場合があります。
実際の申請にあたっては、対象者の国籍や申請先の在外公館における最新の案内を確認することが重要です。


まとめ

令和8年7月1日以降、一次入国査証は15,000円、数次入国査証は30,000円に改定される予定です。
外国人材の採用、海外拠点からの赴任、短期商用・研修目的の招聘などを行う企業では、ビザ申請費用が従来より増加する可能性があります。

人事・総務担当者は、今後の招聘スケジュールを確認し、採用・赴任・研修等に関する予算や社内案内を見直しておくとよいでしょう。

外国人を採用する前に確認すべき在留カードの見方

外国人を採用する場合、企業は、採用予定者が日本で就労できる人かどうかを確認する必要があります。

その際に重要になるのが「在留カード」です。

在留カードには、その外国人の在留資格、在留期間、就労制限の有無などが記載されています。外国人を雇用する企業としては、採用前に在留カードを確認し、従事させる業務に問題がないかを確認しておくことが重要です。なお、6月14日から新様式の在留カードが発行されるようになりました。


在留カードの原本を確認する

採用時には、在留カードのコピーや画像だけでなく、できる限り原本を確認することが望ましいです。

確認すべき主な項目は、次のとおりです。

  • 氏名
  • 生年月日
  • 国籍・地域
  • 在留資格
  • 在留期間の満了日
  • 就労制限の有無
  • 資格外活動許可欄
  • 在留カード番号

特に重要なのは、「在留資格」「就労制限の有無」「在留期間の満了日」です。
在留カードを確認する際は、表面だけでなく、裏面も確認する必要があります。
※2026年6月14日以降発行の新様式の在留カードには、「在留期間」が表示されなくなりました。

入管庁ウェブサイトより(https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/whatzairyu_00001.html


「在留資格」を確認する

在留資格は、その外国人が日本でどのような活動を行うことができるかを示すものです。

たとえば、「技術・人文知識・国際業務」であれば、一定の専門的・技術的な業務に従事することが想定されます。一方、「留学」や「家族滞在」は、それ自体で自由に就労できる在留資格ではありません。

また、「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」など、身分や地位に基づく在留資格の場合には、一般に就労活動に制限はありません。

企業側としては、単に「在留カードを持っているか」ではなく、在留資格と実際に任せる業務内容が合っているかを確認する必要があります。


「在留期間」と「満了日」を確認する

在留カードには、在留期間と在留期間の満了日が記載されています。

在留期間がすでに満了している場合、そのまま雇用することはできません。

また、採用時点では在留期限内であっても、入社後すぐに在留期限が到来する場合があります。そのため、採用時には在留期間の満了日を確認し、雇用後も期限管理を行うことが重要です。

在留期限が近い場合には、本人が在留期間更新許可申請を行う予定であるか、申請状況はどうなっているかを確認しておくとよいでしょう。


「就労制限の有無」を確認する

在留カード表面には、「就労制限の有無」という欄があります。

ここには、就労できるかどうかに関する情報が記載されています。

たとえば、就労制限がない在留資格であれば、原則として職種に関する制限はありません。一方、就労できる在留資格であっても、認められる活動内容には範囲があります。

そのため、「就労可」と見える場合でも、どのような業務でも任せてよいとは限りません。

特に、「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」「技能」などの在留資格では、在留資格ごとに予定されている活動内容があります。採用時には、担当させる業務がその在留資格で認められる範囲内かを確認する必要があります。


「資格外活動許可欄」を確認する

在留カード裏面には、「資格外活動許可欄」があります。

これは、現在の在留資格で認められている活動以外に、報酬を受ける活動などを行う許可を受けているかを確認する欄です。

たとえば、「留学」や「家族滞在」の在留資格の人をアルバイトとして採用する場合には、原則として資格外活動許可が必要です。

資格外活動許可を受けている場合、在留カード裏面にその許可の内容が記載されていることがあります。

企業側としては、在留カード表面だけでなく、裏面の資格外活動許可欄も確認する必要があります。

なお、資格外活動許可がある場合でも、無制限に働けるわけではありません。留学生などについては、勤務時間や業務内容に制限があります。


在留カードの偽変造にも注意する

在留カードは、券面を確認するだけでなく、偽変造の可能性にも注意する必要があります。

出入国在留管理庁は、在留カード等のICチップ内に保存されている情報を読み取り、券面の記載と見比べることができる「在留カード等読取アプリケーション」を提供しています。

