ビザジャーナル
2026-03-05
【解説】「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」とJESTA導入の意味

2026年1月23日、政府は「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」を決定しました。この中で明確に打ち出されたのが、電子渡航認証制度(JESTA)の導入方針(2028年度中)です。
会議決定におけるJESTAの位置付け
官邸資料では、JESTAは
「出入国管理DX(デジタル・トランスフォーメーション)」の推進
の一環として整理されています。
つまり、制度趣旨は単なる渡航手続の簡素化ではなく、
- 入国前のリスクスクリーニング強化
- 出入国情報のデータ活用高度化
- 審査の効率化と厳格化の両立
という政策目的の中に位置付けられています。在留資格制度の改正とは別次元の、「入国前審査の高度化」が本質です。
何が変わるのか
対象は、ビザ免除国の短期滞在者と想定されています。
従来は「査証不要」で来日可能でしたが、今後は
- オンラインで事前申請
- 政府側の事前審査
- 承認取得後に渡航
という流れになる見込みです。
これは、米国のESTAと類似する枠組みと理解できます。
実務上の影響
行政書士の立場から見ると、影響は次の点に及びます。
(1)入国前段階の支援需要の拡大
短期滞在であっても、
- 申請内容の整合性確認
- 過去出入国歴との整合
- 不許可リスクの事前分析
といった支援が重要になります。
(2)データ連携強化の可能性
「出入国管理DX」が強調されている以上、
- 出入国履歴
- 在留履歴
- 将来的な在留資格申請
との情報連携が進む可能性があります。
JESTAでの申請情報が、その後の在留審査に影響する制度設計となる可能性も否定できません。
(3)不許可時の法的論点
現時点では詳細未定ですが、今後の立法過程では
- 不承認理由の開示範囲
- 不服申立ての可否
- 再申請の取扱い
などが重要論点になると考えられます。
現時点の法的状況
- 導入目標:2028年度中
- 具体的根拠法:未成立
- 制度詳細:今後の立法で確定
したがって、現段階では方針決定にとどまります。
まとめ
今回の会議決定により、JESTAは
「秩序ある受入れ」を実現するための入国前審査制度として正式に政策化
されました。
今後の実務は、
- 在留資格中心の支援
から - 入国前リスク管理を含む包括支援
へと拡張していく可能性があります。
制度設計の具体化を注視する必要があります。