ビザジャーナル

2026-05-20

2027年4月から始まる「企業内転勤2号」とは?


海外拠点の人材を日本で育成する新しい選択肢

2027年4月から、「企業内転勤2号」が導入されます。この在留資格は、「技能実習制度」の廃止に伴い創立される新しい在留資格です。

これまで「企業内転勤」といえば、海外の親会社・子会社・関連会社などの海外拠点で働いていた外国人社員を、日本の事業所に転勤させ、いわゆる技術・人文知識・国際業務に該当する業務に従事させる制度として理解されてきました。

しかし、新たに設けられる企業内転勤2号は、従来の企業内転勤とは少し性格が異なります。

簡単にいうと、企業内転勤2号は、海外拠点の外国人職員を日本に一時的に転勤させ、日本の事業所で講習や実務を通じて技能などを修得させるための制度です。企業内転勤1号と異なり、現場作業にも従事できます。

そのため、たとえば、将来、海外工場のリーダーや責任者候補となる人材に対し、日本本社や日本工場で、生産現場に入りつつ、関連する技能などを学ばせる場面が想定されます。


企業内転勤1号との違い

企業内転勤2号を理解するうえで重要なのは、従来型の企業内転勤、つまり企業内転勤1号との違いです。

企業内転勤1号は、日本で行う活動が、原則として技術・人文知識・国際業務に該当する業務であることを前提とする制度です。
基準省令上も、対象者が、転勤直前に外国の事業所で技術・人文知識・国際業務に対応する業務に継続して1年以上従事していたことが求められます。

これに対して、企業内転勤2号は、上述の通り、海外拠点の外国人職員が、一定期間技能等を修得するために講習を受け、技能等に係る業務に従事する活動を対象にしています。

つまり、企業内転勤1号が「一定の専門的業務を行うための転勤」であるのに対し、企業内転勤2号は、より端的にいえば、海外拠点の人材育成のための転勤という性格を持っています。


転勤前の業務は「技人国」の範囲である必要があるのか

ここは、実務上かなり間違いやすいポイントです。

企業内転勤1号では、転勤前の業務についても、技術・人文知識・国際業務に対応する業務であることが問題になります。

一方、企業内転勤2号については、少なくとも公表されている入管庁資料上、転勤元で1年以上勤務していることは示されていますが、転勤前の業務が「技術・人文知識・国際業務」の範囲内であることまでは明示されていません

そのため、現時点では、次のように理解しておくのが安全と考えます。

企業内転勤2号では、転勤前の業務が必ずしも「技術・人文知識・国際業務」の範囲内である必要まではない。
ただし、日本での活動は、単なる労働力補充ではなく、技能等を修得するための講習および当該技能等に係る業務である必要がある。

ここで注意すべきなのは、「転勤前が現場作業でもよい」からといって、「日本でも単純作業要員として使える」という意味ではないという点です。
企業内転勤2号では、修得しようとする技能等が、同一作業の反復のみによって修得できるものではないことが要件とされています。
したがって、日本での活動が、単なるライン作業、梱包、検品、清掃、接客補助などの反復作業にとどまる場合には、企業内転勤2号としての説明は難しくなります。


制度上は「研修」ではなく「転勤」である

企業内転勤2号は、実質的には研修・育成目的で利用される制度ですが、制度上はあくまで企業内転勤です。

そのため、単に海外の取引先や協力会社の従業員を日本に呼んで教育する制度ではありません。
前提として、海外拠点と日本にある事業所との間に、企業グループ内の関係性があることが必要になります。

また、日本側の受入機関についても、一定の基準を満たす必要があります。
入管庁の資料では、企業内転勤2号の受入れ機関について、常勤職員数20人以上、受入人数は常勤職員数の5%以内といった要件が示されています


在留期間は通算1年まで

企業内転勤2号で特に注意したいのが、在留期間です。

企業内転勤2号で在留できる期間は、通算で1年までとされています。
入管庁資料でも、企業内転勤2号の在留資格で在留できる期間は通算1年までと整理されています。


まとめ

企業内転勤2号は、海外拠点を持つ企業にとって、将来の現地責任者や中核人材を日本で育成するための新しい選択肢になり得ます。

特に、海外拠点において、日本本社の品質基準、製造ノウハウ、安全管理、工程改善の考え方などを浸透させたい企業にとっては、活用の余地がある制度です。

企業内転勤2号を検討する場合には、少なくとも次の点を事前に確認しておく必要があります。

確認項目ポイント
受入機関の規模常勤職員数20人以上などの要件を満たすか
受入人数常勤職員数の5%以内に収まるか
転勤元での勤務実績転勤元で1年以上勤務しているか
日本での活動内容単なる反復作業ではなく、技能等の修得といえるか
講習・OJT計画何を、誰が、どのように教えるのか
帰国後の配置修得した技能等を海外拠点でどう活用するのか
在留期間通算1年以内に収まるか

企業内転勤2号は、うまく使えば、海外拠点の幹部候補・現場リーダー候補の育成に役立つ制度です。海外に事業所をもつ法人にとって、一年以内の活動でその目的を達することができる場合には、有効な選択肢となります。

2027年4月の制度開始に向けて、海外拠点を持つ企業では、早めに対象者、研修内容、帰国後の配置計画を整理しておくことをおすすめします。技能系の業務に関しては、育成就労、特定技能に加え、企業内転勤2号という選択肢がありますので、その目的や日本での活動予定期間を踏まえ、どのような受入れが可能かを検討する必要があります。
ご興味・関心のある企業様におかれましては、お気軽に弊社までお問い合わせください。


参考資料:出入国在留管理庁「育成就労制度の関係省令等について
e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令」、出入国在留管理庁「育成就労制度の制度概要・関係法令