また、在留カード番号等により、在留カード等番号が失効していないかを照会する仕組みもあります。

企業側としては、採用時に在留カードの内容を確認するとともに、必要に応じてこれらの確認方法を活用することが考えられます。


「確認した記録」を残す

外国人を採用する際には、在留カードを確認するだけでなく、確認した記録を残しておくことも重要です。

実務上は、次のような項目を記録しておくとよいでしょう。

  • 確認日
  • 確認担当者
  • 在留資格
  • 在留期間の満了日
  • 就労制限の有無
  • 資格外活動許可の有無
  • 任せる予定の業務内容
  • 他社勤務の有無

特に、留学生や家族滞在の方をアルバイト採用する場合には、資格外活動許可の有無や勤務時間の制限を確認しておく必要があります。

また、外国人を雇い入れた場合や離職した場合には、外国人雇用状況の届出も必要です。


まとめ

外国人を採用する際には、在留カードを確認し、採用予定者が日本で就労できる人かどうかを確認する必要があります。

特に重要なのは、次の点です。

  1. 在留カードの原本を確認する
  2. 在留資格を確認する
  3. 在留期間の満了日を確認する
  4. 就労制限の有無を確認する
  5. 資格外活動許可欄を確認する
  6. 業務内容が在留資格に合っているか確認する
  7. 確認した内容を記録として残す

外国人雇用では、「在留カードを持っているから大丈夫」と考えるのではなく、在留資格、就労制限、資格外活動許可、実際の業務内容をセットで確認することが重要です。

採用時の確認を丁寧に行うことで、不法就労や雇用管理上のトラブルを防ぎやすくなります。


参考資料
  • 厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」
  • 厚生労働省「外国人雇用はルールを守って適正に」
  • 出入国在留管理庁「資格外活動の許可」
  • 出入国在留管理庁「不法就労防止に」
  • 出入国在留管理庁「在留カード等読取アプリケーション/失効情報照会 サポートページ」

留学生アルバイトの「週28時間以内」はどう確認する?

外国人留学生をアルバイトとして採用する場合、企業側が特に注意すべきなのが、いわゆる「週28時間以内」のルールです。

留学生は、「留学」の在留資格だけで自由に働けるわけではありません。アルバイトをするためには、原則として「資格外活動許可」を受けている必要があります。


まず確認すべきは「資格外活動許可」

採用時には、在留カードを確認し、在留資格が「留学」であること、在留期間が切れていないこと、資格外活動許可を受けていることを確認します。

資格外活動許可の有無は、在留カード裏面の記載等で確認できます。
資格外活動許可がない場合、原則としてアルバイトとして就労させることはできません


週28時間以内は「自社だけ」ではない

留学生のアルバイトは、原則として1週28時間以内とされています。

ここで注意が必要なのは、28時間以内かどうかは、自社での勤務時間だけで判断するものではないという点です。

留学生が複数のアルバイトを掛け持ちしている場合、すべての勤務先での勤務時間を合計して、週28時間以内に収まっている必要があります
そのため、採用時には、他社でアルバイトをしているか、している場合は週何時間程度勤務しているかを確認しておくことが重要です。


「1週」の見方にも注意

週28時間以内という場合の「1週」は、単に会社のシフト表上の月曜から日曜で見ればよい、というものではありません。

出入国在留管理庁の資料では、どの曜日から1週を起算した場合でも、常に1週28時間以内である必要があるとされています。

そのため、特定の週だけ勤務時間が偏るようなシフトを組む場合には注意が必要です。


長期休業期間中は1日8時間以内まで可能

学校の夏休み・冬休みなど、学則で定められた長期休業期間中は、1日8時間以内までアルバイトが認められます。

ただし、単に授業が少ない期間や、本人が学校を休んでいる期間を、会社側の判断で長期休業期間として扱うことは避けるべきです。

長期休業期間として扱う場合には、学校の学則や年間スケジュール等を確認しておくと安全です。


企業側で行うべき管理

企業としては、少なくとも次の点を確認・管理しておくことが望ましいです。

  • 在留カードを確認する
  • 資格外活動許可の有無を確認する
  • 他社アルバイトの有無と勤務時間を確認する
  • 勤務時間が週28時間以内に収まるようシフトを管理する
  • 長期休業期間は学校資料等で確認する
  • 確認した内容を記録として残す

