ビザジャーナル

2025-10-30

新しい在留カードの導入と企業が注意すべき偽造対策


外国人材を雇用する企業にとって、在留カードは本人確認や適法な就労の可否を判断するうえで欠かせない書類です。
しかし、近年、偽造在留カードが出回っており、企業側にも法的リスクが及ぶ可能性があります。
今回は、導入予定の「特定在留カード」と、その偽造防止対策として出入国在留管理庁が公開した新たな仕様について解説します。


新しい在留カードが導入されます

令和6年に成立した改正入管法により、在留カードとマイナンバーカードを一体化できる新しい仕組みが導入されることになりました。これに基づき「特定在留カード」などが発行される予定です。
このカードは、従来よりも利便性を高めつつ、ICチップの活用によるセキュリティ強化も行われています。
こちらの記事でも解説しています。


偽造在留カードの出回り

残念ながら、現行の在留カードについては精巧な偽造品が出回っているのが現状です。
一見すると本物と区別がつかないカードもあり、金融機関や不動産会社、さらには採用現場で提示された際に、目視だけで判断するのは困難です。


企業も法的リスクを負う可能性

もし企業が偽造在留カードを持つ外国人を雇用した場合、その外国人が就労資格を持っていなければ「不法就労助長罪」に問われる可能性があります。
この罪は、雇用主が偽造カードだと知らなかった場合でも、確認を怠れば責任を問われるリスクがあるため注意が必要です。
つまり、「知らなかった」では済まされず、適切な確認体制を整えることが企業の義務となります。


入管が偽造確認のための仕様書を公開

こうした背景を受け、出入国在留管理庁は新しい在留カードのICチップに関する仕様書を公開しました。
この仕様書をもとに、民間企業やシステム開発者はICチップを読み取る仕組みを構築できるようになります。
具体的には、

  • 券面の情報(氏名・在留資格・在留期限など)
  • 顔写真データ
  • 電子署名による真正性の保証

といった情報をICチップから読み取り、偽造かどうかを高精度に判定できるようになります。


企業が気を付けるべきこと

  • 採用時の本人確認:ICチップ読取に対応したシステムを導入すれば、偽造リスクを大幅に低減できます。
  • 内部統制の強化:雇用プロセスに「在留カードIC確認」を組み込むことで、コンプライアンス体制の強化につながります。
  • 外国人労働者の安心確保:正規の在留資格を持つ人にとっても、偽造排除は信用と安心につながります。

まとめ

外国人雇用が一般化する中で、企業は「偽造在留カード」への対応を避けて通れません。新しい在留カードの導入とともに、偽造を見抜けるシステムをいかに活用するかが、今後のリスク管理のカギとなります。
企業としては、採用・人事・総務部門を中心に、最新の動向を把握し、早めにICチップ認証対応の仕組みを検討することをおすすめします。