ビザジャーナル
2026-09-24
「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬」って?

外国人材を在留資格「技術・人文知識・国際業務」で採用する際には、学歴や業務内容だけでなく、報酬の設定にも注意が必要です。
具体的には、この在留資格には、「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること」という要件があります。
では、「日本人と同等額以上」とは、誰と、どのように比較するのでしょうか。
また、基本給のほかに支給する手当や賞与は、報酬に含めてよいのでしょうか。
結論から言うと、「月額○万円以上」という一律の基準があるわけではありません。
この要件は、単に「全国共通の一定額を上回れば満たされる」というものではありません。
個々の企業の賃金体系を基礎に、日本人と同等額以上であるかを判断します。また、他の企業の同種の職種の賃金も参考にされます。
そのため、「月給が20万円以上だから大丈夫」「最低賃金を上回っているから問題ない」とは限りません。
最低賃金を守ることは当然として、日本人と同等額以上の報酬を設定することも別途確認が必要です。
ただし、「日本人と同等額以上」といっても、社内の日本人社員全員と同じ給与にするという意味ではありません。
実務上は、外国人が大学卒業者であれば、その企業の日本人大学卒業者の賃金を参考にするとされています。
学歴に加え、担当業務、経験、職位などの条件をそろえ、どの賃金区分を適用するかを確認すると整理しやすくなります。
例えば、同じ業務を担当する日本人の新卒大学卒業者に月額25万円を支給する会社が、同じ条件の外国人の新卒大学卒業者に対して、「外国人だから」という理由で月額22万円を設定すれば、同等額以上といえるのかが問題になります。
一方、新卒社員と経験豊富な管理職との間に給与差があることまで、直ちに問題になるわけではありません。
繰り返しになりますが、大切なのは、日本人を採用する場合にも適用する賃金基準に沿って、給与額の根拠を説明できることです。
社内に比較できる日本人社員がいない場合も、自社の賃金規程や給与テーブル、他社の同種の職種の賃金などを参考に、設定額の妥当性を確認しましょう。
では、「報酬」とはどこまでを含むのでしょうか。
実務上、報酬には、基本給以外のものも含まれるとされ、「一定の役務の給付の対価として与えられる反対給付」と定義されています。
簡単にいうと、仕事をしたことに対する対価です。
したがって、報酬額は、基本給額だけで判断されるものではありません。
ただし、給与明細に記載される支給項目が、すべて在留資格の審査上の報酬に含まれるわけでもありません。
手当については、次のように判断されています。
通勤手当、扶養手当、住宅手当等の実費弁償の性格を有するもの(課税対象となるものを除く。)は含まない。
ここで注意したいのは、手当の名称だけで、一律に含める・含めないと判断しないことです。
| 確認する内容 | 報酬の考え方 |
|---|---|
| 仕事の対価として支給するものか | 報酬に含める対象となります。 |
| 実費弁償の性格を有するものか | 原則として報酬に含まれません。 |
| 実費弁償の性格を有するものでも、課税対象となるか | 上記の「含まない」とする対象から除かれています。 |
例えば、「住宅手当」という名称だから必ず除外される、という読み方ではありません。
支給の実態や課税上の取扱いも確認する必要があります。
採用条件を検討する際は、基本給と各手当を分けたうえで、それぞれの支給目的、支給条件、課税・非課税の区分を整理しておくとよいでしょう。
また、年間の報酬額には賞与も含めてられます。
実務上、報酬の月額については、次のように判断されています。
報酬の月額は、賞与等を含めた1年間従事した場合に受ける報酬の総額の12分の1で計算する。
例えば、報酬に該当する毎月の支給額が25万円、年間の賞与が50万円の場合、年間報酬は350万円となり、12分の1は約29万1,667円です。
ただし、この計算例は、年間賞与50万円を受けることを前提にしています。
賞与が業績などによって変動する場合には、未確定の金額を当然に支給されるものとして扱わず、算定の根拠を確認しておきましょう。
また、日本人社員との比較でも、外国人社員側だけ賞与を加え、日本人社員側は基本給だけで比較するなど、比較の条件が異ならないようにすることが大切です。
人事担当者の方は、次の点を確認しておくと、報酬要件を説明しやすくなります。
- 同じ条件で日本人を採用する場合、どの給与区分を適用するか
- 外国人社員の給与額を、その区分に沿って設定しているか
- 日本人社員との間に差がある場合、その理由を説明できるか
- 各手当について、支給内容と報酬への算入の可否を確認したか
- 賞与を含めた年間報酬の計算に根拠があるか
給与額だけでなく、「なぜ、その金額になるのか」を賃金規程や雇用条件に基づいて説明できる状態にしておくことが、採用手続を進めるうえで役立ちます。