まとめ

留学生アルバイトを採用する場合、企業は「在留カードを見たから大丈夫」と考えるのではなく、資格外活動許可の有無、週28時間以内の管理、他社勤務の有無まで確認する必要があります。

特に、週28時間以内のルールは、自社だけでなく、他のアルバイト先も含めた合計時間で判断されます。

採用時の確認と、雇用中のシフト管理を適切に行うことが、企業側のリスクを避けるうえで重要です。


参考資料
  • 出入国在留管理庁「『留学』の在留資格に係る資格外活動許可について」
  • 出入国在留管理庁「就労資格の在留諸申請に関連してお問い合わせの多い事項」
  • 出入国在留管理庁「外国人の適正な雇用にご協力ください」
  • 厚生労働省「外国人雇用はルールを守って適正に」

1歳以上16歳未満の方の在留カードにも顔写真が表示されるようになります

2026年6月14日から、在留カード等の様式が新しくなり、1歳以上16歳未満の方についても、在留カード等に顔写真が表示されるようになります

これまで、16歳未満の方の在留カードには、原則として顔写真が表示されていませんでした。しかし、改正入管法の施行に伴い、今後は、1歳以上の方であれば、在留カードや特別永住者証明書に顔写真が表示されることになります。


いつから変わるのか

新しい取扱いは、2026年6月14日以降に交付される在留カード等から始まります。
そのため、申請日が2026年6月14日前であっても、在留カードの交付日が同日以降となる場合には、1歳以上16歳未満の方について顔写真の提出が必要となる場合があります。

既に申請済みの場合でも、入管から追加書類として顔写真データの提出を求められることがありますので、該当する方は案内をよく確認する必要があります。


対象となる方

対象となるのは、主に次の方です。

  • 1歳以上16歳未満の中長期在留者
  • 1歳以上16歳未満の特別永住者
  • 2026年6月14日以降に在留カード等の交付を受ける予定の方

特に、家族滞在、留学、永住者の子どもなど、16歳未満の外国人の方について、在留期間更新、在留資格変更、在留カードの再交付などを行う場合には注意が必要です。


これまでと何が違うのか

従来、16歳未満の方については、在留カードに顔写真が表示されず、申請時の写真提出も不要とされる場面がありました。
しかし、2026年6月14日以降に交付される新様式の在留カード等では、1歳以上であれば顔写真が表示されることになります。

そのため、今後は、1歳以上16歳未満の方についても、申請時又はカード受領時に顔写真の提出を求められるようになります。


オンライン申請を利用する場合の注意点

オンライン申請を利用する場合も注意が必要です。

現行の在留申請オンラインシステムでは、16歳未満の方については、顔写真不要者用データを添付する運用がされています。
しかし、2026年6月14日以降は、1歳以上16歳未満の方についても顔写真データが必要となる予定です。
また、2026年6月14日より前に申請する場合であっても、同日以降に在留カードが交付される1歳以上16歳未満の方については、システム上、通常の顔写真添付欄で提出できない場合があります。この場合、入管からの案内に従い、追加で顔写真データを提出する必要があります。


現在持っている在留カードはどうなるのか

現在有効な在留カード等について、直ちに新しい様式へ切り替える必要はありません。

新様式の在留カード等は、在留期間更新、在留資格変更、再交付など、今後の手続に伴って順次交付されることになります。
そのため、現在の在留カードが有効である場合には、まずはカードの有効期限や次回の申請時期を確認しておくことが重要です。


まとめ

2026年6月14日以降、在留カード等の様式変更により、1歳以上16歳未満の方についても顔写真が表示されるようになります

特に、次の方は注意が必要です。

  • 1歳以上16歳未満の外国人の在留申請を予定している方
  • 2026年6月14日以降に在留カードを受け取る可能性がある方
  • オンライン申請を利用している方
  • 外国人従業員やその家族の在留手続をサポートしている企業・学校・受入機関

該当する場合には、入管からの案内を確認し、顔写真の準備や追加提出に対応できるようにしておきましょう。

在留資格変更・更新、永住許可等の申請手数料の上限額が引き上げられます

在留資格に関する各種申請について、手数料の上限額を引き上げる入管法改正が行われました。
今回の改正は、外国人本人や、外国人材を雇用している企業にとって、今後の在留手続の費用負担に影響する可能性があります。

