ビザジャーナル

2026-10-29

医療・福祉施設や学校の給食製造、外国人材の受入れ分野を変更する案が浮上


2026年10月19日に開催された政府の有識者会議で、医療・福祉施設や学校等の給食製造について、外国人材の受入れ分野を変更する案が示されました。

これまで外食業分野で受け入れていた給食製造業務の新規申請分を、2027年度から、緊急的措置として飲食料品製造業分野で受け入れるという内容です。

病院・介護施設・学校等で給食を提供する事業者や、給食受託会社の人事担当者にとって、今後の採用計画に関わる動きです。


なぜ受入れ分野を変更するのか

外食業分野では、特定技能1号の受入れ見込数を超えることが見込まれたため、2026年4月に受入れ停止措置がとられました。
今回の案は、その影響を受ける給食製造について、飲食料品製造業分野で新たな外国人材を受け入れられるようにするものです。

背景には、医療・福祉施設等の深刻な人手不足があります。
会議資料によると、2026年5月の給食等調理員の有効求人倍率は、学校給食を除いて7.37倍となっています。
早朝・遅番勤務や厳しい衛生管理、地方勤務等により、人材が集まりにくい状況です。

一方、病院や介護施設では、患者・利用者の病態や治療方針に合わせた食事を継続して提供する必要があります。
多様な食事への対応や設備上の制約から、省力化にも限界があるとされています。

また、給食製造には接客の比率が低い事業所が多く、接客のないセントラルキッチン等では、従来から飲食料品製造業分野で受け入れる運用もありました。
今回の案は、こうした業務の実態と、給食提供を維持する必要性を踏まえたものです。


何が変わるのか

提案の主な内容は、次のとおりです。

項目提案内容
対象業務食材の下処理、非加熱・加熱調理等の一連の工程による、医療・福祉施設給食等の製造
対象となる申請新規申請分
開始時期2027年度から
特定技能に関する変更医療・福祉施設や学校等で施設給食業を営む事業所を、飲食料品製造業分野の受入れ対象に追加
育成就労に関する変更「医療・福祉施設給食製造」の技能を、外食業分野から飲食料品製造業分野へ移す

対象事業所の追加は、日本標準産業分類の「学校教育」「その他の教育・学習支援業」「医療業」「社会保険・社会福祉・介護事業」の事業所において、「施設給食業」を営む場合を想定しています。

一般の飲食店や社員食堂を含め、外食業全体の受入れを再開する案ではありません。
会議資料の比較図でも、一般の店舗や社員食堂は外食業分野に残されています。


人事担当者が確認しておきたいこと

まず、自社の受入れ予定先と担当業務が、今回の対象に含まれるかを確認する必要があります。
「給食に関係する会社だから対象になる」と一括りにせず、実際の就業場所、事業内容、外国人材が担当する業務を整理しておくことが大切です。

また、今回の資料は新規申請分を対象としています。
現在、外食業分野で就労している外国人の取扱いや、変更後の申請に必要な試験・書類、具体的な受付開始日などは、今後の正式な案内を確認する必要があります。

衛生管理に関する教育体制も、採用と合わせて検討したい点です。
資料では、特定技能1号について、食品を衛生的に取り扱う基本的知識を持ち、HACCPに沿った衛生管理に対応できる技能水準が示されています。
ただし、施設ごとの治療食やアレルギー対応、調理・確認手順については、受入れ後の教育を具体的に準備しておくことが重要です。


今はあくまで「提案段階」

今回の案が実施されれば、外食業分野の受入れ停止によって採用計画に影響を受けている給食事業者にとって、新たな人材確保につながる可能性があります。

ただし、現段階では有識者会議に示された案であり、受入れが再開されたわけではありません。
人事担当者は、対象となる事業所・業務を整理しつつ、今後の分野別運用方針や告示の改正、申請手続の公表を確認した上で採用を進めましょう。

※本記事は、2026年10月19日の有識者会議配付資料に基づいています。

出典