ビザジャーナル

2025-12-04

在留資格「留学」から就労の在留資格への変更手続き:企業の人事が押さえるべき最新ポイント(2025年版)


外国人留学生の新卒採用が増える中、企業の人事担当者にとって「留学」から就労系在留資格へのスムーズな変更は、採用計画の成否を左右する重要なテーマです。
出入国在留管理庁は毎年1〜3月に申請が集中するため、審査遅延が発生しやすいと注意喚起を行っており、さらに2025年12月1日から提出書類の省略要件が拡大します。

本記事では、人事担当者が把握すべきポイントを整理しました。


書類不備・申請遅れは内定者の就労開始に直結するリスク

毎年、4月入社を希望する留学生の在留資格変更申請は、例年1〜3月に申請が集中します。
その結果、書類不備や申請の遅れにより4月1日の就労開始日に間に合わないケースが発生しています。

そのため、…
  • 内定者へは12月1日〜1月末までの申請を推奨する
  • 申請書類は企業側の書類(雇用契約書、活動内容説明書等)が遅れやすいため、社内で早めに準備
  • 書類不備は審査遅延の主要原因となるため、一覧表を基に事前確認する体制を整備する ことが肝要です


2025年12月1日から書類の省略対象が拡大(要チェック)

従来は企業のカテゴリー(1〜4)に応じて必要書類の省略が可能でしたが、2025年12月1日以降、新たに以下の場合も省略可能になります。

書類省略が可能となる3つのケース
(1) 日本の大学・大学院・短期大学の卒業(予定)者

新卒採用の大半が対象となり、書類作成の負担が大幅に軽減されます。

(2) 海外の優秀大学卒業者

QS/THE/ARWU の3つの世界大学ランキングのうち2つ以上で上位300位の大学出身者が対象。

(3) 留学から就労へ変更し、かつ在留更新を受けて働いている社員がいる企業

既に外国人社員が実績として在留更新を受けている企業は、追加の信頼性が認められます。

※ただし派遣形態での雇用は対象外となりますので注意してください。

実務での対応
  • 書類省略を希望する場合は、指定の「説明書」を作成し申請書に添付する
  • 省略が認められる書類は、従来のカテゴリー2と同様
  • 必要に応じて出入管から追加提出を求められる可能性あり


在留カードの受取は「卒業証明書取得後」になる点に注意

審査完了の通知は卒業前に届くことがありますが、卒業証明書を取得するまでは在留カードを受け取れません

人事が注意すべき点
  • 内定者が卒業証明書を受け取り次第、早期に在留カードを受領するよう案内
  • 入社前の在留カードの有効性を必ず確認する
  • 指定日時の来庁指示があった場合は、その日時に従う必要がある


企業の人事が準備すべき書類のチェックポイント

在留資格「技術・人文知識・国際業務」へ変更する場合、企業側の書類は審査の重要ポイントとなります。

代表的な書類と注意点は以下のとおりです(ただし、省略可能)。

企業側書類のポイント
  • 会社概要資料(事業内容・沿革・財務状況が分かるもの)
  • 雇用契約書(実際の労働条件と一致させる)
  • 活動内容説明書(学んだ内容と職務内容の関連性を明確に)
  • 勤務場所の明示(派遣の場合は注意:省略対象外)


まとめ:人事は「早期準備」と「情報アップデート」が採用成功の鍵

外国人留学生の在留資格変更申請は、時期や書類管理によって結果が左右されます。
特に2025年12月以降は書類省略の要件が緩和され、企業側の負担軽減が期待できますが、正確な制度理解と適切な書類管理が不可欠です。

採用計画を滞りなく進めるためにも、以下を徹底してください。

  • 年度末に向けた早期申請(12月〜1月)
  • 内定者・社内担当者への書類準備スケジュール管理
  • 制度変更点の定期的なアップデート

必要に応じて、制度解説資料や申請書作成のサポートも提供できますので、お気軽にご相談ください。