ただし、今回の改正については、「法律上の上限額が引き上げられた」という点と、「実際に申請時に納付する手数料額がいくらになるか」という点を分けて理解する必要があります。


改正の概要

今回の改正により、主な在留関係手続について、法律上の手数料上限額が次のとおり引き上げられます。

手続改正後の法律上の上限額
在留資格変更許可10万円
在留期間更新許可10万円
永住許可30万円
再入国許可1万円

特に、在留資格変更許可、在留期間更新許可、永住許可は、就労系の在留資格で日本に在留する外国人や、その雇用企業にとって関係の深い手続です。

そのため、今後、外国人材を雇用している企業では、在留期間更新や在留資格変更の際の費用負担について、本人負担とするのか、会社負担とするのかを含めて、社内の運用を確認しておくことが望ましいといえます。


直ちに「更新・変更が10万円」「永住が30万円」になるわけではありません

今回の改正で注意すべき点は、法律上の上限額が引き上げられたからといって、直ちに全ての申請で上限額そのものを納付しなければならないわけではない、という点です。

入管法上、実際の手数料額は、法律で定められた上限額の範囲内で、政令により定められる仕組みとなっています。

したがって、例えば、在留資格変更許可や在留期間更新許可について、法律上の上限額は10万円になりますが、実際に申請時に納付する金額が必ず10万円になるという意味ではありません。
同様に、永住許可についても、法律上の上限額は30万円になりますが、実際の納付額は、今後定められる政令の内容を確認する必要があります。


現在の手数料との関係

在留関係手続の手数料については、2025年4月1日から既に改定が行われています。

例えば、在留資格変更許可や在留期間更新許可については、申請方法により手数料額が異なり、窓口申請とオンライン申請で異なる金額が定められています。

今回の法改正は、このような現行の具体的な手数料額そのものを直ちに変更するというよりも、今後、政令で定めることができる手数料額の上限を引き上げるものです。

そのため、現時点では、「在留資格変更・更新や永住許可の手数料について、法律上の上限額が大幅に引き上げられた。もっとも、実際に申請時に納付する金額は、今後、政令により定められる。」と理解しておくことが重要です。


施行時期にも注意が必要です

改正法では、手数料上限額の引上げに関する規定について、令和9年3月31日までの間において政令で定める日から施行されるものとされています。

また、施行日前にされた在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請、永住許可申請等については、経過措置により、従前の例によるものとされています。

そのため、実務上は、単に「いつ許可されたか」だけでなく、「いつ申請を受け付けられたか」も重要になる可能性があります。


企業が確認しておきたいポイント

外国人材を雇用している企業では、今後の手数料改定に備えて、少なくとも次の点を確認しておくことが考えられます。

① 申請手数料の負担者

在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請の手数料について、本人が負担するのか、会社が負担するのかを確認しておく必要があります。

会社が負担している場合には、社内規程、雇用契約書、外国人材受入れに関する運用ルール等との整合性も確認しておくと安心です。

② 更新時期の管理

在留期間更新許可申請は、在留期限が近づいてから準備を始めると、書類収集や社内確認に時間を要することがあります。
今後、手数料額の変更が予定される場合には、申請時期によって費用負担が変わる可能性もありますので、在留期限の管理をより早めに行うことが重要です。

③ 永住許可申請の検討

永住許可については、法律上の上限額が30万円に引き上げられます。

実際の手数料額は今後の政令を確認する必要がありますが、永住許可申請を検討している方が社内にいる場合、申請要件の確認、必要書類の準備、申請時期の検討を早めに進めておくようアドバイスすることが望ましいといえます。


まとめ

今回の改正により、在留資格変更許可、在留期間更新許可、永住許可等の申請手数料について、法律上の上限額が引き上げられます。

もっとも、現時点で重要なのは、「上限額が引き上げられたこと」と「実際の納付額は今後政令で定められること」を分けて理解することです。
外国人本人や外国人材を雇用する企業としては、今後公表される具体的な手数料額や施行日を確認しつつ、申請時期、費用負担、社内ルールの見直しを進めておくことが重要です。

2027年4月から始まる「企業内転勤2号」とは?

