ビザジャーナル
2026-07-02
在留資格関連の手数料 大幅引き上げへ【続報】

外国人従業員を雇用している企業にとって、在留資格の更新・変更手続きは、日常的な人事労務管理の一部です。
これまで、在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請の手数料は、一律かつ比較的低額に抑えられていました。
しかし、2026年5月に成立した入管法等の改正により、在留手続に関する手数料の上限額が大幅に引き上げられることとなりました。
特に、外国人従業員の在留資格更新費用を企業負担としている企業では、今後、在留手続にかかる費用が、人件費・採用関連費・福利厚生費等に大きく影響する可能性があります。
すでに決まっていること:手数料の「上限額」の引き上げ
2026年5月29日に成立し、同年6月5日に公布された令和8年入管法等改正法では、在留資格の変更許可等に係る手数料の上限額の引上げが盛り込まれています。
出入国在留管理庁の公表資料でも、今回の改正法の内容として、手数料の額の上限額の引上げが示されています。
具体的には、これまで法律上の上限が1万円とされていた在留関係手数料について、在留資格の変更・更新については上限10万円、永住許可については上限30万円まで引き上げられる内容とされています。
ただし、ここで注意が必要なのは、今回の法改正で直ちに「具体的な手数料額」がすべて確定したわけではないという点です。
法律では上限額のみが定められており、実際にいくらの手数料とするかは、今後、政令等により具体的に定められることになります。
報道されている内容:在留期間に応じて手数料を変える案
この点に関連して、読売新聞は、出入国在留管理庁が在留資格の変更・更新などの手数料について、在留期間に応じて金額を変える案を示したと報じています。
報道によれば、在留資格の変更・更新について、現行の一律6,000円から、在留期間に応じて1万円から7万5,000円程度に引き上げる案が示されているとのことです。
報道ベースの金額案としては、たとえば次のような内容が挙げられています。
※読売新聞の報道より(https://www.yomiuri.co.jp/national/20260624-GYT1T00285/)
| 在留期間 | 手数料案 |
|---|---|
| 3か月以下 | 1万円 |
| 1年 | 3万3,000円 |
| 3年以上5年未満 | 6万4,000円 |
| 5年以上 | 7万5,000円 |
| 永住許可 | 20万円 |
なお、オンライン申請については、一部を除き、窓口申請よりも低額にする方向で検討されていると報じられています。
もっとも、これらは現時点では報道ベースの情報です。正式な手数料額については、今後の正式な発表を待つ必要があります。
企業にとっての影響:企業負担の場合、予算への影響は小さくありません
今回の手数料引上げは、外国人従業員だけでなく、外国人従業員を雇用する企業にも影響します。
特に注意が必要なのは、次のような企業です。
- 外国人従業員を多数雇用している企業
- 在留資格更新・変更の手数料を企業が負担している企業
- 定期的な在留期間更新が必要な外国人従業員が多い企業
- 外国人従業員本人だけでなく、家族帯同者の手続費用についても企業が支援している企業
- 採用時の在留資格変更費用を企業負担としている企業
たとえば、これまで1人あたり6,000円で済んでいた在留期間更新の手数料が、仮に3万円、5万円、7万円台となった場合、対象者が数十人、数百人規模の企業では、年間の負担額が大きく変わります。
これまで「細かな実費」として処理していた費用が、今後は人件費・採用費・福利厚生費・海外人材関連予算として、明確に管理すべきコストになる可能性があります。
更新時期が集中する企業は、特に早めの確認が必要です
外国人従業員の在留期間は、入社時期や過去の更新時期によって、一定の時期に集中することがあります。
たとえば、4月入社の外国人従業員が多い企業では、在留期間更新の時期も春先に集中しやすくなります。また、特定技能など、比較的短い在留期間で更新を繰り返す在留資格では、更新頻度が高くなるため、手数料引上げの影響を受けやすくなります。
