ビザジャーナル

2026-09-03

「外国人の受入れに人数上限」政府が検討へ―特定技能だけの話ではない?


2026年7月24日、共同通信が、政府が在留外国人の受入れの在り方について有識者会議を設置し、「特定の在留資格に人数上限を設けるなどの規制についても議論するとみられる」と報じました。

「人数上限」と聞くと、まず思い浮かぶのが「特定技能」です。

しかし、今回政府が始めた議論は、特定技能だけを対象としたものではないように見受けられます。


特定技能1号には、もともと「受入れ上限」がある

特定技能1号については、以前から受入れ分野ごとに一定期間の「受入れ見込数」が設定されています。

出入国在留管理庁も、この受入れ見込数について、「大きな経済情勢の変化が生じない限り、1号特定技能外国人の受入れの上限として運用」すると明記しています。

実際、2026年には外食業分野で受入れ見込数5万人への到達が見込まれたことから、在留資格認定証明書の交付を一時停止する措置がとられています。

したがって、特定技能について「人数を管理する」という考え方自体は、新しいものではありません。


今回は「外国人の受入れ全体」の基本方針を作る議論

今回注目すべきなのは、政府がもっと広い視点から外国人の受入れそのものを検討し始めたことです。

2026年7月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2026」では、外国人の受入れの基本的な在り方について有識者会議で議論し、2026年度中に「基本方針」を取りまとめることが明記されました。

さらに、小野田紀美・外国人との秩序ある共生社会推進担当大臣も7月24日の記者会見で、外国人の受入れについて将来推計等を行った上で基本方針を取りまとめると説明しています。

ここでは、自民党と日本維新の会の連立合意書において、「在留外国人に関する量的マネジメント等」を含む基本方針を策定するとされていることにも言及されています。

つまり、今回の議論は、単に「特定技能の受入れ枠を何人にするか」という話ではなく、日本として外国人をどのような規模・構成で受け入れていくのかという、より大きな政策論です。


「在留資格別」に将来の外国人数を推計する

さらに注目されるのが、8月7日に開催された第1回「外国人の受入れの基本的な在り方の検討のためのワーキンググループ」です。

政府は、今後おおむね2040年までについて、在留外国人の性別・年齢・在留資格・国籍等別の人口や就業者数を推計することを検討しています。

そして、その推計や外国人が社会・経済に与える影響を分析した上で、外国人の受入れの基本的な在り方を議論することとされています。

ここで重要なのは、「在留資格別」に推計しようとしていることです。

したがって、政府が今後検討する「量的マネジメント」が、特定技能だけに限定されたものになるとは限りません。


「技人国」や「留学」にも上限が設けられる?

では、「技術・人文知識・国際業務」や「留学」といった在留資格にも人数上限が設定されるのでしょうか。

現時点では、そこまでは決まっていません。

現時点で公表されている政府資料では、「技術・人文知識・国際業務は○万人まで」「留学は○万人まで」といった具体的な上限は示されていません。

もっとも、まったく検討対象外とも言い切れません。

日本維新の会の「維新八策2026」では、「留学・技術・人文知識・国際業務等の在留資格への量的管理拡大」が明記されています。

これは政府決定ではありません。

しかし、政府自身が「量的マネジメント」を含む外国人受入れの基本方針を策定しようとしていること、さらに在留資格別の将来人口を推計しようとしていることを踏まえると、今後の議論では、特定技能以外の在留資格についても人数・比率等をどのように管理するかが論点となる可能性があります。


「上限導入が決まった」わけではない

ニュースを見る際には、この点には注意が必要です。

現在の状況を整理すると、「特定技能以外の在留資格についても量的管理を検討する可能性がある」という段階であって、「技術・人文知識・国際業務や留学に人数上限を設定することが決まった」わけではありません。

政府は今後、2040年頃までの外国人数を在留資格別に推計し、社会・経済への影響などを分析した上で、2026年度中に外国人受入れに関する「基本方針」を取りまとめる予定です。

これまでの外国人政策は、「人手不足の分野でどのように外国人材を受け入れるか」という議論が中心でした。

今回の動きは、それより一段上の、「日本社会として、外国人をどの程度、どのような在留資格で受け入れていくのか」という議論に移りつつあるものといえます。

外国人を雇用している企業にとっても、今後策定される「基本方針」は、かなり重要なものになりそうです。