海外拠点の人材を日本で育成する新しい選択肢

2027年4月から、「企業内転勤2号」が導入されます。この在留資格は、「技能実習制度」の廃止に伴い創立される新しい在留資格です。

これまで「企業内転勤」といえば、海外の親会社・子会社・関連会社などの海外拠点で働いていた外国人社員を、日本の事業所に転勤させ、いわゆる技術・人文知識・国際業務に該当する業務に従事させる制度として理解されてきました。

しかし、新たに設けられる企業内転勤2号は、従来の企業内転勤とは少し性格が異なります。

簡単にいうと、企業内転勤2号は、海外拠点の外国人職員を日本に一時的に転勤させ、日本の事業所で講習や実務を通じて技能などを修得させるための制度です。企業内転勤1号と異なり、現場作業にも従事できます。

そのため、たとえば、将来、海外工場のリーダーや責任者候補となる人材に対し、日本本社や日本工場で、生産現場に入りつつ、関連する技能などを学ばせる場面が想定されます。


企業内転勤1号との違い

企業内転勤2号を理解するうえで重要なのは、従来型の企業内転勤、つまり企業内転勤1号との違いです。

企業内転勤1号は、日本で行う活動が、原則として技術・人文知識・国際業務に該当する業務であることを前提とする制度です。
基準省令上も、対象者が、転勤直前に外国の事業所で技術・人文知識・国際業務に対応する業務に継続して1年以上従事していたことが求められます。

これに対して、企業内転勤2号は、上述の通り、海外拠点の外国人職員が、一定期間技能等を修得するために講習を受け、技能等に係る業務に従事する活動を対象にしています。

つまり、企業内転勤1号が「一定の専門的業務を行うための転勤」であるのに対し、企業内転勤2号は、より端的にいえば、海外拠点の人材育成のための転勤という性格を持っています。


転勤前の業務は「技人国」の範囲である必要があるのか

ここは、実務上かなり間違いやすいポイントです。

企業内転勤1号では、転勤前の業務についても、技術・人文知識・国際業務に対応する業務であることが問題になります。

一方、企業内転勤2号については、少なくとも公表されている入管庁資料上、転勤元で1年以上勤務していることは示されていますが、転勤前の業務が「技術・人文知識・国際業務」の範囲内であることまでは明示されていません

そのため、現時点では、次のように理解しておくのが安全と考えます。

企業内転勤2号では、転勤前の業務が必ずしも「技術・人文知識・国際業務」の範囲内である必要まではない。
ただし、日本での活動は、単なる労働力補充ではなく、技能等を修得するための講習および当該技能等に係る業務である必要がある。

ここで注意すべきなのは、「転勤前が現場作業でもよい」からといって、「日本でも単純作業要員として使える」という意味ではないという点です。
企業内転勤2号では、修得しようとする技能等が、同一作業の反復のみによって修得できるものではないことが要件とされています。
したがって、日本での活動が、単なるライン作業、梱包、検品、清掃、接客補助などの反復作業にとどまる場合には、企業内転勤2号としての説明は難しくなります。


制度上は「研修」ではなく「転勤」である

企業内転勤2号は、実質的には研修・育成目的で利用される制度ですが、制度上はあくまで企業内転勤です。

そのため、単に海外の取引先や協力会社の従業員を日本に呼んで教育する制度ではありません。
前提として、海外拠点と日本にある事業所との間に、企業グループ内の関係性があることが必要になります。

また、日本側の受入機関についても、一定の基準を満たす必要があります。
入管庁の資料では、企業内転勤2号の受入れ機関について、常勤職員数20人以上、受入人数は常勤職員数の5%以内といった要件が示されています


在留期間は通算1年まで

企業内転勤2号で特に注意したいのが、在留期間です。

企業内転勤2号で在留できる期間は、通算で1年までとされています。
入管庁資料でも、企業内転勤2号の在留資格で在留できる期間は通算1年までと整理されています。


まとめ

企業内転勤2号は、海外拠点を持つ企業にとって、将来の現地責任者や中核人材を日本で育成するための新しい選択肢になり得ます。

特に、海外拠点において、日本本社の品質基準、製造ノウハウ、安全管理、工程改善の考え方などを浸透させたい企業にとっては、活用の余地がある制度です。

企業内転勤2号を検討する場合には、少なくとも次の点を事前に確認しておく必要があります。

確認項目ポイント
受入機関の規模常勤職員数20人以上などの要件を満たすか
受入人数常勤職員数の5%以内に収まるか
転勤元での勤務実績転勤元で1年以上勤務しているか
日本での活動内容単なる反復作業ではなく、技能等の修得といえるか
講習・OJT計画何を、誰が、どのように教えるのか
帰国後の配置修得した技能等を海外拠点でどう活用するのか
在留期間通算1年以内に収まるか

