ビザジャーナル
2026-01-29
【人事担当者向け】在留資格制度は変化のうねりの中に

―― 閣議決定にみる、外国籍従業員管理の新たな責任とは
近年、外国人材の活用は、多くの企業にとって不可欠な経営課題となっています。
一方で、政府はこのたび、「外国人の受入れ・秩序ある共生社会の実現」に向けた総合的対応策を閣議決定し、在留資格制度の運用を見直す方針を明確にしました。
本記事では、特に企業の人事担当者に直接影響する「在留資格」に関するポイントに絞って解説します。
在留資格は「形式審査」から「実質審査」へ
今回の閣議決定の最大の特徴は、在留資格の審査・更新・取消について、実質的なチェックを強化する方向性が明確になった点です。
具体的には、
- 税金・社会保険料の納付状況
- 医療費不払の有無
- 法令・ルール遵守状況
といった情報を、関係機関間で連携し、在留審査に活用するとされています。
これは、
過去に許可を受けたから問題ない、という従来の感覚が通用しなくなること
を意味します。
企業の管理状況が、在留資格に影響する時代へ
特に人事担当者が留意すべき点は、
外国籍従業員本人だけでなく、企業側の管理体制も在留資格審査の前提になるという点です。
例えば、
- 適切な雇用契約が締結されているか
- 実態と異なる業務に従事させていないか
- 社会保険への適正加入がなされているか
- 在籍管理・勤務実態が説明できるか
といった事項は、今後、在留資格の更新不許可・取消リスクに直結し得ます。
特に「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」など、企業が主体的に受け入れる在留資格では、企業側のコンプライアンスがより厳しく問われることになります。
特定技能は「人数管理」が本格化
報道等によれば、政府は2028年末までに、
- 特定技能:約80万人
- 育成就労:約42万人
という受入れ人数の上限を設定する方針です。
これは、特定技能が「必要な人数だけ、管理された形で受け入れる在留資格」であることを明確にしたものです。
これまでも受け入れ上限は設定されていましたが、都度引き上げられ、実質的に機能していない側面もありました。
一方、今後は厳格に人数の上限管理がなされる可能性があります。
人事担当者としては、このような状況を念頭に人材育成・配置・評価を行う必要があります。
日本語能力・制度理解も審査対象に
今回の閣議決定では、
- 日本語能力
- 日本の制度・ルールの理解
について、在留審査(永住審査を含む)の要素とすることを検討するとされています。
これは、単に業務ができれば足りるのではなく、
- 職場ルールの理解
- 法令遵守意識
- 社会的な適応状況
まで含めて評価される方向性を示しています。
企業としても、外国籍従業員への日本語教育・ルール周知を「福利厚生」ではなく「リスク管理」として捉える必要があるでしょう。
人事担当者に求められる視点の転換
今回の閣議決定を踏まえると、今後の人事実務では、
- 在留資格を「本人任せ」にしない
- 在留期間・資格内容を常に把握する
- 業務内容変更時は在留資格への影響を確認する
- 問題が起きてからではなく、予防的に管理する
という姿勢が不可欠になります。
在留資格は、もはや入社時の手続で終わるものではなく、継続的に管理すべき労務リスクと位置付けるべき段階に入っています。
まとめ
今回の閣議決定は、
外国人材の受入れを否定するものではありません。
むしろ、
- 受け入れる人数を管理し
- 在留中のルール遵守を重視し
- 企業と本人の双方に責任を求める
という、成熟した受入れ制度への転換といえます。
外国籍従業員を雇用する企業にとって、在留資格管理は「法務・人事の専門領域」ではなく、経営リスク管理の一部として位置付けることが、今後ますます重要になるでしょう。