ビザジャーナル
2026-05-14
在留資格「経営・管理」の申請が大幅減少?要件厳格化で注意すべきポイント

「経営・管理」は、日本で起業したい外国人経営者や、日本法人の役員として事業を行う方にとって非常に重要な在留資格です。
しかし、近年、この在留資格について、制度の悪用が問題視されるようになりました。
たとえば、実態のない会社、いわゆるペーパーカンパニーを設立し、事業経営の実態が乏しいにもかかわらず、日本に在留する手段として利用されるケースなどが指摘されています。
そのような背景を受けて、昨年、在留資格「経営・管理」の許可基準が厳格化されました。
在留資格「経営・管理」の要件はどう変わったのか
従来、在留資格「経営・管理」の取得にあたっては、一定の事業規模が求められていました。
しかし、要件の厳格化により、必要とされる資本金額や、常勤職員の雇用などについて、これまでよりも高いハードルが設けられています。
特に重要なのは、単に会社を作ればよいというものではなく、日本で継続的・安定的に事業を行う実体があるかが、より厳しく見られるようになっている点です。
具体的には、次のような点が重要になります。
- 事業所が実在し、事業活動に適した場所であるか
- 事業内容に具体性・実現可能性があるか
- 資本金や事業規模が十分か
- 常勤職員の雇用など、事業運営体制が整っているか
- 申請人が実際に経営・管理活動を行う立場にあるか
- 事業計画に合理性があるか
つまり、形式的に会社を設立しただけでは足りず、「本当に日本で事業を行うのか」「その事業は継続できるのか」という点が、これまで以上に重視されるようになっています。
そして、昨年、こうした事業の実体性や継続性の判断に重要となる「資本金」や「常勤職員の雇用」に関する基準が厳格化されました。
具体的には、必要とされる資本金等の額が500万円以上から3000万円以上へ引き上げられたほか、日本人または一定の在留資格を有する外国人である常勤職員を1名以上雇用することが求められるようになりました。
申請件数が大幅に減少しているとの報道も
報道によれば、要件の厳格化後、在留資格「経営・管理」の新規申請件数は大幅に減少しているとされています。
この点は、制度改正の影響が実務上かなり大きいことを示しているといえます。
もちろん、申請件数が減ったからといって、正当な事業を行う外国人経営者が一律に許可されなくなったわけではありません。
しかし、少なくとも、これまでよりも準備不足の申請は通りにくくなっていると考えるべきです。
特に、次のようなケースでは注意が必要です。
- とりあえず会社だけ設立してから申請しようとしている
- 資本金や雇用体制の準備が十分でない
- 事業計画書の内容が抽象的である
- 売上見込みや取引先の説明が弱い
- 実際の事業所が自宅やバーチャルオフィスに近い形になっている
- 申請人本人の経営経験や役割の説明が不十分である
このような状態で申請すると、事業の継続性・安定性・実体性について疑問を持たれる可能性があります。
既に日本で事業をしている方も注意が必要
今回の厳格化は、これから新たに在留資格「経営・管理」を申請する方だけでなく、すでに日本で事業をしている外国人経営者にも影響を与える可能性があります。
たとえば、在留期間の更新時に、事業の実績や継続性が十分に説明できない場合、更新が問題になることがあります。
会社を設立した当初は許可されたとしても、その後、
- 売上がほとんどない
- 事業活動の実態が乏しい
- 事務所の使用実態が不明確
- 役員報酬や生活費の説明が不十分
- 税務申告や社会保険関係の手続に不備がある
といった事情があると、更新時に厳しく見られる可能性があります。
そのため、「許可を取ること」だけでなく、許可後にきちんと事業を運営し、次回更新に備えることも非常に重要です。
行政書士に相談するメリット
在留資格「経営・管理」の申請では、会社設立、事業計画、資金の流れ、事務所、雇用、税務・社会保険など、複数の要素が関係します。
そのため、単に申請書を作成するだけではなく、申請前の段階から、
- どのような事業にするか
- 資本金をどのように準備・説明するか
- 事務所をどのように確保するか
- 事業計画書に何を記載するか
- どの資料を添付すべきか
- 更新時に問題にならない運営体制になっているか
を整理しておく必要があります。
行政書士に相談することで、在留資格の要件を踏まえたうえで、申請に必要な資料や説明内容を事前に整理することができます。
特に、要件が厳格化された現在では、「とりあえず申請してみる」よりも、「許可の可能性を踏まえて準備する」ことが重要です。
まとめ
在留資格「経営・管理」は、日本で起業・経営を行う外国人の方にとって重要な制度です。
しかし、要件の厳格化により、申請にあたっては、これまで以上に事業の実体性、継続性、安定性が重視されるようになっており、事業所、資本金、雇用体制、事業計画、申請人の役割などを総合的に説明する必要があります。
これから在留資格「経営・管理」の申請を検討している方、または既に在留資格「経営・管理」で在留しており更新に不安がある方は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。