企業内転勤2号は、うまく使えば、海外拠点の幹部候補・現場リーダー候補の育成に役立つ制度です。海外に事業所をもつ法人にとって、一年以内の活動でその目的を達することができる場合には、有効な選択肢となります。

2027年4月の制度開始に向けて、海外拠点を持つ企業では、早めに対象者、研修内容、帰国後の配置計画を整理しておくことをおすすめします。技能系の業務に関しては、育成就労、特定技能に加え、企業内転勤2号という選択肢がありますので、その目的や日本での活動予定期間を踏まえ、どのような受入れが可能かを検討する必要があります。
ご興味・関心のある企業様におかれましては、お気軽に弊社までお問い合わせください。


参考資料:出入国在留管理庁「育成就労制度の関係省令等について
e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令」、出入国在留管理庁「育成就労制度の制度概要・関係法令

在留資格「経営・管理」の申請が大幅減少?要件厳格化で注意すべきポイント

「経営・管理」は、日本で起業したい外国人経営者や、日本法人の役員として事業を行う方にとって非常に重要な在留資格です。

しかし、近年、この在留資格について、制度の悪用が問題視されるようになりました。
たとえば、実態のない会社、いわゆるペーパーカンパニーを設立し、事業経営の実態が乏しいにもかかわらず、日本に在留する手段として利用されるケースなどが指摘されています。

そのような背景を受けて、昨年、在留資格「経営・管理」の許可基準が厳格化されました。


在留資格「経営・管理」の要件はどう変わったのか

従来、在留資格「経営・管理」の取得にあたっては、一定の事業規模が求められていました。

しかし、要件の厳格化により、必要とされる資本金額や、常勤職員の雇用などについて、これまでよりも高いハードルが設けられています。

特に重要なのは、単に会社を作ればよいというものではなく、日本で継続的・安定的に事業を行う実体があるかが、より厳しく見られるようになっている点です。

具体的には、次のような点が重要になります。

  • 事業所が実在し、事業活動に適した場所であるか
  • 事業内容に具体性・実現可能性があるか
  • 資本金や事業規模が十分か
  • 常勤職員の雇用など、事業運営体制が整っているか
  • 申請人が実際に経営・管理活動を行う立場にあるか
  • 事業計画に合理性があるか

つまり、形式的に会社を設立しただけでは足りず、「本当に日本で事業を行うのか」「その事業は継続できるのか」という点が、これまで以上に重視されるようになっています。
そして、昨年、こうした事業の実体性や継続性の判断に重要となる「資本金」や「常勤職員の雇用」に関する基準が厳格化されました。

具体的には、必要とされる資本金等の額が500万円以上から3000万円以上へ引き上げられたほか、日本人または一定の在留資格を有する外国人である常勤職員を1名以上雇用することが求められるようになりました。


申請件数が大幅に減少しているとの報道も

報道によれば、要件の厳格化後、在留資格「経営・管理」の新規申請件数は大幅に減少しているとされています。
この点は、制度改正の影響が実務上かなり大きいことを示しているといえます。

もちろん、申請件数が減ったからといって、正当な事業を行う外国人経営者が一律に許可されなくなったわけではありません。
しかし、少なくとも、これまでよりも準備不足の申請は通りにくくなっていると考えるべきです。

特に、次のようなケースでは注意が必要です。

  • とりあえず会社だけ設立してから申請しようとしている
  • 資本金や雇用体制の準備が十分でない
  • 事業計画書の内容が抽象的である
  • 売上見込みや取引先の説明が弱い
  • 実際の事業所が自宅やバーチャルオフィスに近い形になっている
  • 申請人本人の経営経験や役割の説明が不十分である