そのため、企業としては、少なくとも次の点を確認しておくことが望ましいです。
- 現在雇用している外国人従業員の人数
- 各従業員の在留資格・在留期間・在留期限
- 今後1年以内に更新・変更が必要となる人数
- 手数料を企業負担としているか、本人負担としているか
- 家族滞在等の家族分について、企業がどこまで支援しているか
- オンライン申請を利用できる体制があるか
- 来期予算に在留手続費用をどの程度見込むべきか
社内で検討しておきたいポイント
繰り返しになりますが、現時点では、具体的な金額が正式に確定したわけではありません。
しかし、法改正により上限額が大幅に引き上げられたこと自体は既に公になっており、今後、具体的な手数料額が決まれば、企業の人事労務管理に直接影響します。
そのため、外国人材を多く雇用している企業では、次のような社内対応を早めに検討しておくことをおすすめします。
1. 手数料の企業ルールの確認
まず、在留資格の更新・変更に係る手数料を、現在企業が負担しているのか、本人負担としているのかを確認する必要があります。
企業負担としている場合は、今後も全額企業負担を継続するのか、一部本人負担とするのか、対象となる手続を限定するのかなど、社内ルールの見直しが必要になる可能性があります。
ただし、企業負担としていたものを本人負担に変える場合、本人とのトラブルが生じる可能性は高いです。
そのため、外国人従業員との早期の話し合いもさることながら、それ以上に、どこまでを企業が負担し、どこからを本人負担とするのかについて、納得感のある線引きを設けておくことが重要と考えます。
たとえば、通常の在留期間更新、採用時の在留資格変更についての手数料は企業が負担するが、家族分の手続、永住許可申請などについての手数料は本人負担とする、という余地はあると思われます。
2. 予算への反映
外国人従業員が多い企業では、在留手続の手数料が年間予算に影響する可能性があります。
特に、更新対象者が多い年度や、1年更新の従業員が多い企業では、費用負担が一時的に集中することも考えられます。
人事部門だけで判断するのではなく、必要に応じて、経理部門、財務部門、経営層とも情報共有しておくことが重要です。
3. オンライン申請体制の整備
報道では、オンライン申請の場合、一定の割引が設けられる案も示されています。
既に在留申請のオンライン手続は導入されており、2025年4月1日の手数料改定でも、オンライン申請と窓口申請で手数料に差が設けられています。
今後、オンライン申請の利用により手数料負担を抑えられる可能性があるため、企業としてオンライン申請を利用できる体制を整えておくことも、実務上の検討事項となります。
4. 外国人従業員への説明
手数料の引上げは、外国人従業員本人にとっても大きな関心事です。
特に、本人負担としている企業では、制度変更の内容を早めに説明し、誤解や不安が生じないようにすることが重要です。
一方、企業負担としている企業であっても、上述の通り、企業がどこまで費用を負担するのか、家族分は対象となるのか、永住許可申請は対象となるのかなど、内部ルールを明確にしておく必要があります。
まとめ:正式決定前でも、準備は始めておくべき
今回の在留資格関連手数料の引上げは、単なる行政手続費用の変更にとどまりません。
外国人従業員を多数雇用している企業にとっては、採用・雇用管理・人件費・福利厚生費に関わる実務上の重要な変更です。
繰り返しになりますが、現時点で確定しているのは、2026年5月の法改正により、在留資格の変更・更新や永住許可に係る手数料の上限額が大幅に引き上げられたという点です。
一方、具体的な手数料額については、在留期間に応じて金額を変える案が報道されていますが、正式な金額は今後の政令等により確認する必要があります。
そのため、企業の人事担当者としては、今後の動向を注視するとともに、外国人従業員数、更新時期、企業負担の有無、予算への影響を早めに整理し、必要に応じて内部での説明・根回しを進めておくことが望まれます。
特に、在留手続費用を企業負担としている企業では、「正式に決まってから考える」のではなく、想定される負担増をあらかじめ把握し、来期予算や規程に反映できるよう準備しておくことが重要です。