ビザジャーナル
2026-02-19
【2026年2月時点】外国人による土地・不動産取得と「国籍把握」―何がどう変わるのか

近年、外国人や海外資本による日本の土地・不動産取得をめぐり、「実態が分からない」という問題意識が政府内で共有されてきました。これを受けて、2025年後半から政府は、規制強化に先立ち、まず“国籍等を把握する仕組み”を整える方向で、土地関連制度を横断した見直しを進めています。
本記事では、どの制度で・どのように国籍等が把握されるようになるのかを簡潔に整理します。
政策の全体像
現在進んでいるのは、登記・届出・報告の各制度の「入口」で国籍等を取得し、行政内で横断的に実態把握できるようにする
というデータ基盤整備です。
「外国人の土地取得を直ちに制限する」議論というより、誰が取得しているのかを把握できる状態を作ることが主眼です。
制度別の動き(要点)
① 不動産登記
- 登記簿に国籍を載せるわけではない
- 所有権移転等の登記申請情報に申請人の国籍を追加する方向
- 実施時期:令和8年度中以降(予定)
→ 行政が実態把握に使うための情報であり、公開情報の拡張ではないと思われます。
② 森林法(最も具体化)
- 森林の土地所有者届出に国籍等を追加
- 施行:2026年4月1日
- 林地台帳にも国籍等を記載
- 施行:2027年4月1日
法人の場合は、
- 設立準拠法国
- 代表者の国籍
- 役員・議決権の過半が同一国籍ならその国籍
まで把握する設計です。
③ 国土利用計画法(大規模土地取引)
- 事後届出事項に、法人の実質的な国籍関与を追加
- 代表者国籍、役員・議決権の過半国籍などを届出
- 施行予定:2026年4月1日
④ 重要土地等調査法
- 注視区域等での届出において、法人の国籍等把握を強化
- 基本的な考え方は森林法・国土利用計画法と共通
⑤ 外為法(国外居住者)
- 国籍ではなく「非居住者(国外居住者)」という切り口
- 不動産取得の報告義務を、投資目的に限らず目的不問に拡大
- 施行予定:2026年4月1日
共通ポイント
今回の制度改正群に共通する特徴は次の3点です。
- 個人よりも法人名義への対応が重視されている
→ 日本法人を使った取得でも「実質的にどの国が関与しているか」を把握 - 登記簿そのものは極力触らない
→ 登記申請情報や届出情報で把握し、行政内で活用 - 規制強化の前段階としての実態把握
→ 国際約束(投資協定等)との関係を踏まえ、まずデータ整備を優先
まとめ
2026年2月時点で進んでいるのは、
外国人・国外居住者・実質的に外国関与のある法人による土地・不動産取得について、
各制度の入口で国籍等を取得し、行政が横断的に把握できる仕組みを整える動き
です。
今後の焦点は、この「把握されたデータ」を前提に、どこまで利用・規制に踏み込むのかに移っていくと考えられます。