ビザジャーナル

2026-04-16

特定技能外国人材の最新動向(令和7年末時点)と今後の制度的転換


本年3月、令和7年12月末時点における特定技能外国人材の在留状況が公表されました。
特定技能外国人材の受入人数は年々増加している一方で、外食業分野では上限到達による新規受入れ停止が現実味を帯びるなど、制度は転換期に差し掛かっていると考えられます。
本稿では、人数の推移、国籍構造、そして今後の制度運用の方向性について整理します。


特定技能外国人材の人数推移

令和7年12月末時点における特定技能在留外国人数は 390,296人 に達し、制度開始以来の過去最高を記録しています。

  • 令和7年6月末:336,196人
  • 令和7年12月末:390,296人
  • 増加率:16.1%

依然として増加基調にありますが、前期(18.2%)と比較すると伸び率はやや鈍化しており、制度が量的拡大の初期段階から安定成長段階へ移行しつつあることが示唆されます。

また内訳を見ると、

  • 特定技能1号:382,341人
  • 特定技能2号:7,955人(前期比約2.6倍)

となっており、依然として1号が大半を占めていますが、2号の急増が際立っています。
これは、単なる労働力補充制度から、熟練人材の定着を前提とした制度に転換しつつあることを意味します。


ベトナム依存の継続と構造

国籍別では、依然としてベトナムが圧倒的多数を占めています。

  • ベトナム:158,497人(41.5%)
  • インドネシア:86,523人(22.6%)
  • ミャンマー:44,315人(11.6%)

ベトナムは引き続き最大の送り出し国であり、制度全体が特定国への高依存構造を維持していることが確認できます。
もっとも、インドネシアおよびミャンマーの増加率はそれぞれ約25%と高く、徐々に多極化しています。
これは、送り出し国政策や国際関係の変動に対するリスク分散の観点から重要な変化です。

ただし、特定技能2号においてはベトナム比率が 73.6% に達しており、熟練人材段階ではむしろ依存が強まっている点には留意が必要です。


産業別構造と人手不足の実態

特定技能1号の受入分野は、以下のように労働集約型産業に集中しています。

  • 飲食料品製造業:24.4%
  • 介護:17.8%
  • 製造業:14.8%
  • 建設:12.9%
  • 外食業:11.5%

特に介護・外食分野の増加率が高く、国内人材では充足が困難な領域において制度が機能していることが明確です。

一方、自動車運送業(+1410%)や木材産業(+650%)など、新規分野では急激な増加が見られますが、これは母数が小さい初期段階特有の現象であり、今後の制度定着が注目されます。


上限管理への転換可能性

これまで特定技能制度は、分野別受入見込み数の設定はあるものの、実務上は上限が実質的に拡張され続けてきた経緯があります。しかし、以下の状況変化により、今後は運用が大きく変わる可能性が高いと考えられます。

(1)受入規模の急拡大

総数が約39万人に達し、制度は既に「例外的措置」から「主要な人材獲得手段」へと変質しています。

(2)特定技能2号の本格化

長期在留・家族帯同を伴う2号の増加により、単なるフローではなく長期雇用を前提としての外国人材管理が必要となっています。

(3)社会的・政策的制約

地域社会への影響、社会保障、教育など、受入れに伴うコストが顕在化しつつあります。

これらを踏まえると、今後は「分野別上限に達した場合の受入停止(又は厳格管理)」が現実的な政策オプションとして浮上します。
すなわち、これまでのような「実質的な無制限拡大」から、「 数量管理型制度への転換」に進む可能性が高いと言えます。


制度の本質的変化

以上を総合すると、特定技能制度は現在、以下の転換期にあります。

  • 量的拡大フェーズ → 安定成長フェーズ
  • 短期補充型 → 長期定着型
  • 無制限拡張 → 上限管理

特に特定技能2号の急増は、制度が単なる労働力確保手段ではなく、人的資本の蓄積を前提とした政策へ進化していることを示しています。


まとめ

令和7年末時点のデータから読み取れるポイントは以下のとおりです。

  • 特定技能外国人材は約39万人に達し過去最高を更新しています
  • 増加は継続しているものの、成長率はやや鈍化しています
  • ベトナム依存は依然として強い状況です
  • 特定技能2号が急増し、制度は長期定着型へ移行しています
  • 今後は上限到達時の受入制限が現実化する可能性があります