このような状態で申請すると、事業の継続性・安定性・実体性について疑問を持たれる可能性があります。


既に日本で事業をしている方も注意が必要

今回の厳格化は、これから新たに在留資格「経営・管理」を申請する方だけでなく、すでに日本で事業をしている外国人経営者にも影響を与える可能性があります。

たとえば、在留期間の更新時に、事業の実績や継続性が十分に説明できない場合、更新が問題になることがあります。
会社を設立した当初は許可されたとしても、その後、

  • 売上がほとんどない
  • 事業活動の実態が乏しい
  • 事務所の使用実態が不明確
  • 役員報酬や生活費の説明が不十分
  • 税務申告や社会保険関係の手続に不備がある

といった事情があると、更新時に厳しく見られる可能性があります。
そのため、「許可を取ること」だけでなく、許可後にきちんと事業を運営し、次回更新に備えることも非常に重要です。


行政書士に相談するメリット

在留資格「経営・管理」の申請では、会社設立、事業計画、資金の流れ、事務所、雇用、税務・社会保険など、複数の要素が関係します。

そのため、単に申請書を作成するだけではなく、申請前の段階から、

  • どのような事業にするか
  • 資本金をどのように準備・説明するか
  • 事務所をどのように確保するか
  • 事業計画書に何を記載するか
  • どの資料を添付すべきか
  • 更新時に問題にならない運営体制になっているか

を整理しておく必要があります。

行政書士に相談することで、在留資格の要件を踏まえたうえで、申請に必要な資料や説明内容を事前に整理することができます。

特に、要件が厳格化された現在では、「とりあえず申請してみる」よりも、「許可の可能性を踏まえて準備する」ことが重要です。


まとめ

在留資格「経営・管理」は、日本で起業・経営を行う外国人の方にとって重要な制度です。
しかし、要件の厳格化により、申請にあたっては、これまで以上に事業の実体性、継続性、安定性が重視されるようになっており、事業所、資本金、雇用体制、事業計画、申請人の役割などを総合的に説明する必要があります。

これから在留資格「経営・管理」の申請を検討している方、または既に在留資格「経営・管理」で在留しており更新に不安がある方は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

特定技能「鉄道分野」の告示改正とは?

2026年4月1日から、特定技能「鉄道分野」に関する国土交通省告示の改正が適用されます。
今回の改正は、鉄道分野で外国人材の受入れを検討している企業、特に人事・採用担当者にとって、実務上見逃せない内容です。

とくに重要なのは、受入れ対象となる事業者の範囲が広がったこと、そして協議会に関する対応義務が強化されたことです。
この記事では、行政書士の立場から、今回の改正内容を人事担当者向けにわかりやすく整理します。


今回の改正で何が変わったのか

今回の改正は、鉄道分野における特定技能外国人の受入れに関し、受入れ機関が満たすべき基準を見直すものです。
改正対象は、鉄道分野に特有の事情を踏まえて国土交通大臣が定めている基準告示であり、令和8年4月1日から適用されています。

改正点を大きくまとめると、次の3点です。

  • 「駅又は車両の清掃に係る事業」を営む者が、受入れ機関の対象として明示されたこと
  • 協議会で協議が調った事項について、必要な措置を講じる義務が明文化されたこと
  • 登録支援機関に支援計画の全部を委託する場合、その委託先にも拡張後の要件が及ぶよう整理されたこと

一見すると細かな条文修正に見えますが、採用実務や受入れ体制の整備に直結する重要な改正です。


「清掃業務」が明記されたこと

これまでの告示では、鉄道分野における受入れ機関の対象として、鉄道事業者や軌道経営者のほか、鉄道施設・車両の整備車両の製造に係る事業者が掲げられていました。
今回の改正では、これに加えて、「駅若しくは車両の清掃に係る事業を営む者」が明示的に追加されました。

これは実務上、非常に大きな意味があります。

鉄道関連の現場では、駅清掃や車両清掃は安定運行を支える重要な業務です。
しかし従前の文言では、これらの事業者が制度上の対象に明確に含まれるのか、条文上やや読み取りにくい面がありました。
今回の改正により、清掃業務を担う事業者も、鉄道分野の特定技能外国人の受入れ機関となり得ることが明確になったといえます。

そのため、鉄道会社本体だけでなく、駅や車両の清掃を受託している関連会社・協力会社にとっても、採用の選択肢が広がる改正といえるでしょう。


「協議会に入っていればよい」では足りなくなる

今回の改正でもう一つ重要なのが、協議会対応の実質化です。

改正前から、受入れ機関には、国土交通省が設置する鉄道分野の特定技能外国人受入れに関する協議会の構成員であることや、協議会に対して必要な協力を行うことが求められていました。
これに対し、改正後は新たに、「協議会において協議が調った事項に関する措置を講じること」が要件として追加されています。

