ビザジャーナル
2026-10-15
在留資格「企業内転勤」-親会社・子会社・関連会社間の異動の範囲-

海外のグループ会社で働く社員を、日本の会社に呼び寄せたい。その際に検討する在留資格の一つが「企業内転勤」です。
「企業内」という名称から、同じ会社の海外本社から日本支店への異動だけが対象だと思われるかもしれません。
しかし、一定の関係にある親会社・子会社・関連会社間の出向等も対象になります。
一方で、グループ会社間であれば、どのような異動でも認められるわけではありません。
以下、対象となる異動の範囲を解説します。
「企業内転勤」は、海外から日本への期間を定めた転勤のための在留資格です
まず、在留資格「企業内転勤」は、外国の事業所で働く職員が、日本の事業所に期間を定めて転勤し、「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務を行うための在留資格です。
例えば、海外拠点のエンジニアや海外取引業務の担当者を、日本の拠点に赴任させる場合などが考えられます。
対象となる「転勤」には、同一法人内の異動のほか、一定の関係にある別法人への出向等も含まれます。
そのため、まずは、海外の転勤元と日本の転勤先が、どのような関係にあるかを確認することが出発点です。
親会社・子会社間だけでなく、兄弟会社間の異動も対象になります
同一法人の海外本社から日本支店への転勤は、基本的な対象例です。
また、日本の親会社が海外子会社の社員を受け入れる場合や、外国の親会社が日本子会社に社員を赴任させる場合も、会社間の関係としては対象になります。
さらに、同じ親会社を持つ子会社同士の異動も対象です。例えば、ある親会社の下に中国子会社と日本子会社がある場合、中国子会社から日本子会社への異動は、「別法人同士だから」という理由だけで対象外になるものではありません。
孫会社についても、審査上、親会社の子会社とみなされる関係にあれば、親会社と孫会社の間、子会社と孫会社の間、孫会社同士の異動が対象となります。
主な関係を整理すると、次のとおりです。いずれも、海外から日本への異動を前提としています。
| 転勤元・転勤先の関係 | 会社間の関係として対象となるか |
|---|---|
| 同一法人の本店・支店等の間 | 対象 |
| 親会社と子会社の間 | 対象 |
| 親会社と孫会社の間 | 対象 |
| 同じ親会社を持つ子会社同士 | 対象 |
| 子会社と孫会社の間 | 対象 |
| 孫会社同士 | 対象 |
| 会社と、その会社の関連会社の間 | 対象 |
| 関連会社同士 | 対象外 |
| 親会社と、子会社の関連会社の間 | 対象外 |
ここでいう「親会社」「子会社」「関連会社」は、財務諸表等規則の定義に基づくものです。社内での呼び方だけで判断することはできません。
「関連会社」は、単なる取引先や業務提携先とは異なります
関連会社とは、出資、人事、資金、技術、取引等の関係を通じて、その会社の財務や営業・事業の方針の決定に重要な影響を与えることができる関係にある、子会社以外の会社等をいいます。
したがって、取引がある、技術提携をしている、同じブランドを使用しているという事情だけで、当然に「企業内転勤」の対象となるわけではありません。
また、関連会社に該当する場合でも、異動の組合せに注意が必要です。
例えば、A社に関連会社B社と関連会社C社がある場合、A社とB社の間、A社とC社の間の異動は対象となります。
しかし、B社とC社の間の異動は、両社がA社の関連会社であるという関係だけでは対象になりません。
同様に、A社の子会社B社に関連会社C社がある場合、B社とC社の間の異動は対象となりますが、A社とC社の間の異動は、その関係だけでは対象になりません。
グループ全体のつながりだけでなく、転勤元と転勤先の2社の関係を確認することが重要です。
曾孫会社が関係する異動には、追加の確認が必要です。
親会社から見て、子会社、孫会社、その下の曾孫会社という構造になっている場合、審査要領では、縦の位置関係の異動は対象となる一方、曾孫会社同士の異動は原則として対象外とされています。
ただし、親会社から各孫会社・曾孫会社まで一貫して100%出資している場合には、曾孫会社も子会社とみなすことができ、曾孫会社同士や孫会社と曾孫会社の間の異動も対象になるとされています。
会社が何段階にも連なるグループでは、名称だけでなく、各段階の出資関係を確認する必要があります。
会社間の関係が対象範囲に入っていても、ほかの要件の確認が必要です。
「企業内転勤」では、会社間の関係に加えて、主に次の点も確認します。
- 日本での勤務について、転勤期間が定められていること
- 日本で行う業務が「技術・人文知識・国際業務」に該当すること
- 転勤直前に、原則として海外の事業所で対象業務に継続して1年以上従事していること
- 日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること
直前の1年以上という要件には、「企業内転勤」で日本に勤務していた期間を合算できる場合など、一定の取扱いがあります。
また、転勤前の業務は「技術・人文知識・国際業務」に該当する必要がありますが、転勤後の業務と同一又は関連する業務であることまでは求められていません。
海外拠点の社員であれば、業務内容を問わず呼び寄せられる制度ではない点にも注意しましょう。
受入れの検討は、グループ図と業務内容の確認から始めましょう。
人事担当者の方が海外拠点からの受入れを検討する際は、まず、転勤元と転勤先を明示したグループ図を作成し、出資比率や支配関係、関連会社に該当する根拠を整理すると判断しやすくなります。
そのうえで、本人のこれまでの担当業務と勤務期間、日本での担当業務、赴任期間、報酬額を確認します。
赴任日程を確定する前にこれらを整理しておくことで、予定している異動が「企業内転勤」の対象となるか、別の在留資格を検討すべきかを判断しやすくなります。