ビザジャーナル
2026-06-18
改正「外国人雇用管理指針」のポイント

外国人労働者を雇用する事業主には、外国人が在留資格の範囲内で能力を十分に発揮し、安心して働けるよう、適切な雇用管理を行うことが求められています。
このたび、「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」、いわゆる外国人雇用管理指針が改正され、その一部が令和8年6月14日から適用されます。
今回の改正は、外国人労働者の受入れが広がる中で、事業主が行うべき雇用管理や届出時の確認をより明確にするものです。
不法就労防止の重要性が明確化されました
改正指針では、外国人労働者の在留資格は出入国管理及び難民認定法に基づき定められるものであり、不法就労はあってはならないことが改めて明記されました。
事業主が外国人を雇用する際には、就労させようとする業務が在留資格の範囲内で認められているかを確認する必要があります。
たとえば、在留資格によっては、就労できる業務内容が限定されています。また、「留学」や「家族滞在」など、原則として就労が認められていない在留資格の場合には、資格外活動許可の有無や許可された範囲を確認する必要があります。
単に在留カードを確認するだけではなく、実際に担当させる業務内容が在留資格に合っているかを確認することが重要です。
外国人労働者にも労働関係法令が適用されます
外国人労働者であっても、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働保険・社会保険に関する法令などは、日本人労働者と同様に適用されます。
今回の改正では、短時間・有期雇用労働者や派遣労働者である外国人労働者についても、不合理な待遇差の禁止や差別的取扱いの禁止に関する考え方が適用されることが明確化されています。
そのため、外国人であることや、短時間勤務・有期契約・派遣労働者であることだけを理由に、不合理な待遇差を設けることは適切ではありません。
賃金、労働時間、休日、休暇、安全衛生、社会保険の取扱いなどについて、日本人労働者と同様に、法令に沿った適切な対応が必要です。
日本語学習支援や教育訓練への配慮が求められます
改正指針では、事業主が外国人労働者やその家族に対する日本語学習の機会の提供など、日本語学習に関する支援に努めることが定められました。
また、外国人労働者に教育訓練を行う場合には、日本語能力に配慮した教育訓練の実施など、必要な措置を講ずるよう努めることも示されています。
これは、単に「日本語ができる人を採用する」というだけではなく、採用後も、業務上必要な説明や教育が本人に伝わるようにすることが求められるということです。
特に、安全衛生教育、機械や設備の取扱い、緊急時の対応、社内ルールの説明などについては、外国人労働者が内容を理解できる方法で行うことが重要です。
外国人雇用状況届出の重要性も改めて明確化されました
外国人労働者を雇い入れた場合や、外国人労働者が離職した場合には、事業主はハローワークに外国人雇用状況の届出を行う必要があります。
今回の改正では、この届出を行わなかった場合や、虚偽の届出をした場合には、労働施策総合推進法に基づく罰則が適用され得ることが明記されました。
外国人雇用状況届出は、雇用保険の被保険者となるかどうかによって、使用する様式や届出期限が異なります。
雇用保険の被保険者となる外国人については、雇用保険被保険者資格取得届または資格喪失届に必要事項を記載して届け出ます。
一方、雇用保険の被保険者とならない外国人については、外国人雇用状況届出書により届け出ます。
短期のアルバイトであっても、届出対象となる外国人であれば、雇入れ・離職の届出が必要です。
在留カード等読取アプリケーションの活用が求められます
改正指針では、在留カードにより届出事項を確認する場合、出入国在留管理庁が提供する「在留カード等読取アプリケーション」を用いて、在留カードのICチップ内の情報と券面の記載を照合することが適切である旨が示されました。
在留カードの券面だけを見るのではなく、アプリを活用することで、偽変造が疑われるカードかどうかを確認しやすくなります。
外国人を雇用する事業主としては、採用内定後や雇入れ時の確認手順に、在留カード等読取アプリケーションによる確認を組み込んでおくことが望ましいといえます。
事業主が確認しておきたい実務上のポイント
今回の改正を踏まえると、外国人を雇用する事業主は、少なくとも次の点を確認しておく必要があります。
まず、採用予定者の在留資格と担当予定業務が合っているかを確認することです。
次に、在留期間、資格外活動許可の有無、在留カード番号など、届出に必要な事項を正確に確認することです。
また、雇入れ後は、労働条件、安全衛生、教育訓練、相談体制などについて、外国人労働者が理解できる方法で説明・運用することが重要です。
さらに、外国人労働者を雇い入れた場合や離職した場合には、期限内にハローワークへの届出を行う必要があります。
まとめ
令和8年6月14日から一部適用される改正外国人雇用管理指針は、外国人雇用における事業主の責任を改めて明確にするものです。
外国人を雇用する場合には、「人手が足りないから採用する」というだけでは足りません。
在留資格の確認、適正な労働条件の確保、日本語能力への配慮、教育訓練、届出手続きなどを通じて、外国人労働者が適法かつ安心して働ける環境を整えることが重要です。
外国人雇用を行っている事業主、または今後外国人の採用を予定している事業主は、今回の改正を機に、自社の採用手続きや雇用管理体制を見直しておきましょう。