この改正によって、人事担当者として意識すべきポイントは明確です。
単に協議会の構成員になっているだけでは不十分で、協議会で決まったルールや運用を社内で実際に実施しているかが問われるということです。

たとえば、今後、協議会において次のような事項が整理された場合には、企業側で実務対応が必要になります。

  • 受入れ時の報告方法
  • 就労管理や支援体制に関する運用
  • 不適正受入れ防止のための措置
  • 関係行政機関との連携方法

つまり、今回の改正は、協議会への「参加義務」に加え、協議結果の「履行義務」まで視野に入れた制度運用に進んだと見るべきです。


登録支援機関に任せていても安心とはいえない

特定技能外国人の受入れでは、1号特定技能外国人支援計画の全部を登録支援機関に委託している企業も少なくありません。
今回の改正では、その場合の委託先についても、改正後の要件に対応する形で整理されています。
具体的には、登録支援機関に全部委託する場合、その登録支援機関も協議会関係を含む所定の要件を満たす必要があるとされています。

ここで注意したいのは、企業側が「支援業務は外部委託しているから大丈夫」とは言い切れない点です。

実際には、委託先の登録支援機関が、

  • 協議会への対応を適切に行えるか
  • 協議会で調った事項に沿った支援を実施できるか
  • 受入れ機関と連携しながら必要な協力を行えるか

といった点まで確認しておく必要があります。

人事担当者としては、登録支援機関の選定時や契約更新時に、委託範囲、役割分担、協議会対応の責任所在を見直しておくことが重要です。


適用開始日は2026年4月1日。ただし経過措置あり

この改正告示は、令和8年4月1日から適用されます。

もっとも、すべての案件に一律で新ルールが適用されるわけではありません。附則では、適用時点で既に、

  • 在留資格認定証明書の交付を受けている者
  • 在留資格認定証明書の交付を申請している者
  • 特定技能への在留資格変更の許可を受けている者
  • 特定技能への在留資格変更許可を申請している者

に係る受入れ機関の基準については、なお従前の例によるとされています。

このため、現場の実務では、まずその案件が、

  • 2026年4月1日以後に新たに進める案件なのか
  • すでに申請・許可等が進んでいる経過措置対象案件なのか

を切り分ける必要があります。

採用計画や在留資格手続の進行状況によって適用ルールが変わるため、ここは誤りのないよう注意したいところです。


人事担当者が今すぐ確認したいチェックポイント

今回の改正を踏まえ、鉄道分野で特定技能外国人の受入れを検討している企業は、少なくとも次の点を確認しておくことをおすすめします。

(1)自社が受入れ機関の対象になるか

自社の事業内容が、改正後の告示上、鉄道分野の対象事業に該当するかを確認しましょう。
特に、駅清掃・車両清掃を主たる業務とする会社は、今回の改正で位置付けが明確になっています。

(2)協議会対応が形式だけになっていないか

協議会の構成員であるだけでなく、協議会で決まった事項を社内で実施できる体制があるかを確認すべきです。
人事部門だけでなく、現場管理部門や総務部門との連携も重要です。

(3)登録支援機関との契約内容を見直す必要がないか

全部委託をしている場合、委託先が改正後の要件に対応できるかを確認し、必要に応じて契約条項や業務分担を見直しましょう。


まとめ

今回の改正は、鉄道分野における特定技能外国人の受入れについて、制度の実態に合わせて対象業務を拡張するとともに、協議会対応をより実効的なものにする内容です。

人事担当者の視点で押さえておくべき要点は、次の2つに集約できます。

第一に、駅・車両の清掃事業者が受入れ機関として明示されたことにより、鉄道関連の清掃業務を担う企業でも制度活用を検討しやすくなったこと。

第二に、協議会で決まった事項を実際に講じる義務が明文化されたことにより、単なる名目的な参加では足りず、社内体制の整備や委託先管理まで含めた対応が必要になったことです。

制度を活用した採用を成功させるためには、在留資格手続そのものだけでなく、受入れ機関としての体制整備を早めに進めることが大切です。
鉄道分野で外国人材の採用を検討している企業は、このタイミングで自社の受入れ体制を見直しておくとよいでしょう。